(外伝2)騎士王女アーシャ物語
-男性の学者メルカッツンの死から8年後-
男性の大獄(たいごく)が起きる。
これが導火線となり中世時代最大の戦争が始まった。
そう、
皆さんご存じ『100年大戦』である。
これにより西大陸の人口は激減。
10分の1になったと文献に残っている。
最初のきっかけは何だったのか・・・。
男性諸君は知る必要がある。
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「騎士王女アーシャ物語」(初版)より抜粋
15歳、成人となった。
私は王族女性として、国民に男性を与える義務がある。
だから
我が国に所属しない男性はすべて「隠れ」であり「野良」だ。
男たちが兵士に連行されている。
顔が悲しみでゆがみ、涙を流す者もいた。
それを見るたびに、胸の先端と股間が
もちろん、
その事については誰にも言わなかった。
1年後、
男性保護施設がついに完成した。
口さがない者は言う。
これは牧場だと。
フフッ。
周辺国家との条約により男性の「保護(狩り)」ができなくなった。
メルカッツンと言う男の仕業らしい。
まぁ良い。
十分確保したからな。
牧場運営は好調、男性成分は増産傾向にある。
平民女どもは歓喜していた。
あぁ、
私も身分を隠し、牧場でずいぶん楽しんだよ。
だが、・・・その期間は短かかった。
男性の味がしなくなったのだ。
どうやら私を含め、一部の女性にしか発症しないらしい。
これは天罰なのか・・・。
そんな日々が数年も続き、私はやせ細った。
そのあまりの姿に母である女王が心を痛める。
王城に呼ばれ、せめてもと見目麗しい男子が下賜された。
今さら男が何になる。
屋敷に戻り、早く眠りにつきたい・・・。
その時だった。
男子が目の前から逃げ出したのだ。
必死な顔と涙が目に映る。
トゥンク!
胸の先端と股間が熱くなる。
ジュワワッ
追いかけたい!
しかし体が弱っており、足がうまく動かない。
無様に倒れ込んだ。
涙があふれる。
どんどん離れていく男子。
ううっ・・・あきらめたくない。
両腕が床にへばりつく。
!?
こうすれば良かったんだッッ!!
これなら行ける!
ここが王城であるとか、自分が王族であるとかもう関係ない。
四つん這いで駆ける。
トタタッ、トタタッ
そのうち隣に足音が聞こえた。
そちらを向くと、女王が四つん這いで駆けていた。
トタタッ、トタタッ
トタタッ、トタタッ
後ろには近衛隊長。
さらに宰相、大臣と次々と続く。
皆、四つ足だ。
トタタッ、トタタットタタッ、トタタッ
トタタッ、トタタットタタッ、トタタッ
なんという多幸感。
言葉はもういらない。
「ガァァァーーーッ!!」
男子を少しづつ追い詰める。
だがすぐには捕まえない。
泳がすのだ。
こうすることによって不純物は吐き出され、
生の感情が顔を出す。
部下はこの行為を『熟成』または『完成』と呼んでいた。
男子が完成したようだ。
所定通りの場所に追い詰め、最期に私が捕まえた。
一番槍として最初に味わう。
そのあとは皆で分け合った。
狩りが苦手な者、負傷している者にも与える。
私達は仲間なのだから。
もちろん男性もその輪の中にいる。
見てごらん。
あの幸せなそうな顔、そしてダブルピースを。
その光景を見つめた。
心は晴れ、自然と笑顔になる。
しばらくして、ふと気づく。
・・・口の中に、男性の味が・・・
それは失って久しいもの。
味覚がいつの間にか戻っていた。
指にこびりついたそれを再度なめる。
・・・
・・・そういう事だったのか。
その後、
私は軍を率い、西の弱小国へ男性救護に向かった。
◆◆◆
Side: とある本好きな男子高校生
なんだこれ。
ホラーなんだけど。
本を閉じる。
タイトルは『騎士王女アーシャ物語』
貴重な本らしく、国立図書館にしか置いてなかった。
女子全員が反対するわけだ。
まさゆき君のお勧めだったのに。
END
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次回、(外伝3)ゴールドボール
※(外伝)は、あとちょっとだけ続くぞい!
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