第4話:俺の彼女になってくれっ!!。

「ただいま、母ちゃん・・・あのさ、実はさ」

「びっくりしないでほしいんだけど・・・」


「なに?・・・あんたまた八百屋の秀吉「柴犬」の顔に油性マジックで

眉毛書いたんじゃないだろうね」

「せめて水性にしなさいよ・・・油性は消えにくいんだから・・・」


「それ、いつの話だよ、違うよ」


「ネーブル・・・こっち来て」

「母ちゃん紹介するよ・・・俺の彼女・・・名前はネーブル」


「え?彼女?・・・あんたに?」

「そう〜・・・まあ・・・でも見たところ同級生の子には見えないわね」


「学校の帰り街でナンパした」


「ナンパ・・・あんたにそんな甲斐性あったんだ・・・」


「俺だってやるときはやるんだよ」


「ネーブルちゃんって言った?・・・私、らいの母親の「真知子」よろしくね」

「ネーブルちゃんは日本人?外人、何人?」

「はじめまして真知子さん・・・今日からこのおうちにお世話になります」

「よろしく〜」

「ちなみに私、日本人でも外人でも何人でもありません」

「スキャリーです・・・」


「ああ〜〜フランス人ね、よろしく」


らい、来のおかあさん耳おかしくない?私のことフランス人だって」


「いいんだよ、そうことにしとけば」


「って言うかネーブルちゃん今日から、うちにお世話になりますって聞こえた

けど?」


「そうなんだ・・・両親がこの子を置いたままフランスに帰っちゃった

みたいでさ」

「行くとこないって言うから・・・だから僕んちで面倒見てやらないと明日から

この子、橋の下でホームレスしなきゃいけなくなるんだ」


「そうなの?・・・じゃ〜しょうがないわね」

「そういうことなら、まあいいわ・・・ネーブルちゃん、遠慮しなくて

いいからね」

「ご両親が迎えに来るまでここにいなさい」


「よろしくお願いします、真知子さん」


ってなことで、なんとか母ちゃんを誤魔化せた。

母ちゃんが単純な女でよかった。


「ってことでネーブル、とりあえず俺の部屋に行こう」


「うん」

らい、あんた・・・大嘘つきだね」


「でも、うまく行っただろ・・・結果がよきゃ途中なんかどうだっていいんだよ」


「お母さん、騙して心が痛まない?」


「なに言ってんだよ・・・俺のおかげで、ここにいられるんだぞ」

「それに本当のこと言って、母ちゃんが信じたと思うか?」


「うん・・・まあね・・・信じないよね」


「うそも方便ってやつだよ・・・」


「私よりヒネくれてるね、らいは・・・」


「大きなお世話だよ」

「ネーブル晩ご飯できるまで、僕の部屋でくつろいでて」


「分かった」


「そうそう、父ちゃんにも紹介したかったけど、仕事みたいだから・・・

夜には帰ってくるだろうから、また紹介するから・・・」


俺の部屋は二階・・・階段を上がってすぐ右の部屋。

俺はネーブルの手を引っ張って階段を上がった。


「はい・・ここ俺の部屋」

「はい、入って」


らい・・・いろいろお世話かけるね」


「乗り掛かった船・・・嵐を乗り越えて沈没しないでちゃんと目的地に

着岸しないと・・・」


「なにそれ?・・・」


「いいのいいの・・・ほらゆっくりして・・・ソファに座って」

「のど乾いてないか?」


「大丈夫」


「ふ〜ん・・・ここがらいの部屋?」


「自由に使ってくれていいから・・・たって、何がなんだか分かんないよな」


「あれなに?」


「ああ、コミック・・・漫画の本?」


「漫画?」


「ゲームもあるからね・・・あとで、やり方教えてあげるから・・・」


らいの部屋っていろいろ面白そうだね」


「俺くらいの歳の男の部屋なんてみんな同じだよ・・・」

「あのさ・・・部屋、臭くないか?」

「女の子、入れたの始めただからさ俺は自分の部屋の匂いに慣れてるけど」


「大丈夫だよ・・・ふふ、エロい気分になりそうな男の匂いがする・・・」

「どうせこの部屋、私のフェロモンでいっぱいになるし・・・」


「ところで、らい、お礼」

「私のことらいの家に連れて行ってくれたらひとつ願い叶えてあげる

って言ったでしょ」

「だから、なんでも願い事叶えてあげる」


「まじで?・・・いいの」


「いいよ・・・考えた?、なにお願いするか?」


「うん・・・考えた」


「いいよ、じゃ〜その願い言って」


「じゃ〜・・・じゃあ・・・言っていい?」


「いいよ・・・」


「あ〜ドキドキする・・・深呼吸、深呼吸」


「じゃ〜言うぞ、俺の願い」


「ネーブル・・・俺の彼女になってくれっ!!」


「・・・・・・・」


「え?」


「だから、ネーブルに俺の彼女になってほしいってのが俺の願い・・・

なんでもって言ったよね」

「俺の彼女になってくれるだろ?・・・ネーブル」


「まじで?」


つづく。


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