第15話 アゼンVSサラマン2

「さあ!全力でかかってこい!」


 低い体制で大きく手を広げてサラマンはアゼンに言った。


 「死ね!」


 勢いよくアゼンの拳がサラマンの腹部に突撃した。


 ………が、勢いはサラマンの体の強さで止まってしまった。


 「チッ!」


 アゼンは一旦距離をとるために後ろへと飛んだ。


 「なんて硬さだ……クソ……」


 どちらかというとアゼンの拳の方がサラマンの体の硬さによりダメージを受けた。


 サラマンの体は岩のように硬かった。


 「今のが全力かい?」


 サラマンは自身の腹部を手で払いながら言った。


 「んなわけあるか!」


 再びアゼンはサラマンに突撃する。


 アゼンはまた腹部に拳を入れると次次に拳をサラマンに振るう。


 連撃だ。


 だが、サラマンは一向にびくともしない。平然とアゼンの拳を受けている。


 「オラオラオラオラオラ………!」


 「それだけかい?」


 サラマンはそう言ってアゼンの右拳を手で掴み連撃を強制的に止めた。


 アゼンはサラマンに掴まれた拳を引き離そうとするが掴む力が強力で離せなかった。


 「は、……離せ!クソが!」

 「君の全力はその程度なのかい?」


 サラマンはアゼンの右拳を掴みながら、顔を近づけて言う。


 「だったらこれでも喰らえよ!」


 アゼンはサラマンの顔にゼロ距離で左手の手のひらを向ける。


 「死ね!」


 アゼンは手のひらから魔力破をアゼンの顔へと放った。


 「流石にくたばったか?」


 が、煙が晴れてアゼンの目に映ったのは傷一つないサラマンだった。


 アゼンの右拳を掴む力も一瞬たりとも緩むことも無かった。


 「嘘だろ……」


 アゼンは驚きを隠せなかった。


 「ぜ……ゼロ距離の……俺の全力の、魔力破を…受けたのに無傷…」

 「ガッカリだよ、君の全力はこの程度だったんだね。よしわかった。もういいよ。終わりにしよう」


 サラマンはそう言った瞬間、アゼンの腹部に強力な拳を入れた。


 「グッ………カハ……」


 拳の威力によってアゼン大きく後ろへと吹っ飛ばされる。


 アゼンはそのまま横たわって腹部を手で押さえて悶絶した。


 「僕はとてもガッカリした!失望したよ!」


 サラマンは叫ぶ。


 「僕は君に期待したんだよ、少しでも僕を楽しませてくれるかもってさ……でも、君はつまらない。そう!つまらないんだ!」


 ゆっくりとアゼンの元に歩み近づく。


 「僕の期待を返してくれよ……いや、もういい。」


 アゼンはなんとか立ち上がる。


 サラマンはアゼンの目の前に立つとおもいっきり右拳をアゼンへの頬と放った。


 また、アゼンは後ろへと殴り飛ばされた。


 「いいか!パンチとは、拳とはこう殴るんだよ!」


 アゼンはもう意識が朦朧としていた。


 「君の拳は何も感じない!痛くもない!そんなのものは拳術でもなんでもないだよ!」


 サラマンは横たわるアゼンに近づき上から見下ろしながら言った。


 サラマンはアゼンの胸ぐらを掴み宙へと立たせる。


 そして、アゼンの顔を何発も殴った。 


 アゼンの目に映るのは紛れない化物だった。


 「まだ終わってなかったのかい?」


 サラマンの後ろから小柄な白衣姿の少し老いた男は言った。


 「シララギさんの方はもう終わったのですね」

 「ああ、運動にもならなかったよ」


 アゼンは意識が朦朧とする中目を凝らして辺りを見る。


 そこに見えたのは無惨にも倒れている仲間達だった。


 「お、……お前ら……ク…」


 アゼンの軍はもう全滅していた。


 「さっさとそいつを殺してしまえよ、サラマン君……君は敵を遊ぶ癖があるからね注意しなきゃいけないよ……敵は容赦なく駆除するのがベストだ」

 「すみません。私の癖でしてね。弱い者イジメは気持ちがいいんですよ。でも、もう殺します」

 

 そう言ってアゼンを向こうへと雑に投げた。


 アゼンは、勢いのまま転がり倒れた。


 …がなんとか立ち上がる。しかしそれが精一杯だった。アゼンにはもう魔力も力も尽きてしまった。


 サラマンは魔力を右拳へと込める。とてつもない魔力が拳へと集中する。


 そして、サラマンはアゼンの方へと拳を放つ準備をした。


 「最後に何か言い残すことはあるかね?」


 シララギはアゼンへと言った。


 「て、……テメーらはなんで俺ら魔人を殺すんだよ……なんで普通に生きてただけで殺されなきゃならないんだよ!」


 アゼンは最後力を振り絞り叫んだ。


 「フフッ」


 シララギはボソッと笑った。


 「これは失礼……あまりにも浅はかな質問だったのでついね」

 「な、……何がおかしいんだ!」

 「魔人は危険だとされているから駆除するに決まっているではないか?」

 「危険じゃない!俺らはただ普通に生きてただけだ人間には危害なんて加えてねーよ!」

 「まあ、君達は危害を加えてないかもしらんがな…他の魔人が、人間にとって危険なら君達と危険と、なるのだよ」

 「ふ、ふざけんな!俺らは関係ない!人間なら危害を加えるつもりはなかった!」

 「そんなことが信じられるはずないだろ。じゃあ君は例えば危険な猛獣がいるとしよう。その猛獣は危害を加えたことがある。その猛獣意外の猛獣が猛獣自身で私達は危害を加えませんとかほざいても信用ならんだろ?危険なものは徹底的に駆除する。それが1番安全に解決するとは思わないか?」

 「人間だって俺たちに…」

 「だが、先に人間を滅ぼそうとしたのは貴様ら魔人だろ?今から何百年も前に人間を滅ぼそうと攻撃してきたのは貴様ら魔人なんだよ。その時から人間と魔人はエリアが分かれた。昔からずっと、今までずっと争ってきた。そろそろこの争いに終止符を打たんとな。さあ、サラマン君もうやってしまいなさい」

 「わかりました」


 アゼンはそっと目を閉じる。

 

 (悔しいがあの化物を倒すことはできない)


 「ごめんな、ラコン、皆んな…」


 その瞬間サラマンの拳がアゼンへと激突した。


 ……と思われたが。


 「ふう、間に合った」

 

 サラマンの拳はアゼンの目の前に現れた元人間の魔人に受け止められた。



キャラクター紹介

サラマン

人間の軍の兵の中の上等兵。人間離れした体、筋力がある。とてつもないパワーを持っている。最初に敵に一発殴らせる癖がある。


 話終歌

力こそ全てだ。

力なければ戦えない。

力がなければ生きれない。

力なければ守れない。

サラマン


 


 






 


 

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