17位・「敗戦後論」加藤典洋

 僕が持っている本の帯には以下のように記載がある。

「ここで辿られているのは、もしわたしが戦後の問題を考えるとしたら、どういう順序になるか、ということではないかと思っている。……オレは知らないヨ、という無関心を起点に、戦後と戦後責任について考えるとしたら、その順序はこうなる。そういうことをわたしは、ここに、政治と文学と、二つの方向から、二つの論の形で、書いてみたつもりである。」


 加藤典洋は戦後の問題を「オレは知らないヨ、という無関心」をも肯定したところから論を出発している。真面目な人からすると、とんでもないと言われそうな部分ではあるけれど、戦後と言われてもと躊躇してしまうゆとり世代の僕からすると、有難い切り口だった。

「オレは知らないヨ、という無関心」を許してくれるからこそ、戦後を冷静に見て自分事に引き取れる人もいるだろう。僕がそうできるかはまた別の話になるけれど。


 加藤典洋の文学に関する文章は昔、少し読んで好きだった。「敗戦後論」の文学論、とくに「太宰VSJ・D・サリンジャー」の箇所は頷きながら面白く読んだ。

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