第23話 ネインと手合わせ
「手合わせ?ネインと?」
僕はネインに尋ねた。
「はい。デーモン様の剣捌きを体験したいです。お願いします」
ネインは真剣な眼差しで僕を見つめる。
断るつもりだったんだけど、そんなに真剣に見られちゃ断れない。
仕方ない。僕もこの姿の動きも確認したかったし。
「いいよ、やろう」
「ありがとうございます!」
僕とネインは一定間合いをとる。
「では全力でいかせてもらいます」
「いいよ、全力でかかってきな」
ネインは剣を構える。
僕は剣を抜く。
「そ…その剣は…魔剣ダーインスレイブ…」
「え?」
あれ?この剣、魔剣だったの?武器庫から適当に取ってきたやつだったんだけど…
「流石です。魔剣よも使いこなせるのですね…」
ネインは僕に尊敬を表した。
使いこなせてはないんだけどな…。
「魔剣は勝手に魔力を解放したり、制御できなくなったりします。最悪な場合魔力を全て吸い尽くされて死んでしまうこともあります…ですがデーモン様には関係ありませんね!」
最悪なこと聞いたな。今すぐこの剣から手を離したいんだけど、これしか持ってきてないから諦めるしかない…。
だから、あんな強力な斬撃が勝手出たのか。
斬った後めっちゃ疲れたしね。
ちゃんと魔力を制御しないと、ネインを傷つけてしまうかもしれない。
気をつけよっと。
「ではお手合わせ頂いてもいいでしょうか?」
「うん。いいよ、いつでも来な」
ネインは魔力を解放させる。
火炎の勇者アルスと戦った時より気持ち魔力が強くなってる気がする。
ネインが目の前から消えた。
高速移動したのだ。
一瞬で僕の横に移動した。
そして僕に剣を振るった。
僕は普通に剣で受けた。
僕とネイン剣が押し合いになる。
「なかなかいい、スピードだね」
僕は剣で押し合いながらネインに行った。
「ありがとうございます。ですが…まだこんなものじゃダメです」
ネインはそう言うとまた目の前から消えた。
今度は森の中を高速で僕の周りを円を描くように駆け回る。
森の木々の裏を利用して正確な位置を掴ませないつもりか。
うまく地形を利用している。
「いい、判断だ」
ネインが一瞬で僕に剣を刺そうとする。
僕はそれを見逃さなかった。
僕はネイン剣を簡単に受けた。
「いくら高速で移動したって、攻撃するときに魔力を高めちゃ意味がないぞ」
そう。
ネインは剣を振う時に魔力を高める。
その魔力量の変化で僕はネインを攻撃がいとも簡単にわかってしまう。
「クッ…」
ネインは剣で連撃する。
僕は全て受け流す。
「攻撃が単調すぎ」
僕は受け流しながら言った。
「クッ…!」
ネインは僕の後ろへと高速移動をした。
「もうそれは飽きたよ」
僕はネイン後ろへと高速移動をして言った。
「なっ!」
ネインが僕から離れるために横へ高速移動した。
だが僕は逃さない。
ネインが移動するたびに、僕はその後ろを高速移動でとる。
「速い!速すぎる!」
「戦いで後ろを取られたらいけないよ」
僕とネインは一定の距離をとる。
「ハァ…ハァ…」
ネインは相当体力を消耗したのか息が荒い。
ちょっと激しめの鬼ごっこをしてしまったからだろうか。
久々の鬼ごっこは実は楽しかったりする。
「さて、もう鬼ごっこは終わりね」
僕はそう言うのと同時にネインの首に寸止めに剣先を向けた。
一瞬でネインとの間を詰めたのだ。
「ハッ!見えませんでした」
「はい、こんぐらいでいいかな?」
「流石ですデーモン様…全く歯が立ちませんでした」
ネインは肩を落として無念そうに言う。
たしかに、ネインは僕に圧倒的に負けたかもしれない。でも、この短期間での成長速度はたいしたものだと思う。
僕は剣をしまう。
うん。悪くない。この姿でも剣術に関しては問題なさそうだ。
「ありがとうござました。デーモン様の助言を元にもっと強くなります」
ネインは僕に頭を下げた。
助言…とまでは考えてなかったな…うん…ネインは真面目君だなぁ…。
「まあ、魔力をもっと制御できればいいと思うよ」
「は…はい!特訓します!」
「ところでデーモン様は何用でこの森に来られたんですか?」
観戦していたエネメシアが僕に尋ねた。
「ああ、ちょっと僕出かけることにしたから、挨拶してこう思ってね」
「そうなんですか」
「じゃあ、僕がいない間皆んなを頼んだよネイン」
僕はネインにそう言った。
「本当は私もついていきたいのですが…お気をつけて行ってください。城のことはお任せを」
ネインは少し寂しそうに言った。
ネインは一緒に行くとは言わなかった。流石だ僕が1人で行きたいと察してくれたのだろう。
「何日だよ?何日いないんだ?一体どこ行くんだ?」
アルネネは不思議そうに僕に尋ねた。
何日とか具体的には決めてないな…まあ、なるべく早く戻って来たいけど…。
人間のエリアに行くと言ったらアルネネは怒るだろうから、うまく誤魔化さないとね。
「うーん。まあ、なるべきすぐ帰ってくるよ、行き場所は内緒ね」
「なんだよそれ!俺も行く!」
「だーめ」
「嫌だ!じゃあ決闘!決闘しよう!」
「どっちも無理」
「逃さないぞ!デーモン様!」
アルネネが僕に向かって走ってきた。
まるで闘牛のごとく、物凄い勢いで。
「まずい」
僕はアルネネから逃げて目的地へと走った。
「じゃ…じゃあまたね!」
僕は必死に走りながらネインとエネメシアに別れを告げたのだった。
「気をつけいってらっしゃい」
エネメシアは笑顔で手を振ってくれた。
「どうか、ご無事で」
ネインはどこか寂しげな表情だった。
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