16位・「アクト・オブ・キリング」ジョシュア・オッペンハイマー

 好きか嫌いで言えば、まったく好きな作品ではない。

 内容としては「1960年代インドネシアで行われた大量虐殺を加害者側の視点から描いたドキュメンタリー」で「60年代、秘密裏に100万人規模の大虐殺を行っていた実行者は、現在でも国民的英雄として暮らしている」と概要欄は続いている。


 監督であるジョシュア・オッペンハイマーは加害者たちに向けて「カメラの前で自ら演じてみないか」という提案をする。彼らは「意気揚々と過去の行為を再現していく。やがて、過去を演じることを通じて、加害者たちに変化が訪れる」。


 加害者の変化とは、被害者の気持ちが分かってしまったというもの。けれど、それは上辺の「分かった」ことで、殺されていった被害者はもっと深い絶望と恐怖と共に死んでいった。

 監督のその指摘に加害者の一人は何百人も物のように殺していた屋上で嘔吐する。

 この嘔吐のシーンが重要なのは流石に分かる。最後の嘔吐のシーン。それだけで16位に入れざるおえなかった。

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