入学式の日
桜の花びらが降り注ぐ中、校門をくぐり並木道を歩いてゆく。おろしたての制服は、まだ身体に馴染まない。人だかりの中に、見慣れた顔を見つける。
「つっきー!」
「ほたるー!」
「「久しぶりー!」」
親友のつっきー、こと
私立・
ふと、もう一人の幼馴染のことを思い出す。
「いぺ
あたしが尋ねると、月希子は体育館のほうを指さした。ひときわ大きな人だかりが見える。どうやらクラス発表の掲示がされているらしい。人だかりの中に一人、背の高い男子生徒が見える。この三年でずいぶんと背が伸びたけれど、あたしにはわかる。間違いなくあたしの知っているいぺ兄だ。あたしと月希子は彼に駆け寄る。
いぺ兄、こと
「ああ、
一平の指さす先には、クラス発表の掲示版があった。一年二組の欄には、確かにあたしたち三人の名前が並んでいる。それを見た瞬間、胸がいっぱいになった。
「皆さん、入学式の会場はこちらです」
おそらく先生であろう中年の男性が声を張り上げるのが聞こえた。ぞろぞろと生徒たちが体育館に入ってゆく。
「霜鳥さん、神崎さん、僕らもそろそろ行こうか」
「ほーたーるー! いつまで見てんの、ほら行くよ」
二人に声をかけられても、あたしは掲示板の前から動けずにいた。二人と一年間同じクラスでいられる幸せを、噛みしめていたかったから。
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