(外伝3)ゴールドボール乙 強襲!ヤバン女子!

-男性の学者メルカッツンの死から303年後-


第二次ベビーブーム世代の子ども達が学校に通い始める。


当時はどこも好景気だった。

そのため学校があちこちに乱立、男子生徒の獲得競争が激化した。


男女比が1:100なのは変わらない。


学校へ均等に割り振られる?

そんなわけがない。

賄賂わいろ恐喝きょうかつなどは当たり前、

社会問題となったのは言うまでもない。


大人達がこれなのだ、それなら子ども達はどうなのか?


男性諸君もアーカイブで学習し、見たことがあるはずだ。

学校の窓ガラスが割られている映像を。

警備が厳重な男性寮の壁に『おんなさん参上!』と描かれた文字を。


特に都市在住の女学生のモラルはひどかった。


布面積がほとんどない制服やスカートを身につけ、

『男、暴力、お薬!』

街中でそんな事をおしゃべりしているのだ。


男子たちが田舎に疎開そかいするのは当然の流れだった。

心ある女性たちの助けがなければどうなっていたか。


そんな時代。


やつらはやって来た・・・。



◆◆◆


Side: クッコロ (高校2年生 女性)


ここは田舎の学校、ちたま高校。

私は教室で座禅ざぜんを組む。

いつもの瞑想めいそうだ。


・・・

・・・・!?


巨大な女子力(じょしちから)を持ったやつが3人・・・

この学校に真っすぐ向かってくる!


「クッコロさぁーん!!」


後輩が教室に飛び込んできた。

この子は異変に一番敏感だからな。

気付いたようだ。


「迎撃に向かうぞ。付いてこい!」

「はいっ!クッコロさん!」


侵入は許さない。

なぜなら、この学校には・・・。


廊下を全力で走る。

下り階段は3段跳びだ。

後輩もマネしている。

ふっ。

少しスピードを上げるぞ!


運動場に到着。

乙戦士(わるきゅーれ)たちが集合していた。


ん?

孫空子(そん くうこ)がいない・・・バカな!?

やつは戦闘中毒者バトルジャンキー

どんな時でもバトルに来るはずだ。


例をあげるときりがない。


(例1)

クッコロ「全身骨折中だと!そんな体で大丈夫か?」

空子  「でぇじょうぶだ、問題ねぇ」


(例2)

クッコロ「未知の悪性ウィルスに感染中!?・・こっちくんな!」

空子  「でぇじょうぶだ、問題ねぇ」


(例3)

クッコロ「ちぃっ!格上が15人も。どうする?」

空子  「一番強ぇやつを頼む。いや、やっぱ全部オラのもんだぁぁーっ!!」


(例4)

・・・・

(例5)

・・・


・・



「ちょっといいか、クッコロ」

おっと感慨かんがいにふけっていたようだ。


餃子こうこちゃんはおいてきた。ハッキり言ってこの戦いにはついてこれそうもない」

誰だよ。

とりあえず、うなずいておいた。


それより今は目の前のこいつらだ。


敵は3人。

服装から判断して間違いない。

アニマル高校(アニ高)のヤバン女子だッ!


・つよつよ体操服に黒のブルマー

・白いグローブと白いブーツ

・両肩には大きな肩パット

・ベルトの代わりに野生動物のしっぽが巻きついている


オシャレのつもりか?


頭部につけているのはスカウターだな。

女子力(じょしちから)を計測する厄介やっかい代物しろもの


それにしてもやつらの態度はなんだ?

こちらをまったく気にしていない。


敵のリーダーは学校の建物を見ている。

やがて「ふっ」と笑ったあと、小さな機械を取り出した。


・・・あれは金玉レーダー!!

ちぃッ!



◆◆◆


Side: ラヴィッツ(アニマル高校の生徒 女性)


私は孤児院で15歳まで育った。

ある日、生き別れの妹がいると知った。

とても嬉しかったよ。

聞けば、どうやら田舎の高校に通っているらしい。


妹の名前はカカカッウ。

今は孫空子(そん くうこ)と名乗っているようだ。


会いたかった。

我慢できなかった。


連絡を入れてみるが、まったく返事がない。

何か事情があるのかな?


ごめんね。


心の弱い姉を許してほしい。

平日にも関わらず妹の住所に来てしまう。

当然、彼女は学校に行っていた。

すぐに向かう。

妹が校門の前に立っていた。


見た瞬間、血のつながった家族だとわかったよ。

妹の出自、そして私が姉であることを告げる。


喜んでくれるかな?

お互いに泣いてハグしちゃうのかな?

手を広げて待つ。

さぁおいで!


「オラはカカカッウなんて名前じゃねぇ!そん空子くうこだ!」

妹はそう言って私の背後に回る。


(えっ?)


そしてうしろから羽交はがめにされた。

(なになに??)


「やれーッ!クッコローッ!!」

(???)


正面にはクッコロとかいうアホがいつの間にか立っていた。


「びびって離すんじゃないぞ、そん!」

「へへっ!」

「くらえッ!魔羅姦好擦法まらかんこうさっぽうッ!!」


ドゥゥーン バリバリバリッッ!!


良い一撃を腹にもらった。


おもくそゲロを吐いたよ。

妹に会うために無理して買った服は台無し。

プレゼントは足もとで踏みつぶされていた。

・・・

・・


ふぅ。


ここまで話が長くなったが、まぁ最後まで聞いてくれ。


そのあと公園で汚れを落とし、電車で帰ることにした。

3つ目の駅を過ぎたあたりか、

頭がみょうにクリアーになってね。

それからはひとつの事をずっと考えていた。

そう、やつらへの報復ほうふくだよ。


そこで私は特殊な波長の信号を送り続けた・・・。

強さと悪さを兼ね備えた者だけがキャッチできる信号さ。

期待はしていなかった。

しかしアニマル高校前駅に停車したとき、

意外にもそいつらはすぐに現れた。


「おっ!弱虫ラヴィッツじゃねぇか」

こいつの名前はベッア、

そしてもう一人は・・・アニマル高校理事長の娘、アニーマ。


すぐに自分の現状と感情をぶちまけた。

忌々いまいましい奴らがいましてね。かたきを取ってくださいよぉ。アニーマさん」


◆◆◆


Side: アニーマ(アニマル高校理事長の娘 高校生)


ラヴィッツよ、

私様わたくしさまかたきのために来たと本気で思っているのか?

だからてめぇは三流なんだよ。


話を聞いてすぐにピンときたぜ。

その学校に男がいるってな。


そしてたった今、確信に変わった。

過敏なほどの警戒網と迎撃システム。

自分たちで『ここに男がいます!』と教えているようなものだぜ。

昨今の男性ドクトリンを知らんのか?

これだから田舎女子はがたい。


まぁいい。

予想は的中したようだ。

金玉レーダーが反応してやがるw


「おい、ベッア。これを見てみろ」

「おっ?金玉ゴールドボールが14個!つまり男が7人ってか!こいつは景気がいいやっ!」


喜ぶのはまだ早い。

この情報はすぐにママにも届くはずだ。

スカウターには通信(傍聴)機能も付いているからな。

まぁ金玉レーダーを持ち出した時点で警戒されていたが。


ここまでは計算通り。

あとはママが動く前に片を付けるだけだ。

それにしても事前工作が効きすぎたか?

敵主力がほぼいない。

笑っちまうぜw


スカウターの測定結果は想定戦力以下だった。

最高点がクッコロというやつ、3500。

時点でその隣りにいる2800。

あとは1500内に収まるザコばかり。


はははっ!

これならサイバイウーマンを使うまでもない。


楽しくぶっつぶしてやるぜ!!



つづく



(Q)たった3人で勝てるわけないだろっ!?

(A)スズメバチがミツバチの巣を襲っている光景を想像して下さい。


(Q)そんなの見たことねぇよっ!

(A)専門家にお話ししたところ、こんな回答を頂きました。

  『話は聞かせてもらった。・・・ちたま高校は滅亡する!』


◆◆◆


おっす、オラ空子くうこ

学校が大変なことになってるみてぇだな!

オラもすぐに駆けつけてぇが、

査問会さもんかい』ってやつにかけられちまって身動きがとれねぇんだ!

みんな!もう少しだけ耐えてくれ!


おい!

よけろ、ヤムちゃん!

そいつの攻撃をまともに受けるんじゃねぇ!!


次回、『ヤムちゃん、死す!』


絶対見てくれよなっ!


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※作者より

 今回でいったん終了となります。

次は冬頃に書くかも知れません。


農作業があるため、時間が取れるのは夏と冬だけなのです。

3年前までは夏も日傘をさして草取りとか出来たんですけどね。


読んでいただき、ありがとうございました。

ではでは。


2024/9/14

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本編完結済み『次回、男子の高校生 はると君、おうちに帰れず!』 ヴォーダン @vodan

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