第3話課長の女

課長と女事務員はデキていた。ある繁華街で、腕を組んで歩いていた情報を聴いていた。

女事務員は、ナマズそっくりな顔をしていた。

ソイツの口癖は、

「私に逆らうと、給料減るわよ!」

だった。

実際に、残業手当が10万円くらい少ない月もあったが、まだ、立場が弱かったので文句が言えなかった。

その事務員は、僕が何回急な夜勤を言われて翌朝顔を合わせても、お疲れ様の一言も無い。

おはようさえ無いが、先輩の顔を見ると朝の挨拶をしているのをみると閉口してしまう。

ある晩、現場から20時に事務所に帰ってきた。

珍しく、ナマズが残業していた。

すると、僕に、

「お腹空いた。たこ焼き買ってきて!」

と、言う。

無視したのだが、しつこいので社用車を運転して買いに行く。

レンジで温めたら、ビニール箱が溶けたが知るもんか!


ある晩、ナマズのPCがスリープ状態になっていたので、見てみると僕はその月は80時間以上残業していたのに、56時間しか残業はついていなくて、ナマズは76時間残業した事になっていた。

僕は全てを理解して、失意の内に床に付してしまった。

結婚式も僕だけ呼ばれなかった。

自律神経失調症だった僕は、酒の飲み過ぎで病気になったとデマを流された。

最後は、現場に出ずずっとデスクに座って、昼に帰宅した。

使うだけ使って、病気にされ、捨てられた。

ナマズの業務上横領がバレたのは僕が退職する直前だった。

また、交通費上乗せも発覚した。

これらは、忘れようとしても無理で16年前の出来事だが、昨日の事の様に思える。

だから、今朝もフラッシュバックして、夜中に悪夢で目が覚めてしまったのだ。

僕はもう、無理なんだろうか?普通の仕事に復帰することは……。

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