第8話 西暦二千年を超えた堕天使

 僕も忘れる事が出来ない。あの日に核大魔王が爆誕し、死の灰が降り注いでしまうのか!? そう思わせる出来事が、この国に起こってしまった……。その光景をテレビで見た零式さんは驚き、慌てたと語ってくれた。神の裁きが発動してしまったのか? その力を利用した堕天使による核大魔王誕生計画だったのか? 明確な理由は、零式さんにも分からないようである。

 あの時の僕は、自然の力の恐怖を感じていただけだった……。

 ただ僕の知識でも神に選ばれたせ聖人であっても、一度でも神を信じずに疑えば許されない程に厳しい事はしっている。だから零式さんも悩み、慎重に行動しているようである。零式さんは、菩薩だから特に悩むのだろうな。


「あれから僕は、色々と夢の道を考えた。そして、ライトノベル小説を書く道を見つけたんだよ。そして、最初に書いた作品が笑顔戦記だ。それをコンテストに応募したのだ……。まぁ、当然のごとく落選だけど」


「そうですよね。素人が最初から入賞は、難しいでしょう」


「しかし、挑戦する時は、そうなる期待に夢をふくらませるものさ。それゆえに、もし作品を盗作されたりした場合は、怒りが沸騰ふっとうする者も出よう。だがそれは、危険なのだ。その者は、堕天使の魔時空に招かれて魔道に落ちる。堕天使の描く地獄変を執行することになるだろう」


 零式さんは、残念そうな感じであり、悲しそうな表情をしている様だった。少し沈黙状態の雰囲気になった時に、零式さんはルームサービスを招き入れた。ルームサービスの若い女性は、珈琲を運んで来たようだ。珈琲の入ったカップを置いて彼女は業務を完了し、部屋を出て行った。雰囲気を変えるには良いタイミングだった。


「僕の思うに、西暦二千年を超えて堕天使は、神に恩赦おんしゃの如く許されたようだ」


「えっ! 御社おんしゃって? 我社が許したんですか? 週刊春分が堕天使と和解!?」


「そんな訳あるかーい! やはり君は貴重な天然てんねんな笑える素材のようだな――まぁいいや。今の堕天使は、優しい感じの普通の天使である場合と、時として残虐非道な悪魔の状態で呪文を唱えたり、叫んだりする場合もあるのだよ」 


「そ、そうなんですね。気を付けないとだまされそうですね」


 零式さんに怒られてるのか? はたまためられてるのか? 分からないそんな僕だ。そして堕天使とは、まるで二重人格者の様な存在であると思ったのだった。

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