第27話
「今すぐ、私と一緒にホテルに向かいましょうか」
そう言って、銀髪のダークエルフお姉さんが僕を抱っこした。
その綺麗な顔は無表情だけど、ほっぺが赤くなっている。
そんなに僕に、オカして欲しいのかな?
そうだとしたら、嬉しいな。
「ちょ、ちょっと、リーシア! あ、あなた一体、何を言ってるのですか!? ほ、ホテルに連れ込もうとするだなんて……この!! 未成年淫行罪のド変態エルフッ!!」
「そうじゃ! そうじゃ! 早く、リーユから離れるのじゃ!! 性犯罪者のメスエルフめっ!!」
金髪のエルフお姉さんと一緒に、エルメダは―――リーシアと呼ばれたダークエルフのお姉さんを責め立てた。
「アリシアも君のお姉さんも、何を言っているのかしら? ねぇ……?」
金髪のエルフお姉さんの方は、アリシアって言うんだ。そう思いながら、リーシアお姉さんに頭を撫でられ同意を求められた。
「ん~……」
ミセイネン……なんちゃらかんちゃらとか、セイハンザイシャって、何なのかは分からないけど、多分二人はわざわざホテルに行かなくても、僕がお姉さんたちをオカせるってことを伝えたいんだろうね。
でも僕は……それよりも……。
「アリシアお姉さんとエルメダお姉ちゃんが言ってることは、よくわからないけど……」
「お姉さんっ!!」
突然、僕がアリシアお姉さんって言ったことで、白いお肌をマグマのように赤くして蒸気を頭のてっぺんから噴き出した。
そんな特異的な現象を引き起こしたアリシアお姉さんに目が行ってしまいそうになるけど、何とかこの好奇心を抑えて言葉を続けた。
「僕はね……ホテルなんか行かないで、今すぐここでお姉さんたちをオカしたいの!」
「「「………」」」
あ、あれ? なに、この沈黙……!!
僕、何かマズいこと言っちゃった!? 言っちゃったの!? やらかしちゃったの、僕!?
突然、訪れた沈黙に僕は焦った。それはもう、今まで経験したことが無いほどに焦った。
僕は自分の発言を振り返っても、こんな状況になるような発言はしてないと思い、知らないうちにやらかしてしまったのか、勇気を振り絞って訊いてみる。
どうか、怒られませんように……!! と、お祈りしながら。
「あ、あの……」
「―――リーシア、ここで致しますよ」
いざ僕が声を発すると、アリシアお姉さんはリーシアお姉さんに真剣な顔でそう言った。
えっ? 何を致すの……?
そう疑問に思っていると、同じく真剣な顔でリーシアお姉さんは「わかっているわ」と返した。
そしてリーシアお姉さんは、魔法を展開しようとする。
「≪
リーシアお姉さんが呪文を唱えると、真っ白な結界が僕とアリシア、リーシアお姉さんを閉じ込めた。
「あれ? みんなは……」
「この結界の外にいるわよ。ただし、こちらの姿や声は認識されず、逆もまた私たちを認識できないわ」
僕は回りを見渡して疑問を言葉にすると、リーシアお姉さんが丁寧に状況を説明してくれた。
「そうなんだ……スゴイ魔法だね! リーシアお姉さんの魔法!」
僕がそう感心の言葉を送ると共に、尊敬のまなざしを向けると、
「……っ! これは中々の破壊力……」
「スゴイでしょう? その子の笑顔……」
リーシアお姉さんの呟きに、アリシアお姉さんは同調し微笑んでいた。
どういうことだろう、と僕は二人の顔を交互に見ていると、アリシアお姉さんが身に付けている装備に手をやる。
僕はその行動に、強い不信感を抱いた。
「ん? 何で装備を外そうとしてるの? アリシアお姉さん」
「ふふ……それはね」
「これから、私たちと……」
「「愛の―――」」
二人が僕に装備を外そうとする、本当の理由を話し始めた。
次の瞬間―――。
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