第三回『箱推しか単推しか』
「はい、始まりましたー第三か……」
「違いますよーせーんぱいっ。一回! 第一回目のやる気なしメスガキ天使が物申す? 天使ちゃんニュースでーす! お天使ナビゲーターこと、私、滝沢マギステルとー?」
「司会のミカティエル・ロビンでお送りしまーす!」
マギの目元は大きく腫れ上がり、ミカの左目は白い眼帯が巻かれていた。
それからDの高橋の目元にも引っかき傷がついている。
マギが変わらない笑顔を浮かべて言う。
「ついに始まりましたね、第一回!」
「そーですねー」
「おい。もうそういうのいいから」
「でも三回っつったらさ、ボーボボならもう人気投票やってんじゃん。私ら三回もやってて、番組すら始められてない。そういうとこじゃないの、神様。遅漏すぎね?」
「人気投票がそんなに羨ましいんですか? じゃ、私らもやります? どうせ私の圧勝ですけど、たぶん一万票くらい差つく」
「やるっつか、ボーボボは既にやってたっつー話だよ! 三話にして! そこがすげーんじゃん! 天才の発想!」
「忘れられがちだけど、ジャンプがもうすごい。北斗の拳とかドラゴンボール、幽白、スラダン、シティハンターから始まってハイキュー!! まで全部ジャンプ産だからね。化け物かよ」
「なんでその並びでハイキュー!! で留まんだよ……普通に古い作家の話してて文ストの話挟んでくるオタ女子くらいうざい……その後に鬼滅、チェンソー、マッシュル、SPY×FAMILY、幼稚園WARSまだまだあんだろが……そういうとこだよね。そういうとこ。マギのめんどくさいとこは。私の青春はハイキュー!! だったからって、昔のものも知ってます面のために有名タイトル置いておきながら、お前が言いたいのはとどのつまりあのハイキュー!! も載ってたジャンプって少年誌すごいよね! じゃん! お前が讃えたいのはジャンプであってジャンプじゃねーんだよ。ハイキュー!! なんだよ!」
「はぁ? 好きなもん好きなとこに並べて好きなように好きなタイミングで推し、その表明をすることの何が悪いのかわからない……」
「うっざ……もう言い方がうざい。絶対Tカードハイキュー!! のやつじゃん……じゃお前、その並びで最後黒子で留まったらどう思うー?」
「いや、そのあとにハイキュー!! あんじゃん……あ、一世代昔の方かな? 加齢的にも。話合わせるけどー正直もうその時点でガチ友はありえないかなー。ニュータイプでもなければ、私らは◯人予告なんてしないしー、肝心なとこでズレそう。入れる穴間違えてきそう」
「ほらね! Tカードハイキュー!! にしてる奴で性格いいやつ見たことないっ! 文スト好きと同じくらい見たコトない! ミクさんのクレカ付きのやつは絶対にオタクだけど、ほんわかしてて優しそうな顔した社会人の男性だったよ。この差! これがお前らオタ女子とオタクの歴然たる差だよ! オタ女子は平然と周りを見下す、オタクは平然と周りから見下される!」
「オタ女子っつーか、推し活にかける女子は熱量が違うんだよ! 痛バックとか生半可な覚悟で作れねーからな? 毎日中池通って『これとこれ交換しませんかー?』『あっ、いいですよね! 私、佐久侑も好きで!』なんてコミュという名の接待を交わして上司にビール注ぐみたく集めんだよ、金ねーから。人見知りでコミュ障のオタにこんな真似ができるか? いや、できないね! クラスでなげえ鼻鳴らしながらパオパオ囀るか、パソコンの前でパオパオ解き放つかの違いだろ! お前、テニプリからミュ行って勢いで四季、宝塚まで上り詰める奴もいるからな! 毎年毎年先生にチョコ作り続けて何十年だよ! すごい愛! 私らにもう帰る場所なんてねえんだよ!(褒め言葉)その差だよ!」
「でもそろそろ一発さ。ワンピースくらいのほしいよね。王道長編冒険もので」
「編集が誰より思ってること言うなよ」
「ああいうのが出ると、続くんだよ。ワンピの時も一気にきたもん。たけし、ナルト、テニプリ、ヒカ碁、ボーボボ、金魂……」
「もう突っ込まねーから!」
「版権ものって難しいわー! ファンやら作者やら色々気を遣っちゃって、その上知らない人からしたら謎の語録でしかないし、ニホンゴワカラーナイ外国人留学生の相手してる気分になる!」
「気遣ってこれかよ」
マギがしめた。
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