〇んこソムリエ

夕日ゆうや

わたしは〇んちが好き

「このうんちにはシダ植物の繊維が含まれています。つまり――」

 わたしがそう告げると、前のめりになる教授たち。

「これはトリケラトプスが草食動物だったことが証明できるわけです!」

 ビシッと指を立てる。

 が、怖ず怖ずと手を挙げる青年が一人。

「しかし、そのうんちがトリケラトプスのものでない可能性もあるでしょう?」

「どういうことだ……?」「さ、さあ……」

「トリケラトプスがその草食動物のそばで亡くなったことの証明であって、うんちの所有者を決定づけるものではない」

 わたしは言葉に詰まる。

 なるほど。

 クマのうんちの近くでリスが死んでいたとしてもおかしくないわけであって、その可能性を否定できるものではない。

「そうだ。そうだ! この論文にはおかしい点がある!」

 反論の声が大きくなる。

 端に追いやれる感覚に手から汗がにじみ出る。

「すみません。確認して、あとで伝えます」

 それくらいしか言えなかった。

 学会とは非情なものとは聞いていたけど。

 ここまで難敵だとは思わなかった。


 もっとうんちに詳しくなりたい。

 そう思った。

 うんこソムリエの道は遠い。

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〇んこソムリエ 夕日ゆうや @PT03wing

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