第3話:え?なに?今の?・・・魔法?
俺とネーブルはチャリ「自転車」に二人乗りして、ちんたらちんたら
家に向かっていた。
「ほんとはさ、チャリにふたり乗りしちゃダメなんだけどな」
「でもさ、おまわりなんて滅多に通らないし・・・年末じゃないかぎり捕まる
ことなんかな・・・」
「こらこら・・・君たち、自転車のふたり乗りはいかんよ」
そう言われて横を見たら・・・なんとブヒーってカブに乗った派出所の
おまわりさんが左手で止まりなさいジェスチャーをしていた。
「およよ・・・すいません・・・家、すぐそこなんで・・・」
「そう言う問題じゃなくて・・・ちょっと止まりなさい」
「あの〜罰金取られるんですかね?」
「そうね、2万円以下の罰金又は科料・・・かな」
「君の態度次第・・・」
「え?2万・・・・」
「私が注意してるのに、このおネエさんいい根性してるね」
「自転車の荷台から降りないよ」
「って言うか・・・この子、耳尖ってない?」
「ああ・・・そういうヘッドホンです・・・それに俺の妹でちょっと
頭弱いんで、放っといてもらっていいですか?」
「頭、弱くなんかないわ、ボケ」
「黙ってなって・・・」
「ああ・・・罰金か〜小遣い減っちゃうよ」
「この状況って悪いことなの?・・・
「法律ってやつで、自転車のふたり乗りは禁止されてるんだよ」
「でさ、罰金取られるんだ・・・まずったわ」
「そうなんだ・・・それって
「そうだよ、チャラにしてほしいわ」
「願い事?それ?」
「よかったらチャラにしてほしいって、私にお願いしてみる?」
「え?・・・チャラにできるのか?」
「うん」
「じゃ〜早速お願いしてもいいか?」
分かったって言うとネーブルはおまわりの顔の前に右手を出して手のひらを
グーからパッと開いた・・・手に付いた水を弾くみたいに 」
「はい、行ってよ〜し・・・くれぐれも安全運転でな」
「あ、どうも〜・・・それじゃ、さいなら〜」
俺は何もなかったようにそのままネーブルを荷台に乗せたままチャリを
走らせた。
「お〜スターウォーズのフォースみたいだな、すごいな」
「なに今の?・・・え?、魔法?」
「まほう?・・・まほうってなに?」
「だから、今おまわりに、なにかしただろ?」
「うん、だからチャラにしてもらっただけ」
「ああいうのを魔法って言わないのか?」
「言わない・・・私たちの間では、ディシーバって言うけど・・・」
「ディシーバ?・・・・そうか、世界が違うと呼び方も違うんだな」
「それにしたってさネーブル、あんなことできるんだ」
「だね、まだいろいろできちゃうよ」
すげえ・・・俺、ますますネーブルに興味湧いてきた。
「さっきの小ぶりの願い事、貸しだからね」
「貸し?、貸しって?・・・願い事に貸借りなんかあるのか?」
「そんなにビビらなくていいから、
しないいから・・・」
「俺、ジャム大好物・・・とくにネーブルマーマレードジャム、それが
なきゃ朝はダメなんだ」
そんなこんなで、俺たちは我が家に到着した。
「あ〜お尻痛〜」
「ほんとだ〜・・・今にもぶっ壊れそうな家」
「私、こういう古めかしいの好きだよ・・・いい環境じゃん」
「気に入ってくれてよかった・・・・さあ、入って入って・・・」
「ただいま〜」
「おかえり〜来」
台所から母ちゃんの声がした。
つづく。
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