第21話 準備バッチリ!

 「ムニャ、ムニャ」


 スヤスヤと寝息を立てて俺のベッドで寝ているのはレーンだった。


 「コイツ寝ぼけて僕のベッドに…」


 レーンはいつのまにか僕のベッドに潜り込んで寝ていたのだ。


 「おい!こら、起きろよ」


 俺はレーンのほっぺたをモミモミした。


 が…レーンは起きそうにない。


 レーンのほっぺたを触っているとレーンが寝ぼけながら動いた。


 「おっと」


 僕の手はレーンの胸の位置へ移動してしまった。


 不可抗力なのでしょうがない!と僕は自分に言い聞かせる。


 けしてラッキーとかは思ってない…


 が…なんだろう、全く興奮しない。


 胸の位置に僕の手はあるはずなのに何も感じない。


 僕の手の感覚が無くなったのか?


 いや違う。


 そうだ、レーンは何がとは言わないが小さいのだ。


 いやほぼ無いと言ってもいいだろう。


 まるで、板に手を当てているような感覚だ。


 なんだかこっちまで虚しくなるな。


 僕が虚無感に浸っていると。


 「ムニャ、あ…デーモンおはよう。ム…人間の姿なんだね」

 

 寝ぼけながらレーンが起きた。


 「おはようじゃないよレーン…なんで僕のベッドで寝てたのかな?」

 「え?ここは僕のベット…じゃない?……」

 

 レーンは辺りを見てようやく自身のベッドではないことを確認した。


 「…寝ぼけてデーモンのところで寝ちゃったかな…」


 レーンは考えてようやく答えを出した。


 「今度から部屋に鍵をかけようかな」

 「ダメ」


 僕の言葉にレーンは否定を刺した。


 「デーモンだって僕と寝た方がよく眠れるでしょ?」


 レーンは自信満々に言ってきた。

 

 「いいや」


 僕はキッパリと否定した。

 

 「なんで?僕だって可愛い女の子だよ?こんな可愛い女の子と一緒に寝れるなんて幸運だと思わない?」

 「僕は超絶美女のナイスボディな姉さんと寝たいけどね」

 「ハァ?それって僕がナイスボディじゃないって言いたいわけ?」

 「レーン…自分の胸の大きさを確認してから物事を言えよ」

 「ぼ…僕は成長を貯めているいるだけだよ!決して成長してないわけではない!」

 「はいはい、そういうことにしてあげるよ」

 「大体、体で判断するのは良くないと思うけどね!」

 「レーンから言い出したんだろ!」

 「言ったけど、そんな否定されちゃこっちもでるとこでるよ!」

 「望むところだ!」


 「おはようございます。デーモン様」


 僕はレーンと取っ組み合いしていると今までに聞いたことないやけに優しい声が聞こえた。


 逆に優しすぎて奇妙に思ってしまうような。


 恐る恐る声の主を確認する。


 その声の主はラヴァだった。


 作り笑いをしているのが一瞬でわかった。


 「今日もいい天気ですね」

 「そ…そうだね」


 ラヴァの顔がだんだんと曇っていく。


 「で…?なぜレーンがここに居るのでしょう?」

 「ん…?こ、これはその…」

 「一緒に一夜を共にしたからだよ」

 「そうそう!……ってレーン!?」


 何とんでもないことを言っちゃってくれてんの?


 火に油とはこのことを言う!


 「デーモン様?私の誘いは断ってレーンと…過ごしたのですね?」

 「ち…違うよ!レーンは寝ぼけて僕のベッドに入ってきたんだ!」

 「本当で、す、か〜?」

 「本当だ!」

 「ムギュムム…!」


 僕はレーンの口を押さえながら必死に弁解したのだった。


 「最悪の朝だな」


 僕は朝食のいつもの謎の実を食べながらそう呟いた。


 良くない夢に最悪な朝の騒動。


 なんか、寝る前より疲れてる気がする。


 「デーモン様、今日のご予定は?」

 「今日というかちょっと外に用事があるんだ。だから僕がいない間城は任せたよ」


 そう、僕は今から人間のエリアに行こうと思う。


 人間のことも知らなくちゃならない。


 「私もついて行きます!」

 「いや、いい。僕1人で行く。だから僕がいない間城は任せたよ」

 「わかりました。城のことはお任せを…気をつけて行って来て下さい」


 ラヴァが少し悲しそうに言った。


 朝食が食べ終わった。身支度を開始しよう。


 今回は人間のエリアに行くので人間の姿で行こうと思う。


 とはいえ人間の姿で戦ったことなどない。


 デーモンの姿だったらある程度の攻撃などは効かないだろうが、この姿は別だ。


 一応魔力は練れるけど…。


 武器が欲しいな。


 人間の姿の時は剣で戦う。うん、それがいい。


 前から剣術なんかをやってみたかったんだよな〜。


 僕は城の武器庫と呼ばれるところに来た。


 様々な武器が置いてある。


 どうせならカッコいい剣がいいな。


 「おっ」


 僕の目に止まったのは黒い剣だった。


 これカッコいいな!よしこれにしよう。


 適当に選んだ剣を腰に掛ける。


 鏡で自分の姿を見る。


 おお。いいね。いかにも剣士ぽい!


 あとは……一応これも持っとくか。


 よし、準備バッチリ!


 僕は名残惜しそうに手を振るラヴァ達の見送りを受けて城を出発したのだった。


 人間エリアに行く前にネイン達が修行している森にでもよってみるか。

 



キャラクター紹介

念力の勇者コココ(今後登場予定)

7人の勇者のうちの1人。念力を使用可能。念力の力より敵を捻り潰す。かなり残酷な性格をしている。

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