第14話 プレイヤー

固有ユニークスキル?」


「えぇ。固有ユニークスキル。なんらかのすごくすごく特殊な条件を満たしたときに取得できて、1人しか取得できない超超レアスキルってわけ。それを試してたのよ。今は」


 どうやら話している間に幻術は解いてくれたようで、音がしなくなっていた。


「なるほど。その条件ってのは……」


「詳しくはわからないわ。でも恐らく、飛蝗人ローカストマンであることと幻術師イリュージョナリストを取得していることは必須でしょうね」


「なるほどなるほど。ステータスを見せてもらうことは……」


「良いけど、まずはパーティに入れてよ。それと、フレンド登録もね。せっかくプレイヤーに会えたんだから。逃げるなんてなしよ」


 外見こそ醜いが、プレイヤーが仲間になるというのは願ってもないこと。

 ムカデの外見にも慣れたし、バッタでも大丈夫だろう。……多分。


「もちろん。これからよろしくな、レナ」


「ええ、こちらこそ」


PNプレイヤーネーム:レナからフレンド申請が届きました。承認しますか? Yes/No〉


 Yesを押す。


「よ、よろしくお願いします、えっと、レナ様」


 それまで見ていただけのロイもレナに挨拶をする。


「よろしくね。ロイ……くん?」


「ロイは男——いや、オスだ」


「ロイくん。私のことはレナで良いわよ。様、なんて堅苦しくて私が嫌よ」


 私が嫌、と言われればロイには何も言えない。


「で、では、レナさん」


 それでも不服そうなレナだったが、それを口に出す事はなかった。


「てことで、仲間になったわけだし、ステータスを見せ合わないか?」


「そうね。——ステータス」


 レナはそう言うと、『共有モード』を選択し、俺とロイにも見えるようにしてくれた。

 それと同じことを俺も行い、レナにステータスを見せる。



氏名:レナ

種族:飛蝗人ローカストマン

職業:魔法師マジックキャスター幻術師イリュージョナリスト

レベル:18

HP:340/340

MP:710/710

筋力:169

防御:199

魔力:721

魔防:229

素早:550

器用:145

幸運:400

スキル:回避lv2、鑑定lv3

種族スキル:炎脆弱lv5、超跳躍lv3、後脚強靭

固有ユニークスキル:蝗害アバロン

称号:なし



「レベル高くねぇ?」


 俺のレベル12も結構高いと思ってたんだが……上には上があるもんだな。


「これくらいは当たり前でしょ。この『カルティエ大森林』にたどり着いてるんだから」


「カルティエ大森林?」


 聞いたことのない単語だ。この森の名前か。


「まさか知らなかったの?」


「あ、あぁ。情報は特に仕入れてないからな」


 レナは手を頭に当て、呆れたように頭を振った。


「情報収集は大事なのよ? ゲーム内で誰ともコミュニケーションが取れない魔物系種族は特にね」


「それはそうだが……」


 めんどくさかった、とは言えない。俺はネットで調べている暇があったら、プレイしていたい質だ。


「はぁ。じゃあ説明してあげる。ここはカルティエ大森林。プレイヤーが現状発見している森林では、1番大きな森よ。最前線のプレイヤー、いわゆる『攻略組』たちは今、9番目の街『ナインステイル』までたどり着いてる。で、この森を抜けた先にあるのが、10番目の街——いや、国だったかしらね。城塞国ストゥートゥ。攻略組は今、そこを目指してる」


「ちょ、ちょっと待て。俺たちは今、プレイヤーたちの最前線にいるってことか? 俺は街なんて一度も見てないぞ」


「正規のルートで来てないってことか。魔物系種族は可能なのよね。それ。街に入れる種族は、新たな街に入るまでにエリアボスを倒す必要があるけど……」


 それなら俺も知っている。図らずも、裏道のようなところを使って来ていたってわけか。


「それにしては高いわよ。12レベルは。私はしっかり手順に則って、全てのエリアボスを倒してここまで来てるわ。街には入れないけど。経験値効率が良い狩場があるの? だったら教えて欲しいわ」


 あるにはあるが……これを言っても良いものか。

 ちなみにロイによると、あのとき消え去ったゴキブリの大群は、次の日には復活していたらしい。恐ろしや。


「いやまあ、あるにはあるが……いや、やめておこう。俺はもう行く気はない。見たくもないね」


 少し考えるそぶりを見せたレナだったが、すぐにそれをやめた。


「そ。ならまあいいわ。ところで、私はこれからこの森のエリアボスを倒そうと思ってるんだけど、どう?」


 ユーライの話によれば蛇がいるということだったな。


「ヘビがいるって話だったが……」


「へえ。それは知ってるのね。9番目のエリアボスは猛毒大蛇ジャイアント・ポイズン・スネーク。まだ戦ったことのあるプレイヤーがいないから情報がないわ」


「そ、それなら、族長に聞くのはどうでしょう」


 名案はロイから出た。


「いいね。じゃあ、一旦大岩に向かおう」


 『族長?』と首を傾げるレナに一通り説明をして、俺たちは大岩に向かった。

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