第16話 デーモンVSサラマン

 「君は何者だい?」

 「僕は魔王デーモンさ」

 「魔王デーモン……聞いたことはある名だな」


 間一髪だった。あと少しでも僕が遅れていたらアゼンはただじゃ済まなかった。


 「デーモン様、周りの事は私達にお任せを」


 ネイン達が剣を構えて言う。


 「うん、そっちは任せた」


 「デ……デーモン、何しに来やがった…」

 

 ボロボロなアゼンが声を振り絞って僕に言った。


 「もちろん君を助けに来た」

 「よ、……余計なお世話だ」


 ボロボロになっても喧嘩口調は変わらないんだな。


 「デーモンと言ったかね?最弱な魔王と噂されると聞いたが……」

 

 最弱とか言われたら流石に僕でもカチンとくるな。


 「何人こようが関係ない!まとめて殺してあげるよ!」


 サラマンが大きく僕に叫ぶ。


 「で……デーモン…に、逃げろ…アイツは化物だ…」

 「うん。やばくなったら逃げようとは思うよ」

 「き、…気をつけろよ」

 「アゼンは回復しなきゃね」


 たしかコロンが回復魔法を使えたはずだ。アゼンを回復してもらおう。


 「コロン、たしか回復魔法を使えたよね?アゼンを回復して欲しい」

 「わ……わかりました!」


 コロンはアゼンに近寄り背中に手を当てて回復魔法を唱えた。


 「溢れ出る大地の光よ、傷を癒せ…ヒール」


 コロンの手からは緑色の光が溢れ出した。


 「じ…、時間が、結構かかってしまいます」

 「構わないよ、コロンはそのままアゼンを回復しといて」

 「わ……わかりました!」


 「では私達は周り兵を片付けて参ります」

 「気をつけてね」


 ネイン達は一斉に辺りに散った。


 「さあ!お喋りはお終いにしようか!」


 サラマンが僕に言う。


 「サラマン君、まずはそこの雑魚を蹴散らしてしまえ。その後はそいつの仲間、そして確実にあの魔人を殲滅させる」

 「わかりました!任せてください!」


 サラマンはブンブン手を回しながら言った。


 「オ…オイ早くアイツを止めて逃げろ…このままじゃ全員殺されるぞ…」

 

 アゼンは回復をしてくれているコロンに言った。

 

 「た…たぶんですけど…大丈夫だと思います」

 「大丈夫な、訳あるかよ。俺が手も足も出せなかったやつだぞ?」

 「で…デーモン様は強いので…大丈夫です…」

 「チッ、どうなっても知らねえからな」


 デーモンとサラマンは一定の間合いで向かい合っていた。


 「アゼンをボコボコにしたのはお前だな?」

 「ああ!もちろんこの私だ!」


 それにしても無駄にでかい図体だな。生前の頃に苦手だった体育の先生にめっちゃ似てるし。


 「君の実力を見せてみろ!1発打ってこい!」


 大きく手を広げて僕に言った。

 

 「いいの?」


 ラッキーだ。どうせ撃ち込むなら全力で行こう。出し惜しみはなしだ。


 僕は右手に魔力を込める。


 とてつもない魔力がデーモンの右手に集中する。


 「な……なんて魔力だ!」


 シララギは焦りながら言った。


 「いい魔力だね!さあ来てみろ!」

 「バ、バカ!避けろ!」


 そう言った時にはもう遅かった。


 デーモンはサラマンの腹部に思いっきり右拳を撃ち込んだ。


 とてつもない威力だった。


 サラマンはそのすさまじい威力により後ろへと殴り飛ばされた。


 「クゥーなんかストレス発散できた気がする」


 僕は腕を回しながら言った。


 なんかゲーセンにたまにあるパンチングマシンをやった気分だ。


 「マジかよ……」

 

 遠目に見ていたアゼンは驚いていた。


 「アイツ……こんなに強かったのか…」


 「グ……グゥゥゥ…」


 サラマンは四つ這いになって苦しんでいた。


 「ま……まさか…ここまでとはね…」


 サラマンは苦しそうに荒い呼吸で言った。


 「立て!何のために貴様を強くしたのだ!」


 シララギはサラマンに、叫んだ。


 なんとかサラマンは立ち上がった。


 「も……もう…遊びは、お終いだよ…ここからは地獄を見せてあげるよ!」

 「へえ」


 サラマンは勢いよくデーモンに突っ込んだ。


 その勢いで拳をデーモンへと向けるが全て華麗にかわされてしまう。サラマンの拳が空気を切る。


 「オラ!オラ!な…なんで当たらない!」

 「一発、一発が大振りすぎ」


 デーモンはサラマンの右拳を横へとかわしカウンターの右拳をサラマンの頬へと撃ち込んだ。


 「よいしょと」

 「グ……グハ!」


  綺麗な右カウンターによりサラマンはそのまま倒れた。

 

 「バ……バカな!」


 シララギは驚きを隠せない様子だった。


 「うん。まあこんなもんかな」


 デーモンは手をグーパーさせながら言った。


 「デーモン様、敵の殲滅完了致しました」


 ネインがデーモンの側で言った。


 「早いね。さすがだ」

 「勿体無いお言葉……」


 「ク……クソ、なんてことだ…」


 シララギは困惑していた。自分の兵は全滅し、サラマンも倒された。その状況に理解が追いついていない。


 「嘘だろ……倒しやがった…」

 

 アゼンは目を見開いて言った。


 「さて、あとはお前だけだ」

 「ク…クソが!たかが、魔人がときにやられるとは…失敗作だ!」


 シララギは頭を掻きながら言った。


 「どうする?降参するなら見逃してあげるけど…?」

 「ふ、ふざけるな!誰が降参などするか!こうなれば私がお前害虫を駆除してやる!」


 シララギが戦闘体制に入る。


 だが……


 「その必要はない」


 突如背後から現れた赤髪の男


 「あ…あなたは…」


 白衣の男が驚きながら言った。


 「あ…あの男は…」


 ネインが少し焦りながら言う。


 「誰なの?」

 「7人の勇者の中の1人…火炎の勇者アルスです」


キャラクター紹介

シララギ

人間の軍の中の科学者の1人。魔人を憎み全滅させようと思っている。科学の魔道具を扱うことができ、戦闘力はある。


 話終歌

悪は悪。

そこに何があろうと。

シララギ

 


 


 

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