第19話 ボクは天っ才科学者
祝勝会から早くも三日、この日ブランク帝国では早速復興作業が開始されていた。
三日三晩続いた祝勝会のお陰か、国民達は更なる交流を深め、復興作業のほか、大帝の死から保留とされていた事業・提案の許可が下り、帝国は着々と活気を取り戻しつつあった。
しかし、そんな彼ら国民の頂点に君臨するマガツは――
「ああ、も、もう無理ぃ……」
ブランク帝国の地下一階、そこに設置された資料室の中で、マガツはぐったりと、机の上にうなだれる。
その姿は“魔王”と呼ぶにはあまりにも若々しく、しかし今は目に真っ黒な隈を携え、今にも死んでしまいそうな表情を浮かべていた。
彼こそがこの国を統治する魔王、もといマガツ=V=ブランク。元々悪の組織の戦闘員として活動をしていたが、上司にあたる怪人によって理不尽にも殺されてしまった過去を持つ、社畜精神の塊のような男。
彼は祝勝会の後、デザストと“愉快なお客人”に見守られる中、資料で作られた四本の柱――バベルの塔の処理を行っていた。
そして作業開始から三日、一睡することも許さず、マガツは遂に山積みになった資料の処理を終えた。
「な、なぁデザスト……一応アンタが用意したバベルの塔は四つとも攻略したワケだし、そろそろ休ませてくれねえか? 流石に俺でももう限界だぜ?」
マガツは震える体を持ち上げ、後ろを振り返る。
そこには、一体どこから持ち出したというのか、床に敷いた布団でぐっすりと眠る金髪の長身美女、もといデザストがいた。
「って、デザストお前ェ! 起きろッ! むしろそこを変われェ!」
マガツは叫びながら、ぐっすりと眠るデザストの布団を剥ぎ取ってたたき起こす。
するとデザストは鬱陶しそうに顔を顰め、ペンギンのぬいぐるみをギュッと強く抱きしめて丸くなった。
「んぅ、寒い」
「可愛いかお前! て言うか、いつの間にこんなものを用意した!」
あまりのギャップに、つい眠気が吹き飛んでしまう。マガツはその勢いのまま、激しくツッコミをぶつける。
やがてデザストは大きなあくびをして、目を擦りながら起き上がった。
「うるさいですわねぇ……今何時だと思っているんですの……?」
「朝の10時だ! お前、一体いつから寝てんだ!」
「えっと……昨日の10時から、ですわね」
言うとデザストは、ぐぐっと大きく背伸びをし、何事もなかったように布団を畳み始める。
「じゃあお前は、俺が死ぬ気で三徹目に入った頃から、約12時間寝ていたのかッ! 羨ましいぞこの野郎ッ!」
「そんなに言うのなら、マガツ様も寝れば良かったじゃあありませんか。別に私、マガツ様に“業務をこなせ”と圧をかけただけで、“寝たら殺す”なんて一言も言っていませんわよ?」
「いやどっちも言われた覚えがないッ!」
「それにほら、私と一緒に、スタ――守護霊の殿方も温かい目を向けていたじゃあありませんか。それで眠れないなど、マガツ様はワガママでございますのね」
「お前今言いそうになったよな! スタ**って、スタ**って言いそうになったよな!」
「やれやれですわ。マガツ、あなた憑かれているのよ」
「今の子にファイルのネタは通じねえ! しかも俺はまだ憑かれてなんかねえし、なんでそのネタを知っているんだ!」
やれやれ、と言いたげに両肩を挙げ、デザストは“守護霊”に視線を向ける。
そこには、般若のお面を被った守護霊のようなものが「ゴゴゴゴゴ……」という擬音と共に立ち尽くし、じっとマガツが座っていた机の方を凝視していた。
眼光は真っ赤に光り、牙の生えた口からは冷たい息が吐き出される。そして、手には一体マガツに何の恨みがあるのか、入念に研磨された包丁を両手に一本ずつ持っている。
「それに、これのどこが温かい目だ! 隙あらば俺の首を刈り取る“死神の冷たい視線”じゃねえか! てか、コイツは何なんだ!」
「何って、守護霊ですわよ。マガツ様が約束を破るような真似を起こさないよう、レイメイ様に頼んで早急に作って頂きましたの」
「悪霊って作れるのかよ! どうなってんだこの世界ッ!」
再びマガツのツッコミが炸裂する。
と、デザストは彼の叫び声に怪訝な表情を浮かべつつ、徐に取り出したリモコンのような装置のボタンを押した。
すると不思議なことに、さっきまで冷たい視線を向けていた守護霊は姿を消し、その足下に円盤状の物体が落ちた。
「なんだこれ? おもちゃ……にしては、何かスタイリッシュだな……」
「その名も『ホログラム装置』だそうですわ」
不思議な表情を浮かべるマガツに、デザストは自信満々に答える。
「ホログラム? じゃあさっきの般若みたいな奴ってのは……」
「私の守護霊でも、ご先祖様でもございませんわ。全部『マガツ様が怖がりそうなモノ』を基に、レイメイ様へ依頼したものですの」
「お前って、案外鬼畜だよな」
最早ツッコミ疲れたのか、マガツは最後にそう言って、再びホログラム装置に視線を落とす。
見れば見るほど、ブランク帝国のような中世ヨーロッパのような世界観と全く合わない形状をしている。
マガツがこの異世界に来てから一週間と数日。なんとなくブランク帝国のことを理解しつつあったのが、今この瞬間、たった1枚の円盤によって再び不明な点が増えてしまった。
「しかしこんなハイテク機械まで出て来ちまうと、もう何がどうなってんだか――」
――ドゴォォォォォンッ!!
刹那、マガツの言葉を遮り、上階から爆発音が生じた。
その衝撃は凄まじく、すぐにマガツのいた地下室にも振動が走る。それは音が聞こえたのとほぼ同時で、天井から土埃がサラサラと降り注ぐ。
「な、何だ今の音⁉ またカチコミか⁉」
「流石にあり得ませんわ。もう城に襲撃を仕掛ける人達は誰も居ないはずです!」
「とにかく一大事だ、デザストはとりあえずシャトラの安否を確認しに行ってくれ!」
「は、はいっ!」
早速デザストに指示を送ると、マガツは自分の両頬を強く叩いて脳を起こし、爆発音のした現場へと向かった。
***
爆発音がしたのは、お城の一階からだった。そして、爆発元となった場所からは真っ白な煙が上がっていたので、すぐに向かうことができた。
入り口前の広間を駆け抜け、真っ直ぐに西側の廊下へと直行する。すると、派手にドアが吹き飛んだ部屋が見えた。
(あそこか……一体どんなバカ野郎が爆発を――)
一発説教でもかまして寝よう。心の中でそう呟きながら、現場となった部屋へ段々と近付いていく。
そうして、入り口の前に到達した次の瞬間、
「も、もう付いて行けませんッ!」
部屋の向こう側から、男の声が聞こえた。そして部屋を覗き込んだと同時に、向こう側から現れた豚頭の魔族と衝突してしまった。
一瞬の出来事に、マガツも対処できず、豚頭の男とぶつかってしまう。衝撃で、ついうっかり豚頭の男と入れ替わってしまいそうなシチュエーションだった。
が、特にそんなこともなく、豚頭の男は「ご、ごめんなさい!」と頭を下げつつ、
「とにかく僕ぁ、今日限りでチームを辞めさせて頂きますッ!」
部屋の奥に向かって叫び、その場から逃げて行く。
よく見るとその背中は白衣姿で、しかし彼は逃げる最中に白衣を脱ぎ捨ててしまった。
「……?」
全く理解ができない。マガツは頭を掻きながら、逃げて行った男の背中を無言で見送った。
「一体全体、何が起きてんだ……?」
「おい! 待ちたまえ! オマエが居なくなったらボクはまた独りぼっちじゃあないか!」
その時、扉の向こう側から幼げの残った声が聞こえてきた。
声の主は豚頭の男を追ってきたのか、足音を響かせながらマガツの方へとやって来る。
「おー……い? あれ、キミは確か……」
「あ、アンタは確か……」
扉の向こうから現れたのは、ミント色の髪をした人物だった。
身長は150センチほどと小さく、胸はない。服装は至ってシンプルで、燕尾服のような服の上に、白衣を纏っている。
顔立ちは幼く、しかしクリクリとした猫目と丸眼鏡が大人びた印象を与えていた。
マガツはその人物に面識があった。
「レイメイ……」
「マガツ……?」
レイメイ。自称・天っ才科学者にして、最高のドクター。
レイメイは三日ぶりにマガツの顔を見て、驚いた表情を浮かべていた。
と思った次の瞬間……
「マガツ……マガツぅぅぅぅぅ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
泣き出した。
突然目の前で膝を着き、両手で顔を覆って大粒の涙をこぼした。
「う、うおお! お前、どうしたんだよ一体!」
「ボクは、ボクはもう……もうダメだよぉぉぉぉぉ!!!」
「お、落ち着け! 一体全体何があったってんだよ!」
マガツは慌てて事情を訊くが、しかしレイメイは泣きじゃくるばかりで全く会話が進まない。
だがレイメイが泣き出した理由に、先程の爆発と豚頭の男が関係していることは確かであった。
「とにかく一旦落ち着こう。俺も今は頭が働いてねえ、とりあえず部屋に入るぞ」
マガツは言って、レイメイの背中を優しくさする。レイメイは「コクリ」と小さく肯き、マガツに肩を借りる形で立ち上がる。
そうして二人は、部屋の奥へと進んだ。
***
扉の奥に広がっていた部屋は、思ったよりも広く、案の定散らかっていた。
部屋の内装は学校の理科室を科学研究所っぽくアレンジしたような形で、長机が等間隔に並び、所々に実験用の特殊な機械(と言っても、スチームパンクな形状をしたものばかり)が設置されている。
そして、何やら難しそうな化学式が殴り書きされた黒板前の大きな机には、様々な研究資料と薬品が乱雑に置かれていた。
だが、資料は床にも無数に散らばり、中には爆発で燃えたのか、真っ黒焦げになってしまったものまで転がっている。
最早、爆発によってこんな無惨な姿に変わってしまったのか、はたまた最初から散らかり放題だったのか、今となってはもう分からない。
そんな部屋の片隅、黒板近くに置かれていた病院ベッドの上に、マガツはレイメイを座らせた。
「うう……」
「…………」
あれから一時間ほど経過して、未だすすり泣いているものの、レイメイは落ち着きを取り戻した。
「なあ、もう、大丈夫か? 話せそうか……?」
一体どう接したら良いものか。マガツは三徹で働かない頭を無理矢理働かせ、泣いている子供に接するような優しい態度で、レイメイの背中をさする。
と、レイメイはズズッと鼻水をすすり、事の顛末を話し始めた。
「実はボク、新薬を開発していたんだ。まだ完成には至っていないけど、キミから抽出した血清を基に、どんな毒も病も治せる最強の薬を作ろうと研究していたんだ」
「どんな毒も病も? そりゃあまた随分と便利なものを考えるな」
マガツはうんうんと肯きながら、レイメイの話を咀嚼する。
「でもその研究はなかなか上手く進まず、ボクはこの三日間脳をフル回転させて、全集中で化学式から構築を続けたんだ。けどどれも失敗、研究チームは殆ど諦めムードで、次々と離れてしまった」
するとレイメイは再び大粒の涙を流し、すすり泣きながら続けた。
「それで、最後の一人となったオークの彼と少し喧嘩をしてしまってね……」
***
「ここまでやって分かったでしょう! 万能薬を作るなんて不可能なんです!」
豚頭の男、もといオークの研究員は抗議する。
対するレイメイはフラスコで研究作業を続けながら反論する。
「無理などと誰が決めた! ボクは完璧な、天っ才科学者なんだぞ? 不可能なんてものは存在しないんだ!」
「またそんなことを言って! レイメイ様、確かに貴方の腕は素晴らしい! ですが、そんなに拘ったって、無理なものはどうにも――」
「ええい! キミもボクの邪魔をすると言うのか! ボクには、ボクにはやらなきゃいけない理由があるんだ!」
レイメイは机を力強く叩き、オークの研究員を睨む。
そして、手に持っていたフラスコを見せつけ、本気に満ちた眼差しで、一つのフラスコに薬品を混ぜる。
「見ていろ、これさえあればボクは、ボクは……!!」
レイメイは叫ぶ。
「お、おやめください――――!!!」
刹那、混ざり合った薬品は化学反応を引き起こし、カッと真っ白な閃光を放った。
それは一瞬この世界から姿を消し、消滅したと思った次の瞬間、
――ドゴォォォォォンッ!!
「わぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあ!」
「のわーーーーーーーーーーーーーっ!」
激しい爆発を引き起こし、レイメイと研究員諸共、周りのものを吹き飛ばした。
***
「なるほどな……実験が失敗して大爆発、それで遂に最後の仲間も去ってしまった、と」
(まるでギャグ漫画みたいだが……いや、やめておこう)
改めて話を纏め、マガツは呟く。レイメイは痛いところを突かれたのか、一瞬言葉を詰まらせながらも、うんうんと静かに肯き返す。
マガツはレイメイの顔をじっと見つめながら、頭の中で言葉を整理する。
「うーん……最強の万能薬、ねぇ……」
「それさえ完成すれば、これまで薬で治せなかった病も、人間が作った毒も、全て治療することができる」
「でも、なんでまたそんな薬を? 完璧な薬なんて、そう簡単に作れるもんじゃあねえだろ?」
疑問に思って訊くと、レイメイは両手を強く握りしめ、悔しそうな表情を浮かべた。
「それはボクだって百も承知さ。でも、この薬は、絶対に完成させなきゃいけないんだ……! 手遅れになる前に、それで救えた筈の命を失わないように……! なのに――」
――誰も分かってくれない。レイメイは、これまで溜まってきた不満を吐き出すようにそう言った。
マガツもそんなレイメイの様子を見てか、同情する気持ちでいっぱいになる。
「……よしっ! 大体分かった!」
そう言うとマガツは、自信に満ちた表情をレイメイに見せた。
「えっ?」
「その実験、俺にも手伝わせてくれねえか?」
「い、いいのか……? もしまた爆発なんてしたら……」
「んなもん心配いらねえよ! コイツもレイメイに救われた命の恩を返すため、でないと俺の気が済まねえ!」
マガツは言って、ドンと自分の胸を拳で叩いた。
レイメイはその力強い言葉と態度に、一瞬心を打たれる。
「マガツ……キミは本当に変わったニンゲンだな」
「だろうな。でも人間の中には一人くらいこんなのがいても、ソイツもまた面白いんじゃねえか?」
マガツの返しに、レイメイはクスクスと鈴を転がし、元気よく肯いた。
「それじゃあ、キミのお言葉に甘えるとするよ! よろしく、マガツ!」
***
「ふむふむ、なるほどぉ。万能薬を作るための材料を集めてほしい、と」
「悪いなオーマ、病み上がりでキツいだろうに」
「いえいえマガツ殿。某もまた、レイメイ殿に命を助けられた身。お役に立てるのならたとえ火の中水の中、石の中にだって飛び込んで見せましょうぞッ!」
「いや石の中は死んでるだろ」
あれからマガツは、爆発によってダメになってしまった実験材料の調達を任され、一度城下町へと出た。
そこで偶然居合わせたオーマに事情を説明したところ、彼もその材料集めに協力してくれることとなったのである。
「でもまあ、俺からしたらここに書かれてる材料が何か分からねえからな。ここは、現地民であるオーマの知恵に頼らせてもらうぜ」
「そこは某にお任せください。して、レイメイ殿は一体どんな材料をご所望で?」
オーマは訊く。マガツは今一度レイメイから受け取ったメモ用紙を黙読し、不安げな表情を浮かべてオーマに手渡した。
「これなんだけど、分かる?」
そう言って手渡されたメモ用紙には、確かにレイメイが今欲している材料の名前がぎっしりと記されていた。
しかし――
「これは……一体どこの言語でしょうか……?」
「多分、この世界共通の言語ではある筈なんだ。けど……うん……」
メモ用紙に記された文字、それはミミズが這った後のようにぐちゃぐちゃで、何が書かれているのか全く分からないものだった。
言わずもがな、日本語ではない。間違いなく、この異世界――ブランク帝国で使われているルーン文字のような形をした独特な文字。
マガツは先代・ブランク大帝の能力を引き継いだ際、言語識別スキルを獲得している。それのお陰で、異世界の言語も日本語同様識別することができる。しかしレイメイが書いた文字は、その解読スキルを以てしても解析不可能だった。
「まさか、暗号でございましょうか……?」
「何だ、知られちゃマズいものでも使うのか、これ? いやいや、お使いなのに俺に分からない暗号出されたら意味ねえだろ。とどのつまりコイツは――」
とどのつまり、文字が汚い、ただそれだけのことである。
天才というのは、文字に書き起こすよりも先に脳が回転してしまうが故、思いついたことを書き殴る。そのせいで文字が汚くなってしまうものだというらしいが、それにしてもレイメイの文字はお世辞にも「メモ」とは呼べないほど、汚かった。
「……いや、これは……マガツ殿、白紙のメモはありますでしょうか?」
その時、オーマは何かに気付いたようで、仮面を外してメモ用紙を睨んだ。
「ん? まさかオーマ、解読できたのか!?」
「いえ、完全には読み解けませぬが、ある程度形で識別すれば何とか……マガツ殿、今のうちにメモ用紙とペンをッ!」
自信に満ちた声で、オーマは言う。マガツは彼の自信に驚き、あたふたとしつつもメモ用紙とペンを取り出し、オーマに手渡した。
するとオーマは、近くの壁にメモ用紙を貼り付け、白紙のメモを睨みながら一文字一文字、丁寧に書き写していく。
その様子はまるで、古代遺跡から発掘された伝説の石版に記された古代文字を、一文字一文字丁寧に解読する考古学者のよう。もう少し欲を言えば、服装がもっとインディーな感じの中折れ帽子と探検家らしい衣装であれば、完全に考古学者として違和感もなかったであろう。
今目の前にあるのは、細マッチョな鬼の美青年が必死になって古代文字まがいの汚い文章を清書する後ろ姿だけである。
「うむ、ふむふむ、なるほどではこの材料は……」
やがて本当の古文書のように法則性を導き出したようで、オーマの筆は段々と速くなっていく。そして、遂に全ての文字を解読し終えたオーマは振り返り、船を漕ぎつつあったマガツを呼んだ。
「マガツ殿! 出来ましたぞ!」
「おっ、出来たか! どれどれ……」
やっと事が動き出す、マガツは期待に胸を躍らせて、早速オーマの清書したメモを読む。
「えーっと、マンドラゴラ5体、ヨクキキ草12本、アークスパイダーの目玉4個、乾燥ゾンビタケ一袋、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰……」
と、様々な元素と初めて見るような材料が続々と書き記されていた。
その度にマガツの頭には「?」がいくつも浮かび、最後にはどこかで見たことがあるような、禁忌の材料まで書かれていた。
「何だコイツ、人間でも作ろうとしてんのかよ!」
「ニンゲン!? これ、解毒剤のレシピじゃあないんですかっ!?」
「まあ、万能薬の材料なんだろうけど、コイツ……」
初めて聞くような材料は説明して欲しかった。マガツはそう心の中で愚痴を溢しつつ、オーマを振り返った。
「とにかく資金の方はレイメイから受け取ってある。早いところ、手に入りそうな材料を買いに行こう」
「は、はいっ! マガツ殿の、仰せのままにッ!」
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