(外伝1)ふしぎ発見!ウーマンが来た!
-男性の学者メルカッツンの死から322年後-
男女比が1:100とはどういうことか。
我々男性は思い知ることになる・・・。
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メルカッツン著「男性の未来と展望」より抜粋
『 今よりはるか先の未来、
男性に安息の地がもたらされるだろう
だが、それはまがい物である
慢心することなかれ
おぉ、
周りをよく見ろ
それは私たちのそばにいる 』
◆◆◆
Side: とある女子中学生
日曜日の夕方。
もうすぐ19時30分だよ、待ち遠しいね!
えっ、何がって?
うそっ!?
あの人気テレビ番組を知らないの!?
もう!
じゃあヒントをあげちゃう!
ヒント1、国営放送。
ヒント2、大河ドラマの前にやっている!
ヒント3、自然や動物、ふしぎな事を紹介する番組。
ふふっ、今わかったって顔したでしょ?
そう、正解は『ふしぎ発見!ウーマンが来た!』でした~!
この時間帯はお母さんたちも手を休め、
女児たちなんか興奮してテレビに夢中になっちゃうんだよね!
わ、わたし!?
わたしはそんな事ないもんっ!
あ~っ!そんな事言ってる間に、
『ウーマンが来た!』始まってるじゃん!!
◆◆◆
19:30
『 らーらーらーらー♪るるる~~♪ 』
『 ウーマンが来た! 』
さて今回のふしぎ発見!の現場は、〇〇県の山奥にある一軒家。
そこには何と!
男性が一人で住んでいるんです!
しかも17歳、イケメン!!
本当にふしぎですねー!
おっと、残念ながら彼の名前をお伝えすることは出来ません。
そこで、
我々スタッフは彼のことを『イケメン君』と呼ぶことにしました。
さて、なぜこのイケメン君を撮影することになったのか。
じつは匿名の方から情報提供があったんです!
「ちょぉっと待ったッ!」
あっ、さっそく来ましたね、イゲバア!
※イゲバア
・この番組のマスコットキャラ
・イゲバアは通称の名前
・正式名称は陰毛婆(いんげばばあ)
・黒いツヤのある巻き毛におおわれた二頭身の
・つまらないダジャレを吐く
「男性のおうちを騒がせて!
まぁまぁ。
それよりも、イケメン君をもっと知りたくないですか?
少しだけ黙っててくれれば、私の口も軽くなるかも知れませんよ?
チラッ
「・・・・・」
ふふっ。
正直なところがイゲバアの唯一良いところですね!
では早速、
イケメン君のプロフィールを紹介したいと思います!!
通称『イケメン君』
本名 ※※※※
男性 17歳
顔 イケメン
黒髪黒目
細マッチョ
身長173cm
名家の分家出身
Mチューバーと株式により巨額の財産有り
精子ランク S
「なっ!? Sランクの精子なんてスゴいじゃないですか!!」
ええ。
ですがイケメン君は精子提供をしていないんですよ。
「どゆこと?」
彼は個人資産がものすごく有るんです。
ですから精子提供による国からの補助金を必要としないんです。
「あ~、なるほど~」
精子提供は男性の権利であって義務ではないんですよ。
「イケメン君の精子、欲しいですなぁ~」
ところがここからが問題なんです。
この映像を見てください。
「イケメン君が何かしてますねぇ。ん?これ、盗撮映像ですよっ!?」
問題ありません。
国の許可と親族の了解は得ております。
それにご本人の同意書もありますよ、ほら。
「ホントだ!でも、なにか細工の跡があるような・・」
そんな事より、ここから大変なことが起きますよ。
私は悲しくて、とても見ていられません!
「ナレーターさんにしては珍しいw・・えっ、精子をトイレの中へ!?」
はい、そうなんです(怒)
※精子をトイレに流す行為
今回の場合、
ティッシュにくるむなんて、とんでもない!
みんなはマネしちゃダメだゾ!
19:45
『 るるる~~~♪ 』
『ここでウーマンニュース!』
近くに引きこもっている男性はいませんか?
男性の身内でなくとも、ご近所さまからの目撃情報でもかまいません。
引き続き情報のご提供を大募集!
現在、『ウーマンが行く!!』を企画中!
特別なウーマンスタッフが会いに行っちゃいますよ!
応募してくれた子にはなんと!
スタッフと一緒に企画参加できちゃうんです!
ふるってご応募くださいね!
以上、ウーマンニュースでした!
◆◆◆
『 ららら~~♪ 』
我々スタッフは、日々トイレに流される精子を救出すべく行動。
しかし思うようにいきませんでした。
そこで国や専門家に相談。
作戦が決行されることになりました。
作戦名は
『ホープ(希望)!』
参加人数 24人
参加者 男性の親族、男性保護官、ウーマンスタッフ、一般公募者
一般公募者は公平性を保つため、参加希望者250万人から抽出
(※現在、募集はしておりません)
「ちょぉっと待ったッ!」
おや、どうしました?イゲバア。
「24人はちょぉ~っっっと少なくないですかぁ(怒)」
んー、専門家によればこれが最良人数のはずですよ。
ははぁ、
さてはイゲバアの中の人も応募して落選したんですねw
「ギクッ!」
『アララララーーーーーーーーーーーーイッ!!』
おっと、鬨(とき)の声です。
作戦が始まったようですよ。
定点カメラから確認してみましょう。
◆◆◆
Side: イケメン君(男性、17歳)
俺の隠れ家がバレた。
防犯カメラには多くの影が映っている。
姿は見えないがきっと女どもだ。
ちっ!
ここも危ないな。
こういうときも考え、脱出準備はしていた。
秘密の地下通路をひたすら走る。
ここを抜ければ森の開けた場所に出るはず。
俺は自由だーー!!
チカッ!!
光が差し込み、まぶしい。
目が慣れてきたので周りをうかがう。
---なんと、トンネルをくぐり抜けた先には女達が待っていた---
何かの小説の一節だったか、
俺も今そんな状態だった。
女どもは微動だにしない。
・・・危険はないのか?
状況を確認する。
全員が三毛猫を模した服装、おしりには尻尾がついている。
顔を隠すためか、ネコ型の防毒ガスマスクを着用。
シュコーッ、シュコーッ
一定のリズムで息をしている。
!!
まさか!こいつら・・・
うわさのウーマンスタッフッ!!
『 『 『 『 らー♪ 』 』 』 』
歌いながらポケットをまさぐり始めた。
いずれも見たことのない道具。
キンッ・・キンッ・・
ゆっくりと手のひらにそれを当て、音を鳴らしている。
恐怖をあおっているようだ。
男性の俺にこんなこと許されるのか!?
ゆっくりゆっくり腰を下げ近づいてくる。
この姿、どこかで見たことがある。
あぁ、
そうか、・・・これは狩りだ・・・。
『 『 『 『 『 らーらーらーらー♪ 』 』 』 』 』
『 『 『 『 『 るるる~~♪ 』 』 』 』 』
俺はこんな所で終わるのか・・。
まさゆき君、
キミとの約束を果たせそうにない。
距離と範囲がさらに縮まり、手が伸びてきた。
「「「「 そこまでよ!ウーマンスタッフ!! 」」」」
この声、本家のお嬢様たち!それに姉や妹もいる!
「今のうちに早く!こっちよ!」
あれは、突撃陣!?
やめるんだ!
そんな事しても勝てっこない!
みんなを裏切り捨てた俺のために何でそこまで・・・。
「お、お姉ちゃん達の行為を無駄にしないでっ!ブフッw」
そう言う妹は、顔をこちらに向けず体全体が震えていた。
ここは戦場。
さぞ、怖かろう。
妹の泣く顔が、皆の泣く顔が思い浮かぶ。
トゥンク!
俺は家を失った。
でも、まだ帰れる場所があったんだ・・・。
こんなに嬉しいことはない。
ごめんな、まさゆき君。
キミにはいつでも会えるから。
・・・・
・・・
・・
◆◆◆
19:55
こうしてイケメン君は、彼女たちと仲良く暮らすことになりました。
次に住む家は内壁も外壁も最高のものとなるでしょう。
作戦を頑張った全員もにっこり。
良かった。
めでたしめでたし。
「あの~、これってマッチポンプってやつですよねぇ~?」
おや、気に食わないのですか?イゲバア。
「襲撃した女性達もちゃっかり一緒に暮らしていれば流石にねぇ~」
ご褒美ですから当然ですよ?
それにイケメン君を狩r、保護するのに外部の協力は絶対に必要でした。
「なるほど!狩りをするには、ほかの人の借りが必要。なんつって!」
・・あははっ。
うまいこと言ったつもりですか?おいこら、イゲバア?
19:58
さて、今回は健全なS級精子を救う英傑女子たちのお話でした。
ここだけの話ですが、イゲバアがこんな事を言ってた気がします。
・精子提供は義務化するべきですなぁ~
・男性の財産は制限すべきですぞぉ~
「ほえっ?ちょぉっと待っッ・・・・!ンンッーー!?」
おや、小バエでも飛んでいるのかな?
まぁ気にする事はないでしょう。
イゲバアはさらに過激な事をたぶん言った気がします。
ですが彼女は大事な友達、
私の胸の内にしまっておこうと思います。
彼女の気持ちも少しだけ分かるんですけどねー。
おっと、そろそろお時間のようです。
イケメン君の心に優しく入り、内部から癒した女性たち。
男性を
24人の英傑女子。
今このときも愛の巣で、イケメン君を可愛がりしていることでしょう。
やがてこの24人にも自然受精で子が宿り、
その中からイケメン君に似た可愛らしい男児が生まれるのかも知れませんね!
END
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次回、(外伝2)騎士王女アーシャ物語
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