第5話 天使と堕天使

 零式さんの話しでは、現在のこの世に堕天使と天使が存在しているとの事だった。堕天使が人間の味方にならないのは僕でも理解できる。どうも人間が嫌いらしいのだ。神様が天使を人間の下に置いた? それが気に入らないらしい。人間一番! 天使が二番! 三は、おやつ……。いかん、いかん。何を考えてるんだ。僕は、零式さんの影響を受けているぞ。

 でも、天使は何か人間に影響があるのだろうか? 恋愛を応援? まさかな。それについて聞いてみた。


「天使か……。僕がその存在に気付いたのは、世紀末近くになった頃だった。何となくだが、天使の声を感じる事が出来るようになったのだ。思うに天使は、ラッパを持って地上に来たのかもしれない。吹けば人間に罰を与えるであろうラッパだろう? しかし、愛に目覚めて改心したと感じる。その天使は、預言の力によって色々と教えてくれていた。僕を導いたと言ってもいいだろう。信じるという力で……。それが運命だったようだ。仏教の目連尊者のような存在になっていた」


 天使について語る零式さんの表情は、とても穏やかな感じがした。


「天使についての零式さんの考えは大体分かりました。堕天使は、敵として声を感じた訳ですね?」


 僕の質問に零式さんの顔が険しくなる。その変化に僕は、零式さんの心の怒りを感じてしまったのだ。


「そうだな。最初からそう思えていたならば、堕天使の息の根を止める方法を考えたかもしれないな……。僕は、堕天使も天使と同じく預言の声と思っていた。だが、後に僕は、気が付いたんだ。堕天使は、僕や世を魔時空に取り込む呪文を唱えた。それと人々に不幸をもたらす呪文も唱えていたのだ。いつかそうなる魔法の呪文を!」


 零式さんの衝撃発言を聞いて、まだ完全には信じられない気持ちながらも体は震えていた。

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