第7話 順番も内容も可笑しいだろうが
「は、初デートでディープキスと同棲の約束をしたあ!? それも向こうからだと!」
「ちょ、ちょっと何言ってるのか。順番も内容も可笑しいだろうが……」
GW明け、出向先の歳は自分より若い同僚二人にGW中の出来事を聞かれたので、ホクホク顔で
この二人、彼女持ちで長い付き合いであるらしく、ただ未だ若過ぎる故にもう少し色々と手順を踏んでから結婚すると前々から聞いていた。
俺はこのGWの休みだけで、そんな
何せ俺自身が驚いているのだから、まるで下手くそな結婚詐欺師にでも捕まったかのような出世振りだ。
それから俺と雪香は、もっと広い部屋を探すまでの間、互いのアパートの合鍵を渡し、行き来する仲となった。
彼女も運転が好きだったので、此方側にも訪ねてくれた。俺が都内通勤で帰りが遅くなるからすれ違いになるというのに、作り置かれた肉じゃがにホロリッとしたこともあった。
俺は27歳、彼女は28歳……互いに大人の男女である。彼氏彼女で互いが許し合えるのであれば一線を越えてしまうことに何の
添い遂げる方を先に決めるなんて昭和以前の純潔な付き合いのようである。
俺のアパートのロフト、二人で寄り添うにはかなり狭い。一緒に
「………したい」
「勿論良いよ、もうお互い大人何だから……」
敢えて繰り返そう、俺は決してDTじゃない。ただ独りの想い人がこれまでいなかっただけだ。
だけどこれまで他の
「す、凄いよ……もうずっとずっとこうしていたい」
「わ…」
ピーーッ!!
あ、駄目です。流石にこれ以上は……。
『俺だけは晒しても構いませんが此処から先は皆様の御想像で、楽しんでねっ(?)』
お互いの氷が溶けて打ち解け合うと、色々とこれまで言えなかった本音が腕枕の上から聞こえてきた。
「もうあの桜の写真を貰った時から感動して例え恋人になれなくても良いから一生貴方と関係を持ちたいと思ってた……」
――あ、あのメールでそこまで!? どうやら此方の想像以上に雪香の
次は雪香のアパートへ自分が泊りにいった時の出来事。同棲をするにあたり、彼女の方が今までの仕事を退職し、此方に移り住んでくれることを決めてくれた。
俺が東京まで通勤しないといけないことを考慮してくれたのだ。勤め先への退職届の理由欄にこう記載されていた。
"結婚準備で引越しするため"
――う、うんっ、やっぱりお互いこの歳で同棲ってことはそうなるよな。い、いや、勿論覚悟(?)はしていたさ。
「後……お父さんに一緒に住みたい人が出来たって言ったら『そんな人がいるのなら紹介しなさい』って言うんだけど……駄目、かな?」
これは流石にちょっと遠慮しがちな態度で、でも絶対に断れない状況を作ってきたと言えなくもない。
――あ……やっぱ、そうなるよな、うんっ。あ、余りに展開が早過ぎる気もするが……。
後ろめたさがないと言えば嘘になる。雪香は所謂江戸っ子で二人のお兄さんがいる末っ子。
もっと言うならお母さんを小さい時に亡くしている。早い話が家族唯一の女手であり、親父さんにとっては目に入れても痛くない可愛い存在に違いない。
『
どうする?
▶あいにゆく
ごまかす
「も、勿論……だ、大丈夫だよ」
選択肢、そんなもの他に在ろう訳がないのだ。
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