第37話 漆黒のエンジェル

 「助けて〜!!!誰か!助けてください〜!!」


 そう叫びが聞こえる方に行ってみると、黒髪の少年が恐竜の魔物から逃げ回っていた。


 「助けて!助けて!誰か〜!!!!」


 少年は叫ぶ。


 おお!恐竜だ!当たり前だけど生きているところ初めてみたな〜う〜んカッコいい!


 って思ってる場合じゃないな。


 なんだかわからないけど…とりあえず助けるか……。


 顔を見られるわけにはいかないので…これが役に立つ。持ってきて良かった!


 僕はデーモンの部屋に無数に飾ってあった仮面の1つを持ってきた。


 その中に唯一僕が気に入った仮面があった。


 僕はその仮面をつける。


 これがナイト・メアの真の姿だ。


 まあ、ただ顔を見られないようにする対策だけど…カッコつけた方が面白いでしょ!


 そして、僕は疾風迅雷のこどく、恐竜の魔物を切り裂いた。


 恐竜は無事に倒せたようだ。


 僕の後ろで少年が倒れ込む。


 「大丈夫か?」


 僕は少年に優しく声をかけた。


 「え…ああ!助けていただきありがとうございます!!」


 少年は僕に土下座のようなポーズで言った。


 「「ところであなたは

   ところで君  は」」


 おっと少年と声が被ってしまった。


 僕はお先にどうぞと伝える仕草をした。


 「ぼっ…僕は、ソルメイスと言います」


 多少言葉を詰まらせながらソルメイスは言った。


 「ああ…よろしくソルメイス…私はナイト・メア」


 「……よろしくお願いしますメアさん」


 …皆んなメアって呼ぶんだな。


 「ところで君はこんな森で何をしてたの?」


 見たところ兵士とも見える服装…見たことない紋章の剣…人間のエリアの兵士かなんかだろうけど。


 「…修行をしようと思って…」


 ああ、なるほどこの少年は修行がてら魔の森に来たのか。


 「でもそれって危険じゃない?」

 「こんなところでやられるようじゃ勇者務まりませんから…」

 「そうなんだ」


 ……ん?


 は?勇者?


 「え?君…勇者なのか?」

 「…はい、僕は弱強の勇者と一応呼ばれています…」


 驚いた。まさか勇者と出会うなんて…。


 「勇者か…」

 「はい…ですが僕は勇者と呼ばれるほど強く無いのです…」


 まあ…恐竜の魔物に追いかけられるぐらいだからな…


 弱い勇者なんているのだな。


 「その…メアさんは何者なんですか?」


 「へっ?」


 唐突な突っ込んだ質問だったので変な返しをしてしまった。


 「メアさんはなんでここにいるのですか?国の外には特別な許可ないと出られないのに…」


 あ、まずいな…なんか適当に答えないと…


 「まさか…メアさん…あなたは…魔人ではありませんよね?」


 ギクリ…もしこれが漫画なら確実にそういった効果音の吹き出しがあるだろう。


 とにかく誤魔化さなければ…


 「私は漆黒のエンジェルという組織のリーダーだ」

 「漆黒の…エンジェル?」

 「そうだ」


 は?僕は何を言っているだろう?自分でもわからないけどまあいいや。


 「漆黒のエンジェルとは人間の味方でも、魔人の味方でもない…正義の味方だ」


 「……はぁ…魔人ではないということですか?」


 「フッ…魔人ならとっくに貴様など殺しているさ…」

 「ハッ!それもそうですね…」

 「この森には魔物がうじゃうじゃいるだろう?その魔物を少し掃除しようと思っていたのだ」

 「そうなんですね…お疲れ様です」


 なんか無理矢理だったけど、どうにか誤魔化せたな。


 漆黒のエンジェルか…う〜んダサいな。自分で言ったんだけどね。


 「その仮面をつけているのも…」

 「ああ、顔を見られるわけにはいかない。なぜなら我ら漆黒のエンジェルは裏の組織だからな」

 「なるほど…」


 「あの…メアさん…」

 「ん…なんだ?」

 「もし良かったら僕の修行を手伝ってくれませんか?」

 




 


 

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