第24話 影の城

 ある小さな村には、山のふもとに古びた城が立っていた。人々はそれを「影の城」と呼び、太陽が西に傾くと、その影が村を覆い隠してしまうと言われていた。


ある晩、村の若者ピーターは友達とともに影の城に興味津々で足を踏み入れた。城の扉が開いていたため、彼らは興奮しながら中に入っていった。


中は寒々しく、風が抜ける音が立ち上がる。しかし、彼らは不気味な気配を感じながらも進んでいく。最下層の地下室に足を踏み入れた時、彼らは古びた書物が山積みになっているのを見つけた。


ピーターは一冊の古い手帳を手に取り、その中の古びたページをめくった。すると、城の歴史とともに、一つの奇妙な話が綴られていた。


「ここは闇の支配者が統治する場所。その影は夜になると、村を呪うようにして現れる。一度でも影に触れれば、その者は二度と日の光を見ることはない。」


友達と共に手帳を読んでいたピーターの手が震え、足元から寒気が立ち上がった。そのとき、後ろから何かがそっと彼に触れたような気がした。


ピーターは一瞬目を閉じ、再び開けると、友達たちはどこにもいなくなっていた。唯一残されたのは彼の手に握られた古びた手帳だけだった。


影の城に足を踏み入れた者は、その不気味な影に取り込まれ、二度と姿を見せないと言われていた。そして、以後、村人たちは影の城を忌み嫌い、夜になるとその存在を思い出しては恐れの念に駆られた。

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