第40話 ダンジョンは繋がっていた
今日は12月30日だ。今年もあと1日。温泉からダンジョンに瞬間移動し、午前中はみんなで固まって97階層の植物を採った。
特別変った植物がなかったので、思い切って100階層に転移した。
「お昼はここの安全地帯でお魚を焼いて食べますね。
ここにいるのはイワナとか普通の川魚ですよ。小川の中州に安全地帯があります。膝までしか浸かりませんから、歩いて行きましょう。
ここの中州は魔法学院の運動場くらいの広さしかありませんから間違っても安全地帯から出たらダメですよ。特に先生いいですか。ウロウロするんじゃないですよ」
野菜を探した。
こんなときも皆が固まって採取する。
安全地帯以外いつ魔物が襲ってくるかわからない。
「すご~い、みんな、こっちに来て、これ見て、超高級食材の松茸に白トリュフよ。まだまだあるよ。早くこっちこっち」
高級食材ばかりを採取できたから私の顔はほくほくだ。今からイワナと松茸を焼きますからできるまで先生はあまりうろうろしないでください。
あれ?先生どこに行ったの?さっきまでいたのに。
「ちょっとみんな来て!先生がいなくなったわ」
「お~い先生どこだーーーーー」
「ビリットあまり離れてはだめよ」
「平気だ……」
「あれ、ビリットがいない」
「え~ビリットまでいなくなったの!」
カネヨがキョロキョロしている。
「だったら、みんなで手を
先生が見つかった。
「あれ……」
「先生もビリットもびっくりしたよ!
ここにいるなら声を掛けてくれたらいいのに!!」
カネヨが少し怒っている。
「……違う。カネヨ。ここは、さっきの場所じゃないよ。よく見てごらん」
ビリットが少し強い調子で返事をした。
全員であたりを見回す。
すぐ理解できた。
安全地帯の前に広がるのは砂漠だ。
ここはダンジョン100階層ではない。
喉が渇いたが砂漠なので水魔法で水を補給する。とりあえず魔法が使える場所であっただけでもありがたい。
朝から植物採集をしていたから何も食べてない。
魚を焼いている最中だったし、つまみ食いもしていないから腹ぺこだ。
「とりあえず食事にしたいですね。でも砂漠だから何もいないようです。サソリの大きなのは嫌ですからとりあえず歩いて速くここを出ましょう」
マリアンナは全体を確認したいので一番小さいのに魔法に頼らずに歩くことにした。
2時間たった。
今日は植物採取なので携帯食は安全地帯に置いてきた。もうお腹が限界にきていた。先生だけどね。
「マリアンナ私もう歩くの嫌。なにか食べたい。魔法で焼き鳥を出して!」
「先生、そんな魔法はありません。子供じゃないんだからもう少し我慢して!」
それから1時間が経過したとき、やっと砂漠を抜けた。
「ちょっと。みんな止まれ!」
「どうした。ビリット」
「なんか人が集まってるぞ。ヒンセイ、見てみろ。軍人のようだぞ」
「あの紋章はフタマタ商業国家陸軍第一師団のものです」
「ヤジンカさんよく知ってるわね」
「いえ、ミラージュ様私は各国の軍人の紋章に興味がありまして、軍章ワッペンを集めています」
「面白い趣味ですね『軍人の軍章ねえーーーー?』」
「それはそうとここは何処なのかしら。調べましょうか。“ヨセアツメ”の皆さんに迷惑がかかるかも知れませんが、一緒に行動して頂けますか」
「マリアンナさんは私の命の恩人です。私はいいですよ。みんなも協力してくれるよね」
“ヨセアツメ”の面々も強力を惜しまなかった。
何もわからない状況では動きようがない。ひとまず、様子を伺うことにした。
そこには浮遊魔道船が数十隻あり、兵士が忙しく武器を運び込んでいる。
「こら!貴様。その魔道大
今日が最終日だから急げ。今がチャンスだ。これが成功したら俺たちの給金は上がるぞ。
いいかインキナ共和国と神聖キツソウ国の国内が安定していない間に攻めるぞ。
正月明けの王都は油断しているから軍も警備が甘くなっているはずだ。
いいか浮遊魔道船で武器を20階層の安全地帯まで早く運べ。そうすれば100階層の安全地帯まで一足飛びに運ぶことができからな。
あとは我らが100階層で発見した転移門で呪文を唱えれば1階層まで一瞬で移動できる。さあ時間が無い急げ」
「ねえ、みんな、ちょっとここから離れるから私の側に来て!」
「マリアンナ!!いくらなんでも砂漠に戻ることないじゃない」
「だけど先生誰もいないから話を聞かられることないよ」
「まあそうだけど」
「さっきの話なんだけど、どう考えてもダンジョン100階層はアーメリア王国にしかないよね。他の国で判明しているのは最高70階層までのダンジョンよ。王都のダンジョンは何階層あるか謎だけど、100階層までは今日確認できたよね」
全員が真剣に聞き出した。
「公式には73階層までだけどね。まとめてみるね。”フタマタ商業国家はどこかのダンジョンの20階層に武器と兵士を運んでいる。そして20階層の安全地帯はアーメリア王国の王都ダンジョン100階層の安全地帯に繋がっていてまもなくフタマタ商業国家が攻撃してくる”。こんなところでしょうか」
「そうだよね。これは先手を打たないと不味ことになるね」
「ねえ、ヒンセイここと繋がっている場所は判ってるので、土魔法で王都ダンジョン100階層の出口を塞さごうか?」
「爆裂魔法一発で除去されてしまう思うよ」
「もう時間がないから軍本部の爺ちゃんに相談しようか?」
「私たちは遠慮したほうがいいような気がしますね」
「あ、リサさん大丈夫ですよ。みなさんは誓約書にサインされてますから。それにみなさんのことは父から聞いてますから」
「そう言っても」
「あ、イパスさん、あなたがダンタリア帝国の間者ということは知ってますから」
「あなたもフタマタ商業国家のスパイですよね。ヤジンカさん。
それと、ソレガさんがインキナ共和国のスパイですね。
チャックさんは神聖キツソウ国のスパイで、
リサさんとマナさんはアーメリア
ヨセアツメの面々は顔を赤らめて下を向いている。
「みなさんは誓約書にサインししたので結局我国に不利なことはできませんし、本国に帰って
では、転移しますね。私の側に来てください」
軍本部に転移した。“ヨセアツメ”と共に。
「プリット大将!ごきげんよう」
「どうなされた。姫様」
“ヨセアツメ”の面々はあまりにも早い展開に口をパクパク。
「そこにいるのは諜報部の者だな」
「はい、リサ中尉とマナ少尉であります」
「よく知っておる。姫様が迷惑かけるな」
「いえ、あの、姫様とは?」
「おお、そうか初めてか。王女殿下だ。」
二人は見つめ合って、そして失神した。
「そこの4人は例のスパイか。で、姫様どのような件で来られました?」
私はこれまでの
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話合いは終わり作戦は決まった。
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「明日が楽しみですな。それとそこの6人は姫様の私兵として雇うならば構いません。タービン中将には話しを通しておきます。姫様に心臓を抑えられておりますからな。ははは……」
プリット大将が真顔になって彼らを睨み
「おい、イパス中尉、ヤジンカ大尉、ソレガ少尉、チャック大尉、お前たちのことは調べ尽くした。まあ、誓約書のせいで最近は冒険者しかしてやっていないしな。姫様とも仲良くしてくれているみたいだから、これからは姫様のためにがんばってくれ。心配するな。誓約書に背かなくても、姫様に
彼らは、その後豚組同様いつもマリアンナと行動をともにすることになる。当然温泉も。
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