第36話 呪われた修道院

 ある小さな村に、古びた修道院があった。この修道院は何世代にもわたり、恐ろしい呪いに苛まれていると噂されていた。ある夜、村の若者で勇敢な者たちが、その修道院に挑むことを決意した。


修道院の扉がゆっくりと開かれると、彼らは暗い廊下を進んでいった。足音が響く中、かすかな声が耳に入り始めた。それは亡くなった修道院の住民たちの声だと分かった。


修道院の中では幽霊たちが影となり、過去の罪と悔いを背負ってさまよっているようだった。彼らは痛ましい叫び声を上げ、村の住人たちが忍び寄る死と疫病から逃れようとする悲劇を繰り返しているように見えた。


一行は修道院の奥深くに入ると、そこには呪いの元凶と言える「呪術の書」が祭壇の上に置かれていた。若者たちは慎重に書を取り扱い、呪いを解く方法を調べ始めた。


しかし、書を手に取った途端、修道院は悲痛な声で震え、床は血のような赤い光に包まれた。幽霊たちは凄絶な叫び声を上げ、その姿は恐ろしいほどに歪んでいく。


若者たちは恐怖に打ち震えながらも、呪いを解く鍵を見つけ出すことに成功した。祭壇の上に散らばる白い花を使い、彼らは修道院に住む者たちの鎮魂のために祈りを捧げた。


呪いが解けると、修道院は静寂に包まれ、幽霊たちは平穏な表情を浮かべながら消えていった。村に平和が戻ったかのように思えたが、修道院の影には永遠の悲劇の名残りが残ったと言われている。

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