第22話 魔物狩りって意外に楽しい

 僕は人間のエリアの前にネイン達が修行をしている森に向かった。


 薄気味悪い森だった。


 ここは、魔物がうじゃうじゃと生息しているらしい。


 ネイン達はその魔物と戦い、修行をしているらしい。


 僕は森の中へと入って行く。


 恐ろしく静かだ。


 気味が悪いぐらいに森は静寂に包まれていた。


 森は基本的に騒がしいものじゃないのか?

ほら、夏だったら蝉の鳴き声とか、鳥の鳴き声だってするじゃないか?


 でもこの森は音がほぼしない。


 僕はとりあえず淡々と森を歩き続ける。


 と……


 「ガゥルガァ!」


 僕の目の前に熊みたいな魔物が現れた。


 いや僕の世界の熊よりも5倍はでかいな。


 「グゥ…ガァ!」


 熊の魔物は僕を睨む。


 この世界に来る前の僕ならビビって失神してたが…今の僕は魔力が使える。


 「試し斬りに付き合ってもらうよ!」


 僕は剣を抜いて言った。


 その瞬間熊の魔物は僕に襲って来た。


 僕は突進してくる熊の魔物を華麗にかわした。


 そして、熊の魔物に剣を振るった。


 「えっ?」


 僕の剣によって熊の魔物は真っ二つになってしまった。


 さらに剣の威力が強すぎて森の中にまで僕の斬撃が届いてしまった。


 「威力強すぎない?」


 正直ここまでの威力だとは思わなかった。


 「フウ…」


 やけに息が切れる。


 たった一回剣を振るったぐらいで少し疲れてしまった。


 調子でもわるいのかな?


 「ギャオ!ガルル」


 今度は狼みたいな魔物がやって来た。


 「気を取り直してやるか」


 そして、なんやかんだで熊、狼、蝙蝠、牛、バッタ、カエル、スライム…みたいな見た目の魔物を倒していた。


 色々な魔物がいるんだな…。


 僕はなんだから狩りみたいで楽しいなと思っていた。


 問題なく一撃で倒せたし、もうちょっと強い魔物でも現れたらいいな。


 そんなことを思っていたらふと聞こえた声。


 「許さない」 

 「へ?」

 

 頭の中に響いてくるような声。


 すると目の前に人の形をした何かが現れた。


 女神…みたいな姿だった。


 「この森を荒らすものよ、立ち去れ。さもなくば貴様のその命貰うぞ!」


 その女神らしきものは激しく怒りに震えていた。


 そっか、僕暴れすぎてたな。


 「ごめんなさい。ちょっと僕暴れすぎてました」


 僕は素直に謝った。


 うん。今回は僕が悪い。


 「わかればよろしい。だが、また次に森を荒らすようなことがあれば許さんからな」


 女神は僕に忠告をしてその姿を消した。


 まさか女神なんて現れるとはね。


 女神って強いのかな…戦って見たかったな。


 そんなことを考えていたら何なら森の奥の方が騒がしい。


 「オラ、オラオラァ!」


 勢いよく走り回るのはアルネネだった。


 次々と森の木々を薙ぎ倒していく。


 暴走汽車かよ…


 アイツこそ森を荒らすものだけど?


 女神は何も言わないのか?

 

 「おーいアルネネ〜」


 僕はアルネネに向かって声をかけた。


 「ム?デーモン様か?」


 アルネネは走るのを止めて僕の方を振り返った。


 「デーモン様だな!ハハッ!」


 そう言って僕の方に走って来た。

 

 「んだよ?人間の姿かよ。俺人間のデーモン様は嫌いなんだよな」

 「ああ、訳あってこの姿にしているんだ。我慢してくれ」


 僕は少し不貞腐れているアルネネに言った。

 

 「デーモン様なんでここにいんだ?デーモン様も魔物狩りをしてんのか?」

 「いいや、ちょっとネイン達に挨拶してこうと思ってね」

 「そうか、そうか!なあなあ聞いてくれ!今エネメシアと魔物狩り勝負していてな、俺は今のところ245匹狩ったぞ!どうだすごいだろ?」


 アルネネは自慢げに僕に言った。


 「んなことしてたら女神に怒られるだろ」

 「ん?女神?ああ!森の守り主か!変なやつが俺になんか忠告してたけどお前も狩るぞって言ったらビビってどっか行ったぜ」

 「は?」

 

 どうやら森の守り主は思ったより森を守れていないようだ。


 「この森の守り主は比較的力が弱いいんですよ」


 森の影からエネメシアが出て来た。


 「お?エネメシア!どんだけ魔物を狩ったか?」

 「私は1000ほど」

 「は?嘘だ!嘘!俺でさえ300もいってないのに?」

 「アルネネはどうせ半日以上寝てたでしょ?私は寝てませんよ」

 「うっ…それはそうだけど…」


 アルネネの完敗だ。どうやら狩りの勝負はエネメシアの勝利らしい。


 「アルネネ…あなたのその癖を直した方がいいと思いますよー」

 

 エネメシアは少し笑を浮かべてアルネネに言った。


 「うるさい!俺は俺の性格だからしょうがないだろ!」


 アルネネはエネメシアの忠告をキッパリ聞き入れなかった。

 

 そうだ、ネインはどこだ?


 「ネインは?どこにいる?」


 「ここにいます」


 僕達の後ろからネインが現れた。


 皆んな森の陰から出てくるな…流行ってんの?


 「すみません。実は途中からデーモン様の戦いを影から見させて頂いてました」

 「えっ?そうなの?」


 なんか恥ずいな。


 「そのお姿のデーモン様の戦い方、剣術素晴らしかったです!」

 「あ、ありがとう」


 調子に乗ってブンブン振り回してだけだけど。


 「デーモン様。一つお願いがあるのですが」

 「なんだ?」

 「お手合わせお願い申します」


 ネインはそう言って剣を構えた。


 


 





 


 

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