第3話 「社会復帰は焦るな!」と言ったって…ね
タイトルの言葉は、メンタル系疾患で休職をした人はほぼ全員言われていることだと思う。しかし、これを実行することがいかに難しいことであるかは、実際に罹った人でないと本気で理解できないのではないだろうか。
実際に、私自身も休職直前やその後の産業医との面談において、休職期間はせいぜい2か月くらいだろうと考えていたし、周囲にもそのように話していた。(私の場合は最終的に半年間の休職となった)
しかし現実はそうはいかない。1月中旬ごろ少し体調が戻ったところで出勤練習を何度か繰り返したのだが、もともとの病状が「適応障害」であるため、
ここで些細でも余計なストレスが加わろうものなら、精神面は簡単に崩壊してしまう。
厄介なことに、この頃には体力がある程度戻ってきている。外出も可能になってきたことから、職場への出勤練習を始めた。
しかし、そこでの会話(相手に悪意はないと後に分かるのだが、余計にたちが悪い…)の内容にまた精神的には地の底まで落ち込んでしまう。
何度駅のホームから……と思ったことか。
また同じことが家庭の中でも起きてしまう。他から見れば些細なことかもしれない。
職場、そして家の中でも居場所がないと、思考というのは一つの方向に向いてしまう。
自宅では何度ロープ(縄跳び)を首にかけたか分からない。(今はすべて処分された)
こんな繰り返しではとても社会復帰はできない。産業医も主治医もこんな状況では復職を認められるような状況ではなかった。
「焦るな」と発言することは簡単なこと。
だが、当人はこの状況に陥っていること自体が、もう崖っぷちなのだから、それを引き戻すための言葉は「焦るな」ではない。同様に「休め」や「寝てろ」でもない。
もし、そのような状況の人が周囲にいたら、ただ黙って話を聞いてあげて欲しい。(専門的には「傾聴」というスキルになるのだけれど、それは素人が詳しく勉強をする必要はないです)
もしかしたら、聞き手の「あなた」とは違う意見かもしれない。または「死にたい」という言葉を聞くかもしれない。でもそれは「どうにかして生きたい」の裏返しの言葉だということを忘れないでいただければ十分だ。
どうにもかける言葉が見つからなくてもいい。
ただ黙って本人が話し終わるまでそばにいてくれればよいのだ。話し終わった本人はそのことで満足(とても小さい満足でしかないが、少なくとも崖からは一歩遠ざかる)して自己回復への次の一歩を踏み出せるようになるのだから……。
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