第21話 実りの秋
シラユリのことがいつも頭の片隅にへばりついたままだったが、いまだ何のリアクションもない。王城と駐屯地、ダンジョン、温泉の繰り返しだ。
変化といえば、王城のメイドが倍に増えた。
なぜか全員巨乳だ。
わたしの好みをよくわかっている。
ナイス、ビータン・チョビット今度肩揉み券をあげよう。
少し夏の暑さが和らいできた。
国境の動きがない。
兵士が負傷しなくなった。
医療班が暇なことはいいことだけど、することがなくて、暇を持て余していた。
医療班はわたしを入れて8名だ。
ミサコ大佐軍医が一人であとは看護兵の構成だ。
医療班はなぜか軍医を含め全員女性だ。そして巨乳。
「マリアンナ上等兵、これからお前はトッテル村の村人の家を一軒一軒回って健康状態を聞いてくるように!!問題があれば、あとで医療班を派遣する。
ここはこれからから
終わったらそのまま村長宅に泊まるように。
村長の了解は得てあるからな。
明日の午後からトッテル駐屯地に出勤するようしろ。
いいか、午後だぞ。午前中には出勤するなよ。間違ったら減俸だからな」
「アイアイサー」
「行かれたか」
「はい副頭領、これで行動することできます」
「こら、ミサコ大佐と呼べ」
頭領だってお家では
「ミサコちゃん今晩は子作り勘弁してくれない。僕もうフラフラなの」
と言ってミサコと呼んでくれるんだぞ。
「脱線したが、ダンタリア帝国が越境して前戦基地を設営した。
姫様が出かけている間に、上層部を始末する。
そうすれば当分越境してこないはずだ。
いいか、午前中に燻煙消毒をして午後から夜までに敵の前戦基地に着くようにする。それから夜闇にまぎれて敵の幹部連中を全員始末する。
5分以内に全てを終わらすぞ。それからとんぼ返りでトッテル駐屯地に戻る。明日の昼までに戻らないと姫様に感づかれるからな。ではすぐに燻煙消毒だ。散れ!!」
◆副頭領ミサコ大佐視点◆
姫様がトッテル駐屯地に入隊したと軍本部と影本部では大騒ぎになった。
王城の影を倍にしたばかりなのに、あの瞬間移動はホンネをいえば、止めて欲しい。
旦那と子作りの最中だったのに。
「頭領、副頭領、姫様がトッテル駐屯地に入隊されました!!」
「なんでわざわざ南部の紛争地域の駐屯地に入隊するの!」
頭領の命を受け夜を徹してトッテル村に向かう。
ほんと。あと少しで記録更新だったのよ。これでまた当分子作りできないわ。
私は桃の木事件から姫様を守るようになった。
思い起こすとビータンと夫婦になれたのはメイドとして影本部から派遣されたから、姫様のおかげでともいえる。
子作りはしばらく我慢するわ。
夜もんもんしたら姫様に王都に送ってもらおうかしら。
着任してから、姫様を呼び捨てするのがとても辛いのです。
マーメイダが出張のときは、私が連れて行ってさしあげるのですよ。
あれ不思議よね。シーシーの代わりにミーミーと言ってみたの。ダメだったわ。やっぱりシーシーなのよ。
女同士なのに姫様はとても恥ずかしがって、もう自分でするからって言って。
でも、マーメイダから、いつ敵の間者が姫様の命を狙うかわからないから、絶対に一人でトイレをさせてはいけませんと命令されてますの。
姫様が離れのトイレに行ったときに間者が、私の両手が使えないと踏んで狙ったのだろうけど、私は足技が得意なのよ。一発でのしてやったわ。姫様は便器の方を向いているから抹殺の場面を見ることはなかった。さすがマーメイダだわ姫様に惨殺シーンを見せたくないためね。
私嫌じゃないのですよ。
子どもができたときの練習になりますからね。
姫様には心を綺麗なまま育って欲しいのですわ。
赴任初日で驚いたのは
ダンタリア帝国の越境が度々で敵の斥候と争いが多発したのだ。
どうやら前戦基地を造っているようだ。このままでは戦争が起こる。
姫様が危ない。
早めに潰さないと。
ダンタリア帝国の将校を片っ端から惨殺した。
ふざけた野郎どもだった。
私が子作りできないのに、幹部は全員その最中だった。
師団長と思えるやつは3人を相手していた。
おいおい、そこのくそ爺、私は我慢しているんだよ。
将校テントを巡回して女も含めて36人ほど始末してやった。
いやなものを見た。
兵士は前戦で命をかけてるんだよ。
お前ら将校が先頭にたたないで何をしている。
ここはあまりにも危険だわ。前頭領に連絡して姫様を王都の軍に異動させてもらおうかしら。
私も早く王都に帰って両親にも早く孫の顔を見せてやりたい。
まだ出来てないけどね。
来月にはイイナ領の影の里で姫様メイドの選抜試験があるから、両親にも会ってこよう。
ただ「子どもはまだか?」と言って欲しくない。
がんばってる人にがんばれと言うのはやめてほしい。
心が痛い。
姫様の
メイド選抜試験は競争率高いのよ。
仕事はきついけど、姫様の温泉通いに最近はメイドもお供することになったからね。
締めはすき焼きだしね。
姫様の能力は極秘事項だけど、ビータンの選抜したメイドだけは許されている。
誓約書を書かされるけど、他言したり裏切らない限り、何の問題も起こらない。
影からメイドを選抜するようになったのは桃の木事件でメイドの一人が裏切っていたからだ。シラユリから給金の1年分に相当する賄賂を受けて、奥様から毎回姫様が木に登って危ないから傍にいていっしょに桃を採るように厳命されていたのにその日に限って傍にいたメイドは彼女一人だったのだ。
そして彼女『『トイレに行ってました』だと。
ふざけるな。
普通は後ろに転ぶはずなのに、姫様は前から転んでいた。
姫様の背中には何かの衝撃を受けた痕があった。
それでも他のメイドが気づいて処置が早かったからよかった。
奇跡的に傷もなにもなかったのが不思議だった。
あれから私を含めメイドはすべて影で固めた。
誓約書に反する行為をするとどこにいても心臓が溶けるから姫様にあだなす者はサインをしない。
おかげで温泉に影メイドもお供できる。今回の任務が終わったら私もメイド長コサミ・カンケリに復帰だわ。副メイド長ばかり温泉に行かせるわけにはいかない。女は美しくなければならないのよ。温泉に入って、シャンプーにリンスをして髪はキラキラ、風呂上がりはダンジョン産果物ジュースが最高なのよ。
あ~早くメイド長に復帰したい。毎日変装して声を変えるのもけっこう大変なのよ。
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