起
唯一にして無二なる太陽はここに落ちた。
白きもの。偉大なるもの。恐怖の象徴たるもの。
螟悶↑繧狗・はただ、暗闇を凝視する。
虚空を、無を、ただ観察する。
見ることさえ能わぬ。
触れることさえ能わぬ。
小さきものは、しかし、謀反する。
そこに花は咲き、
炎はかすかに夜を照らし、
やが縺ヲ縺オ縺励→なり、
闇を払わんと、もがき、抗う。
嗚呼
しかし
縺昴l縺ッ縺吶∋縺ヲ繧定ヲ九k
ただ、嗤う
嗤う、嗤う、嗤う、嗤う、嗤う、嗤う、嗤う
闇は、光は、命は、すべて、
蛛牙、ァ縺ェ繧九う繝?ぅに赦されている。
アルド創世記 終章 第4節
静かな森に、2つの足音と荒い呼吸の音が響く。
「__あれからどれくらい経った!? 」
「はっ、はっ、三十分は、優に」
「クソっ、なんで、ここが水辺の小屋に、つながってるって、話じゃ……! 」
「まずいな、とにかく、ここから、出ないと」
「ああ」
幸い、俺もカインもこの程度でへばるほどヤワじゃない。もう稽古に遅れようがなんだっていい。この不気味な場所をさっさと抜け出さないと。ここでさらにギアを上げて__!
「止まれ! ノア! 」
「!!! 」
ぴたっと足を止める。
「……ノア、いるぞ。」
「……やられた。完全に油断した。」
俺とカインは背中を合わせて周囲に広がる気配を探る。
「正面の木陰に1,2……」
「でかい岩の裏。3,4,5.……」
アンヘルさんに何度も何度も叩き込まれた形。二人で協力して、背中を預けあって生きていくんだと教え込まれた、慣れっこの構え。
「……だいたい15m先にでかいのが一匹。9で全部だ。」
二人の間に緊張が走る。剣を構える手がかすかに震えるのを感じる。
「んだ、緊張してっか? 」
「……たかが狼の群れだ。いつも通りやれば、何も問題ない。」
たぶん、全部、ばれてる。
高まる鼓動。震える手。額から流れる汗。死と隣り合わせの感覚……剣を握ってはじめての実戦。俺は今、確かに震えている。
「そういうこった。初陣は華々しく、だろ? 」
しかし裏腹に視界は明瞭で。感覚はいつもより研ぎ澄まされていて。
背中に体温を感じる。
「ああ、もちろん」
お前だって手震えてんだろ、なんて野暮なことは言わないが。
剣に力を込める。
「……来る」
木々がわずかにざわめき、刹那。
「グルァァァァ!! 」
獰猛な唸り声をあげながら、全長4mはあるであろう巨躯がこちらに飛びかかってきた。
「っそだろ……なんだこのサイズ……! 」
最近村の近辺で野生動物が狂暴化しているといった話は噂程度に聞いたことがあったが、このあたりに生息している個体だとせいぜい1,5m程度が限度なはずだ。するどい眼光に真っ黒な毛皮、まるでフックを連想させるようなほど長く太く伸びた爪。これはどう考えても常軌を逸している。
「チッ、こんなのが隠れてやがったのかよ……! 」
「考えてたって仕方ない! なんとか乗り切るぞ……! 」
幸い俺もカインも相手は1体ずつ。他のやつはだんまりだ。しっかり相手を見て、行動を分析して、アンヘルさんに教えてもらった通りにやれば……
「__こんなのチャンスでしかねえだろ! 」
巨大な狼はさらにスピードを上げ、突進してくる。距離は約5メートル。避ければカインの構えが崩れ、全体の視界が途切れる。多数の敵に囲まれているときに敵から視界を切るのは最悪の手だ。
「つまり、ここで、叩く……! 」
地面を蹴り上げて一気に加速、接近する。相手は体が大きいぶん接近戦ではこちらが有利、この位置まで引き付けてから接敵すれば残りを見失うこともない……!
狼は動きを止め、焦ったように向かって右の大きな爪を振り上げる。
「遅い」
予想的中だ。この程度なら一度下がる必要すらない。まずはこの隙に左の前足を落とす。バランスを崩して倒れこんだら目を潰す。こいつを最速で機能停止させればもう一度立て直す時間が___
勢いよく方向転換し、足を思いきり斬りつけようとした、その時。
「……は? 」
目の前に、あるはずのない巨躯。半回転した大きな腰が、全身に容赦なく打ち付けられた。
「グっっっ……! 」
身体は空に打ち上げられ、いともたやすく宙を舞う。
「っっっ、はっ……」
身体は仰向けのまま地面に衝突し、もはや身動きさえとることができない。
脳が揺れる。視界がぼやける。群れが徐々に距離を詰めてくるのを感じる。
カインの、声が、遠ざかっていく……
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