第7話 ゾルデニック
「ふぁ〜よく寝た」
僕は自然に目が覚めた。
この世界に来て1番最初の朝だ。
「やっぱり…夢じゃないんだな…」
そう。実は夢オチでした…って展開を少し期待していたけど、無常にも僕の期待は打ち砕かれた。
これが現実なのだ。夢なのではない。夢であっても決して覚めることのない無限なのだ。
とはいえ、案外快適に寝る事ができた。
しかし…このベッド…なんて寝やすいんだ!フカフカで、まるでモフモフの生物に体を包まれているような寝心地だった。
枕も最高。僕は枕が変わると首などを痛めてしまう事が多かった。だが、この枕は首の痛みは全くない。
体の疲れもスッキリと回復した。
僕はベットから起きて寝癖を整えようとした。
が…デーモンの姿になれば髪などないので整える必要はないのだ。
ん…この姿なれないな…。
すると、僕の部屋のドアが勢いよく開いた。
「おはようございます!デーモン様!」
そう笑顔で僕に言ったのは恐らく僕のことが好きであろうラヴァだ。
「おはよう、ラヴァ」
「朝食の用意ができております」
「うん、ありがとう」
今日の朝食は見たことないフルーツらしき実だ。
僕の世界には無い色と形をしている。
最初は食べるのを躊躇ったが食べてみると驚くことに美味しいのだ。
僕の好きな食べ物ランキングが久々に更新されるぐらいに。
そんなことを考えながら美味しく実を頂いていると…
「デーモン様、今日は最近村を襲っている組織の討伐せよと命令を受けています。」
「組織?討伐?誰から言われてるの?」
「大魔王ギザラン様からのご命令でございますね
大魔王ギザラン…。名の通り僕ら魔王の上に立つ存在、それが大魔王ギザランというらしい。
「いつも通り無視しましょうか?」
「え?無視?そんなことしたらギザランってやつに殺されそうだけどな…」
いつも通りってことはいつも無視してたのかよ。デーモンは大雑把な奴だな。
「いや、その組織を潰そう」
「かしこまりました」
「で?その組織はなんていう組織なの?」
「ゾルデニックという盗賊の集まりの集団ですね」
「ふーん、じゃあこれ食べ終わったら行こうか」
「かしこまりました」
今日は盗賊団狩りだ。
ゾルデニック団、魔人の界隈では名の知れた盗賊団らしい。
その幹部が近場の村を襲撃し占領しているらしい。
「最弱魔王が、何のようだ?」
僕の第一印象としては不良チンピラグループみたいな集団だなと思った。いかにも主人公に無双されるタイプの集団感が伝わってくる。
盗賊団、名を"ゾルデニック"。その、幹部の男が僕を睨んでいる。
今この場所は、エリア25の村。そこをゾルデニック団の一部が占領していた。
ゾルデニックという盗賊団か、結構人数はいるね。ざっと、200人近くはいるな。
「俺様の領地になんのようだ?」
いかにもリーダーポイ奴が僕に言ってきた。
「うん、まあ、君の団を潰せと命令されてね…」
「最弱な魔王と噂されるデーモンがかぁ?」
リーダーポイやつは鼻で笑う。
後ろのゾルデニックのやつらも一斉に笑う。
ちょっとムカついてきた。そうこの僕に煽りを入れる人物…ゾルデニック団幹部カマセというらしい。カマセって笑。おっと失礼、名前を馬鹿にするのはよくないね。
「おい、お前達、仕事の時間だ」
『はい!』
そう言うと下っ端どもがゾロゾロ出てきた。手には剣や、棍棒みたいものを持っている。
「いいぜ?受けてたとう。今から互いに戦争だ。生き残った方が勝者だ、文句はねーな?」
「皆んな準備はできてる?」
「ええ、できておりますデーモン様」
そう言うのは美しい美貌のネイン。
「さて、暴れるか!」
低い体勢をとるアルネネ。
「手短に終わらせよっと」
短剣を構えるレーン。
「皆さん、くれぐれも油断はしないように!」
剣を構えるエネメシア。
「わ、わ、ひ…久しぶりに…た、戦うから…緊張するな」
険しい表情でコロンは言った。
「…………合わせて」
「わかってる」
クロとシロは肩を並べた。
「さてと、頑張るッス!」
軽く柔軟しながら、キララは言った。
「全てはデーモン様のために」
胸を手を当ててラヴァが言った。
「試作品を試してみましょう」
白衣姿のフカシギが言った。
「てやんでぃ!」
意味不明な言葉をコメコが言った。
「いざ、参る!」
日本刀のような物を、抜く構えをとる、ヤマト。
どうやら皆んなやる気らしい。チャチャっと終わらせよう。
「ぶっ殺せ!オメェーら!」
「お前達、ゆくぞ!」
『オー!!』
『ハッ!』
それが闘いの合図となった。
キャラクター紹介
エネメシア
魔王デーモンの部下にしてNo.004。
真面目な性格。主に剣術を得意とし、魔術も基本的なものは使える。戦闘において相手を分析し、弱点などをすぐ見つけられる。
話終歌
瞳の奥に映るのはいつも決まっている。
見飽きたってほどに見ている。
でもその思いは胸の奥にしまう。
あなたは私では満足しませんものね。
全く、それも愛おしく感じてしまう私はおかしいのでしょうね。
エネメシア
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