第33話 蜃気楼

 ネインとカランは対面する。


 「殺される覚悟は決まったか?」


 「あら、私が貴様ごときに殺されるとでも?」


 「威勢は死んでからにしろ!」


 カランはネインに斬りかかる。


 ネインは冷静にカランの剣を捌く。


 (速い....けど、アルス、デーモン様に比べると圧倒的に遅い。)


 「オラァ!」


 ネインは華麗にカランの剣を後ろに飛んで避けた。


 「次は私の番…」


 ネインがカランに斬りかかる。 


 互いの剣がぶつかり合い押し合いとなる。 


 「グググ....」

 「ハァー!」


 押し合いに勝ったのはネインだった。 


 カランが後ろへと後退する。


 「フフ...この程度?」


 ネインが笑いながら言った。


 「いいぜ、見せてやるよ...俺の力!」


 ネインを囲むようにカランが姿が増える。


 (増えた?分身のスキル...?)


 「へへへ。さあ、来いよ」


 「増えたところで一緒よ!]


 ネインはカランの内の一人に斬りかかる。


 が...斬撃は空を切る。

 

 (斬れない?分身ではない?)


 「残念外れ!」


ネインは分身の内の一体のカランに斬られる。


 「蜃気楼的なものね」


 「まあ、そんなもんさ!」


 ネインよ読みはほぼ当たっていた。


 カランのスキルは自身の姿の蜃気楼を作るこができるものだった。


 (本体がどれかわからない...ならわざと空ぶってカウンターを!)


 ネインはカランに斬りかかる。


 がまた空ぶる。蜃気楼だった。


 「また外れ!」


 カランがネイルに斬りかかる。


 が、ネインはカランの剣をかわして、カウンターでカランを斬った。


 が....(また、手応えがない...しまった!)


 「あさはかだな!」


 ネインは斬られた。


 「貴様の考えてることなんてお見通しだよ!」


 ネインの作戦は失敗に終わった。


 カランはネインの作戦を見抜いていたのだ。


 (どうする?また斬ってもやられる………)

 

 「さて、もうそろそろ終わりにするか」


 カランの蜃気楼全員が剣先をネインに向ける。


 (どうする?どうすればいい?)


 するとネインにある疑問が浮かぶ。


 (もし、デーモン様だったら?デーモン様はどう戦う?)


 「うん?僕だったら?」


 ネインの空想のデーモンは考える。


 「そうだなぁ。ボクだったら-----------」


 「フフ」


 ネインは笑った。


 いや笑ってしまった。


 「そうですね...そうします」


 ネインは魔力を最大にする。


 「最後の悪あがきか?」


 「いくわよ」


 ネインは蜃気楼全員に斬撃を放った。

 

 圧倒的なスピードで。


 カラン本体は血を流し倒れた。


 スピードがないとできない芸当だった。


 「き..貴様、なんてめちゃくちゃな...」


 「僕だったら全員斬るかな。どのみちどれが本物かわからなかったらね…その方が早いでしょ?」


 ネインの空想のデーモンはそう言ったのだった。


 「ありがとうございます。デーモン様」


 ネインは空想のデーモンに感謝を言った。


 「そういえばネインはなんで魔法を使わなかったの?」

 「あっ……」


 空想のデーモンがネインにまた話しかけてきた。


 「魔法で周りを吹っ飛ばせば本体ごとダメージを与えれるし、最悪本体がわかればいいなら簡単だしね」

 「……剣で戦いたかったのです…」

 「ふーん。まあ剣の方がかっこいいしね!」

 「ええ…そうですよね!」


 (ちょっと待て…私は空想のデーモン様と何を会話しているだ?)


 ネインはここでようやく我に返った。


 「ふぅ。皆んなは大丈夫かしら…」


 ネインは剣を納めた。


 「大丈夫だと、思うよ」

 「ツッ!?」


 ネインの背後から聞こえた声。


 そこには白髪の背の高い男が立っていた。


 (誰?私が背後を取られるなんて…この男気配が無かった…)


 「あなた、何者?」


 ネインは白髪の男に聞いた。


 「俺はゾルデニック団長、シルヴァ」

 「ゾルデニック団長…だと?」

 「そそ」

 「私達を殺しに来たのか?」


 ネインが剣に手をかけて言った。

 

 「いいや、俺は殺しとかに興味がないからね…」

 「じゃあ、なにしに…」

 「仲間を回収しに」

 「は?」


 シルヴァは横に倒れるカランに近づく。


 「ん?まだ息はあるね」


 シルヴァはカランに手をかざす。


 「空間魔法、ゴーアストロン」


 カランはシルヴァの出現させた、穴に落ちた。


 「さて、次はマカオのとこでも行くか…」


 シルヴァは歩き出そうとする。


 「待って!」


 ネインはシルヴァを引き止めた。


 「ん?何?」

 

 シルヴァは振り返る。


 「なぜあなた達は盗賊団なんてやってるの?」

 「んー俺は別に盗賊団を作ったつもりはないんだよな。ただ俺の部下が勝手に好き勝手やってるからな…」

「これから、人間と魔人との戦争が始まるのよ…魔人同士で争ってる場合じゃないのよ」

 「戦争ねぇ。あんま興味ないかな。興味ができたら考えるわ」


 そう言ってシルヴァは行ってしまった。


 「マカオ〜生きてる〜?」

 「…………」

 「ん?息はまだあるね。マカオもしぶといね〜」


 シルヴァはマカオを回収した。


 そして次にセイバーを回収した。


 そして、ブデ…


 シルヴァがブデの所に行くとアルネネがいた。


 「貴様は?誰だ?」

 「ん?ゾルデニック団長のシルヴァだけど?」

 

 アルネネはシルヴァに殴りかかる。


 「魔法壁、リバースカット」


 シルヴァは魔法壁でアルネネの拳を受けた。


 アルネネの拳の衝撃が魔法壁によって反転した。


 アルネネは衝撃によって後ろへ飛ばされた。


 「グッ…」

 「穏便に頼むよ」


 シルヴァはブデの元へ駆け寄る。


 「……息はもうないな…今までお疲れ様ブデ…」


 シルヴァは悲しみを込めて言った。


 ブデはシルヴァの穴に引き込まれた。


 「帰ったら、埋めてやるからな」


 「ウォーラァ!!」


 アルネネはシルヴァにまたしても殴りかかる。


 「うるさいな」


 シルヴァはアルネネに手を向ける。


 その瞬間アルネネは静止する。


 「う…動け…」

 「君はもっと落ち着くべきだ…」


 「ドップグロース」


 アルネネは後方に勢いよく飛ばされた。


 「忘れないでね。俺はいつでも君達を殺せるってことをね」


 シルヴァはそう言って消えた。


 

 



 



 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る