第2話 休養はどこでとればいいの?



 病院からの診断書を職場に提出し、諸々の手続きを終えて帰宅。これからの時間はとにかく自分との闘いの日々であるのだが、事はそう簡単にはいかない。


 自分の状況を打破したくても、その気力や体力が性根尽き果てていることが最大の原因だ。


 私の場合は、仕事だけでなく、自宅での子育て状況にも関係しているため、ちょうど冬休みに入ってしまうタイミングでもあったのが難題だった。



 医療用語で、症状が発生してから最悪のを打つまでの時期を急性期と呼ぶ。

 いわゆる外傷性の怪我で出血中や、入院となってしまうような時期をイメージしてもらえばよいだろうが、精神科の観点で見ると事情が少し異なる。


 よく精神的に追い詰められて自傷行為(実行だけでなく企意きいを含める)に至るタイミングは2つ。そのうちの1つであるこの急性期にどれだけの気力と体力があるかで異なる。


 私が自ら経験したケースでは、この急性期にすでに物事を冷静に考える余力すら残っていなかった。客観的に事実を簡単に言えば、『うつ病になり就労不可という烙印を捺された』ということになるが、とにかく自分を責める(自分の存在すら責めるが、危険なのはもう少し後のこと)ことが精いっぱいであった。


 こういった時には、服薬でも何でもよい。とにかくまともな会話が成立できるようになるくらいまで休むことが第一なのだが、子供が騒いでいる自宅では環境には程遠い。


 入院も検討されたけれど、ちょうど満床になったタイミングだったので、自宅療養となった。そこで、私はしばらく自宅を離れ、実家に身を寄せることになった。


 しかし、それだけで済まないのが、心の病というものの厄介な部分で、これはまた別の章にてお話ししようと思う。

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