第13話 異世界創造“序”
村長たちとの戦闘後、オレは村長たちのステータスや持ち物などを詳細に収集する魔法を使った。
早くこの異世界に馴染むためとはいえ、死者から情報を引き出せたことに驚きつつ、それに焦点を当てた。
マサキが村人を保護しているかもしれないが、それでは得られない情報もあることに気づいた。
村長たちが使える魔法、隠された秘密、昔の知識、そして知恵。これらは当時を生きた者しか知らない可能性がある。
得られた情報には、村の年間計画、魔法の伝承、地域外の生活、森での生活理由、そして狩猟に関する知識が含まれていた。
それらを踏まえた上で、地域での安定と発展、商人と間者の育成、そして人口増加。これが今後の計画だ。
後はマサキとの協議、仮想世界での活動時間を伸ばす提案をしよう。
週に三日ダイブしても、一月に最大十二日。一月で一年ペースだ。正直、これが丁度良いだろうか。
しかし、他の世界での体験や、マサキにかける現実時間で考えれば、もっとダイブ時間を伸ばしてもいいかもしれない。
というより、この新しい異世界でもっと多くのことを経験したい。思いを抱きながら、オレは村長たちの死体を燃やし、マサキの元へと向かった。
「終わったか?」
「おお! ヒロトも終わったんだな」
マサキは声に反応し、同意する形で全てが終わったことを告げた。
オレはそれを理解し、次なる計画の協議を始めようと考えた。
そこで、ふと気付くとマサキの奥に村人がいた。
マサキが終わったと言っていたなら、あの村人たちは組織に加える者たちだろう。
「あの村人たちは組織に加入しても問題ないか?」
「ああ、問題ない。今後どうするか話し合うから待たせているんだ」
「そうか。とりあえず成功だな」
「おう」
計画が達成されたことを確認する。
「それじゃあ、これからについて少し話したいんだが、何か要望はあるか?」
「そうだな……滞在時間は、伸ばしたいかな」
「他には?」
「ううん……まあ、滞在時間にも関するんだが、裏の世界で生きることを決めたけど、やっぱりいろんなことを体験したいな。今のところこれぐらいだな」
「そうか。分かった」
マサキの要望を聞き出し、自分で考えていた計画と擦り合わせてオレは口を開いた。
「オレも滞在時間は伸ばしたかった。だからこれは決定。現実世界一日をこっちは一年でいいと思う」
「まあ、それがベストかな」
「計画を言うとするなら、今から行うべきことはこの地域で安定した生活と発展。次に商人と間者の育成。そして人口増加ぐらいだ」
「前二つは分かるが、人口増加は何でだ?」
「紛れるためでもあるが、後々国として他国に認めさせるため。オレたちはそれを操る裏の支配者になるってわけだ」
「なるほどね〜」
裏の支配者とは、力を持ち一番自由に世界を謳歌できる者たちのことを指す。
それは、どの世界でもそうだと思っている。
だからオレは、この世界で裏の支配者になることを決めた。
表は別に村出身者の血族を立てればいい。国の強化と裏組織の拡大。やることは決まった。
「ま、始めは暮らしの安定と発展だ」
「俺たちの知識とこの世界の知識で爆速発展させねーとな」
「ああ。それじゃあまずは、全員の魔力感知からだ」
「任せろ」
マサキは返事を残し、すぐに村人たちを集めていた。
男女共に生存しており、男性は若く、女性も若者が多いが、高齢者、中年者、青年もそれなりに残っていた。
夫を殺されて腹は立たないのだろうか。
父を殺されて復讐心は無いのだろうか。
男性なら何となく理解できるが、女性がここに居る理由ははっきりしない。事情聴取は必須だろう。
マサキが魔力感知を教えている間、再度魔法について情報を整理し、実験を行うことに決めた。
村長たちからの情報によれば、人間は得意な属性が二つ程あり、他は個々に異なる能力差があるようだ。
調べてみれば、オレは氷属性が一番で、水属性が次に得意なようだ。
氷は五日間の間に判明していたが、水も得意とは気づかなかった。
この感じでは、属性は似た分類のものが得意とされる可能性がある。
マサキの場合だと、火魔法が一番得意そうだったから、炎や熱、そして光属性もその傾向があるかもしれない。
魔法はイメージが重要であることを理解している。
この異世界にない属性も派生させることが出来る。オレはそう感じている。
だから、火、水、土、風、無の基本五大属性以外の、派生した属性が強くても問題はない。
むしろ、強くなるためには得意な派生属性を見つける必要がある。
オレは氷と水だからそれら関係は勿論だが、無属性に可能性を感じる。
どこにも属さない魔法群ならイメージだけで幾つでも思いつきそうだ。
「終わったぞ」
「ああ、おつかれ」
「忘れてたけど、今すぐ滞在時間伸ばすか?」
「いや、今回の三日間は変更なし」
「了解」
マサキが魔力感知の報告とダイブ時間について伝えてきた。
オレは意見を述べ、マサキは反論せずに承諾した。
さて、魔力感知も終わったことだし、適性分けを始めるか。
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