第6話 己の目標の夢の道

 零式さんは、堕天使の唱えた魔法が発動する破滅の世と、人々の心が魔におかされるのを指をくわえて見ているだけの人物ではなかった。まずは芸能界に入って、エンターテインメントの力で人々の心をうるおし、魔から心を防御する事を考えたらしいのだ。しかし、それなら誰でもいいのでは? そんな疑問がいてきたのだ。


「エンターテインメントの力で人々の心が守れるならば、零式さんでなくても既に他の者が活動してますよね。それでは、駄目なんですか?」


「なかなか鋭いじゃないか。まぁ、本来ならば宗教的活動になるのだろうが、僕は聖人の任務でこの世に誕生してないので出来ない。それとエンターテインメントをする者が存在するだけで、解決するならば良かった。しかしながら、世界と僕は堕天使まおうによって魔時空に入ってしまっている。そして、己の目標となる夢の道を進まなければならなくなったようだ。そうすれば、滅亡が免除される神との契約の未来になるはずだからな……。知らんけど」


「知らんのかい! もう、そういう事でいいでしょう!」


 零式さんの知らんけどの話しのオチに思わずツッコミをいれてしまった。零式さんは、怒ってない表情だな。良かった。本当と思える事でも確信がないから、そう言うのだろうな。


「まぁ、そういう事でいいとして、実際に歌手やお笑い芸人の道を目指したよ。そしたら、その行動を知った堕天使は、僕を挑発するかのように、魔族モードへと豹変ひょうへんした姿で出現したのを目にする事が出来た。そして堕天使は、秒読みを唱えていた。それは、世の破滅への秒読みか? もしくは、核大魔王爆誕ばくたんの秒読みにも思えたな……」


「堕天使の魔族モードですか。お、驚きました」


 零式さんの話しを聞いていると、堕天使は零式さんとの勝負を楽しんでいるようにも思えた。しかし、人間の命や人類の未来を奪おうとするなんて許せない行為だ! 今の僕は、恐怖よりも堕天使への怒りの感情がき上がっていた。

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