1日目②
まずはクラス選択から始めよう。
クラスとはゲームで言うところの剣士、魔法使いなどの役割の事だ。
初期クラスは本人の趣味嗜好、能力、体験などが反映された3つの選択肢から1つ選択する事が出来る。
自分の場合はこの3つだ。
・獣使い
…入手スキル『テイム(獣)』、『意思疎通(獣)』
・初級鍛冶師
…入手スキル『装備作成Lv1』、『錬成Lv1』
・初級魔法使い
…入手スキル『魔術適性(1属性選択可)』、『付与魔法Lv1』
スキルの効果が分からないが恐らくはそのままの意味だろう。
獣使いは猫を飼っているからだろうが、鍛冶師は工場勤務だったからだろうか?
魔法使いに関しては基本的にインドア趣味で本を読むことが多かったからだろうか?
よく分からない。
まぁ、ここは愛猫家として選択肢は一つだろう。
『獣使い』になると心で念じる。
次はスキルの選択だ。
初期スキルに関してもクラスと同様本人の趣味嗜好、能力、体験が反映された5つの選択肢から2つ選ぶ事が出来る。
一応クラス選択で入手出来るスキルとは被らない様になっている様だ。
・『身体強化Lv1』
・『筋力強化Lv1』
・『持久力強化Lv1』
・『耐久力強化Lv1』
・『鑑定Lv1』
上の4つは体を使う仕事をしていたからだろう。
文面から察するに身体強化は満遍なく身体を強化する感じで、他の3つは一点強化型だと思う。
鑑定はファンタジー的に必須になりそうなので、決定するとして、残りの一つは身体強化にしておこう。
鑑定と身体強化を取得する。
名前:猫塚大地
種族:人間
性別:♂
クラス:『獣使い』
レベル:1
MP:100/100
筋力:10+1
魔力:10
耐久:10+1
敏捷:10+1
持久力:10+1
スキル:『ステータス閲覧』、『テイム(獣)』、『意思疎通(獣)』、『鑑定Lv1』、『身体強化Lv1』
SPなし
ステータス閲覧で身体強化の効果を見るとどうやら
Lv×10%の身体能力の補正なのだろう。
ステータスの設定も終わったしそろそろかなと身構える。
ステータスの設定が完了次第、元いた場所、時間に戻れると伝えられている。
その瞬間この空間に来た時と同様視界が一瞬ホワイトアウトした。
視界が元に戻ると手に持っている冷凍パスタの冷たさに気が付く。
あの遺跡の様な空間には体感1時間以上いた筈だが手に持つパスタの冷たさも硬さも先程と全く変わらない様に思う。
電子レンジにパスタを入れW数と時間を入力する。
そのままテーブルに置いてあるスマホの時間見るとまだ午前1時2分との事だった。
そのままZと呼ばれるSNSアプリを開きダンジョンで検索をかける、するとちらほらと件のダンジョンの事と思わしき検索結果が表示される。
その投稿によると意識が戻り急いで2階にある自室の窓から周囲にダンジョンが出来ていないか確認すると、なんと自宅前から道路を挟んだ向かいにある田んぼの真ん中にポツンとコンビニ程の大きさの謎の建造物があったというのだ。
ちなみに写真付きだ。
写真を見ると月明かりに薄っすらと照らされる様にして、確かに周囲の背景に不釣り合いな石造りの建造物が写し出されていた。
レンジから加熱の完了を知らせる音が聞こえた。
スマホをダイニングテーブルの上に置いてレンジの前に移動する。
レンジの中からパスタを取り出し皿に移す。
今日はペスカトーレだ。
魚介、トマト、ニンニクの香りが部屋に充満する。
コーヒーメーカーでインスタントのコーヒーを淹れる。
ダイニングテーブルにパスタとコーヒーを移動させて、猫専用にしている6畳程の部屋に移動し餌皿にカリカリタイプのキャットフードを適量乗せ、その上にささみの粉末を振りかける。
背後には音も無く猫達が待機しなが無言の圧をかけてくる。
素早く横に移動する。
その瞬間我先にと猫達が移動を開始する。
「さっ、召し上がり下さい」
大地が仰々しく猫達に話し掛けるが、いつもの様に視線も向けずにキャッチフードに食らいついている。
御飯時のルーティンだ。
我が家では全てにおいて猫が優先されるのだ。
ダイニングテーブルに移動し、食事をしながら今後の動きについて考える。
冷静さを保てているのは先程の謎の空間であらかじめ情報共有されているのと、生来の性格からだろう。
何が起きるにしても普段から災害に備えてローリングストックで備蓄をしているため、現状としては衣食住の確保も十分だと思うので、そこまで慌てる必要は無いだろ。
それから20分と少しが経つくらいの頃だった。
食事を食べ終え、緩くなったコーヒーを飲みながらスマホで色々と情報収集をしていた。
その時だった。
スマホからJアラートの通知音が鳴り響く。
急いでコーヒーを胃に流し込み、スマホを操作しアラートを消す。
時刻は午前1時38分。
スマホの画面にはダンジョンの安全が確認されていない為ダンジョンへの立ち入り禁止の勧告と、周囲には決して近づかない事など国民の安全の確保を最優先にする旨のメッセージが記されていた。
また、政府は早急に調査チームを組織し、警察所属の特殊部隊を派遣する様だ。
こんな前代未聞の緊急事態にも自衛隊の派遣が直ぐに出来ないのは、万が一の国民の非難を恐れての事だろう。
ダンジョン侵食の発生迄どれほどの猶予が有るのかは知らないが、流石にある程度の猶予は確保されていると思いたい。
迅速な対応をするに越した事は無いだろうし。
洗い物を終え、定位置のソファに戻りリモコンを操作し適当なチャンネルを複数点ける。
案の定、全てのチャンネルでニュース番組をやっている。
自分はTVのニュースより先にSNSを見てしまう典型的な最近の若者なのだ。
まぁ、ニュースを見た感じSNSで見た情報とそこまで変わらない様に思う。
再びスマホを手に取り情報収集を始める。
Zでダンジョンと検索し画面をスライドし何度も更新し、出来る限りの情報を目に入れる。
暫くそうしているとダンジョン内に潜入したと思われる人の投稿が引っかかった。
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