第4話 なぜ、こんなことに……


 「え? いや、えっと……」

 「……言ってみい」

 「……お待たせしたから」

 「おのれは、ふざけとんのか!」

 ブチ切れました。

 怒鳴る人は云々という批判はあるでしょうが、もちろん、いきなり怒鳴る訳じゃないです。

 今回は、けっこう我慢したなと自分では思っています。

 ちなみに、怒鳴ると、話がまともに進むことも多いです。


 ポンコツくんは、間延びした馴れ馴れしい口調を直し、はきはきと答え始めました。

 聞くと、本社から電話が入り、(たぶん窓口さん)きちんと調べて、急いで電話し、謝罪するようにと言われたのを「きちんと調べる」のを省き、とりあえず急いで電話をし、謝っていれば、それで終わると思っていたようでした。


 話にならないので、昨日、窃盗犯扱いされたことを告げ、店長を出すように言いました。

 ところが間の悪いことに、店長は本日休みを取っているとか……。

 「じゃあ、明日の午前中に、店長に電話させてくれるか」

 これ以上、ポンコツくんと話しても、不愉快になるだけで埒が明かないと思い、そう言って、電話を切りました。

 なにこの、グダグダっぷり……。

 落としどころがどんどん遠のく感じでした……。


 そして、翌日、店長から電話があり、自宅に伺って説明と謝罪をしたいと言うので了承しました。


 お詫びの折り菓子をもって現れた店長は、真面目な方でした。

 三十代前半ぐらいかな。

 「この度は、誠に~~」と玄関で謝罪を受け、とりあえず上がってもらって、話を聞くこととなりました。

 

 話を聞いた順序は忘れましたが、店長が、レジ係、サービス・カウンター、社員に聞き取り調査をし、防犯ビデオの映像をチェックした結果、以下のようなことが判明しました。


 あのとき、わたしの前の前に並んでいた男性が、1番支払機で清算を済ませた後、出てきたレシートを取らずに立ち去ったことが発端でした。

 男性の後、私の前に並んでいた髪の長い女性が、レジで会計を終え、1番支払機で清算をしようとします。

 このとき女性は、クレジットカードで支払いをしようとしました。

 そして、機械がクレジットカードを読み込んでいる最中、女性は、レシート・領収書の取り出し口に、レシートが出ていることに気付きました。


 おそらく女性は、すでにカードでの支払いが終了し、いつの間にかレシートが出てきていたんだと勘違いし、そのレシートを取ると、まだ確認中のクレジットカードを読み取り機から引き抜き、商品を持ってサッカー台へ……という流れだったようです。

 当然、カードの支払いは中断され、1番支払機は未精算状態となりました。

 本人が気づかないうちに、支払いをせず、商品を持ち出しちゃったと言う感じですね。

 

 この時点で、1番支払機は清算待ち状態。

 そのため、私たちはサブの2番支払機で清算。

 支払機は、一定時間、未精算のままだと、電子音が鳴り出す仕組みとのことです。

 私たちが、2番で清算を終えたとき、ちょうど時間が経過し、電子音が鳴り出したようでした。

 ……流れは理解したけど、正直、そんなこと、おれには関係ないがな。

 と言う気持ちでしたね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る