第35話 悪夢の要塞

 中世ヨーロッパの片隅に、荒れ果てた城塞がひっそりと佇んでいた。その城塞は不気味な噂で知られ、勇者たちは敬遠するほどだった。


ある晩、勇敢な騎士がその城塞に挑むことを決意した。彼の名前はセイラムで、彼は困難に立ち向かうことで名を馳せた騎士だった。


城塞の扉が不気味な音を立ててゆっくりと開くと、セイラムは中に足を踏み入れた。中は薄暗く、床にはほこりが積もっていた。廊下を進むと、幽霊めいた影が目の前を横切るのが見えたが、セイラムは決して動じなかった。


彼が城塞の奥深くに到達すると、ひときわ寒気が増していく。一室にたどり着いたセイラムは、そこで見たものに心底驚愕した。部屋には彫像のように凍りついた人々が座り、彼らの瞳は深い悲しみと苦悩を映し出しているかのようだった。


彼らの魂が城塞に閉じ込められ、永遠の悲劇を演じているのだと知ったセイラムは、その城塞を呪いから解放するべく戦いに挑むことを決意した。しかし、城塞の中には忍び寄る死者たちのささやきと、過去の因縁が蔓延っており、セイラムの気力を奪おうとしていた。


彼が城塞の最深部に到達した時、巨大な影が彼を包み込み、それはかつての城主の亡霊だった。城主は復讐の念に取り憑かれ、城塞に住む者たちを苦しめていた。


セイラムと城主の亡霊の戦いは激しく、刃の音と呻き声がこだました。最終的に、セイラムは城主の亡霊を敗北させ、城塞の中の魂たちを解放することに成功した。しかし、セイラムもその戦いで傷を負い、城塞は再び静寂に包まれた。


以後、その城塞は「悪夢の城塞」として知られ、勇者たちはなおもその場所を避けるようになった。しかし、その中に住む者たちが見たものは、勇者たちが知り得ない秘密と悲劇の物語だった。

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