第5話 下部達

 いきなり攻撃をしてくるとは……

 

 赤髪の女の印象は、今のところ最悪だ。

 かつて初対面でこんなに悪い印象受けたのはない。

 

 それにしても、なんて攻撃力だ。

 お腹が、ジンジン痛む。吐きそうだ。

 学生時代の授業中お腹の痛みを思い出した。あれほど痛いものはない。

 

 「やめなさいよ。アルネネ」

 

 ネインが、怒りを露わにし、そう言った。


 「ん?久しぶりだな、ネイン」

 

 アルネネと言うのか、この暴力女は。


 ネインの様子から察するに、この暴力女も僕の手下だろう。

 だとしたら、とんだ手下だ。

 

「いったいどうしたんだ?デーモン様、もしかして体調でも悪いのか?」


 アルネネは不思議そうに僕を見る。

 なんで、殴り飛ばされてるの?みたいに…

 

 当たり前だろ!あんな不意打ちパンチに反応できるわけがない。

 

 「デーモン様は今、記憶喪失なのよ」


 「そっ、そーなのか?そりゃ大変だな」

 

 いや、まず僕をいきなり殴り飛ばしたことを謝ってほしいもんだかな。

 

 「なかなかいい、パンチだったぞ……アルネネとか、言ったか…」


 「ああ、俺の名前はアルネネって言うんだ。よろしくな!ハハッ!なんかあらためて自己紹介するとか、なんか不思議な感じだな」

 

 アルネネはそう言って、頭に手を回して笑った。


 「にしても、いきなり殴るとはな…アルネネ、これはいつもの事なのか?」


 「ああ!久々に会った時とかは、俺がデーモン様に会えたことが嬉しくてな!つい殴りかかっちゃうんだ!」


 な…嬉しくて、殴りかかる?意味不明だな


 「まあ、いつもかわされるんだがな…」


 デーモンは毎回、あの強烈なパンチを受けていたのか?いや、かわしていたのか。やるやん…


 「アルネネ、早すぎやね〜」

 

 そう聞こえた方を見ると、複数人の女達の姿が見えた。


 あの女たちも、僕の手下か…

 

 「ごめん、ごめん皆んな、いつもの行いを一刻も早くしたかったからつい走って行ってしまった」

 

 アルネネが舌を出して言った。テヘペロって感じに。


 全く…いつもの行いを毎回やられれば、僕は肉片とかしてしまうぞ。

 大戦争の前にアルネネに殺される気がする。


 「皆んな、集まりましたね。詳しいことは、城の中で話しましょう」

 

 ネインがそう言った。

 

 僕たちは城の中に、戻ることにした。


 城の中は大いに盛り上がっていた。


 「ガハハ、レーンよ、相変わらずチビだな!」

 「うるさいな、僕は成長を溜めているんだ

勘違いするなよアルネネ!」

 「まあ、そう怒るなよレーン!成長はこれからかもよ!…」


 そう口論しているのはアルネネとレーンだ。

 あの2人は仲が悪そうだな…

 まさに、犬猿の仲

 

 「わ…わわ…喧嘩…?」

 「喧嘩?違う違うコロン!ちょっとしたじゃれ合いだよ」


 コロン…あの女はコロンというのか…


 「アルネネ!また、デーモン様に、攻撃したわね!」


 横からラヴァの参戦。


 「んだよ…ラヴァ?攻撃じゃねーよ、俺なりの愛情表現だ!」

 「攻撃が愛情表現って、あんた頭おかしいんじゃないの?」


 そこだけはラヴァと同意見。


 「んだと〜!?」


 「皆んなにお餅持ってきたでー」


 どでかいお餅を手に持っている奴がいる…


 「皆んな元気そうで良かったっす〜」


 金髪の女…


 「あれから変わらないのですか?」

 「ええ、私がきちんと管理をしているから大丈夫よ」


 ネインが話しているのは、青髪の女か…


「あ〜あ〜私の探していた物質は結局見つかりませんでした…残念ですね〜研究に欲しかったのですが…」

 「仕方がない」

 「しょうがない」


 白衣姿の女と白髪と黒髪の…姉妹か?


 「相変わらず似てますね〜髪の色意外でコクとハクを見分けられませんね〜」

 「は?」

 「え?」

 「私がコクに似ていると?」

 「私がハクみたいだと?」

 「フカジキは見る目がない」

 「フカシギの目は節穴」

 「あらら、怒らせてしまいましたか…」

 「第一、私の方が可愛い」

 「普通に、私の方が綺麗」

 「どちらも可愛くて綺麗ですよ〜」


 久々にクラスで集まりましたーみたいな雰囲気だな。ここは同窓会か?

 こんなに城が賑やかになったのは初めてだ。だけど、少しうるさすぎる。


 「おい、我が手下どもよ、少し静まれ」

 

 ちょっとキャラが痛いけど……魔王ってこんなもんでしょ?このキャラでいこう。


 僕の一声でピタッと静まった。

 よしよし、しっかり命令は聞いてくれるみたいだ。

 

 「まず、聞いていると思うが…この私は記憶喪失になってしまったのだ……皆のことも、記憶にない…だから改めて1人ずつ自己紹介を頼む」

 

「へぇー記憶喪失なんて、稀なことが起きたんですね〜。うーん実に興味深いです。」

 

 緑色の髪の目掛けをかけた白衣姿の女は言った。僕をジロジロ舐め回すように見てくる。

 

 

 「じゃあ、私達はもう自己紹介したから…アルネネから順にしていって」

 

 ネインがアルネネに指示した。

 

 「先程も言ったが、俺の名はアルネネだ!得意なことは、拳術だ!よろくな!ああ、No.は002だ」


 元気よく堂々たる自己紹介でした…

 こいつのあだ名は暴力赤髪女で決まりだな…

 

 「どうも、こんにちは…現在のあなた様に対しては初めまして。私はNo.004、エネメシアと申します」

 

 青髪の、ネインに並ぶぐらいの美貌持つ女がそう言った。

 騎士…みたいな格好をしている…鎧に剣。

 ネインに続いてまともそうなやつがいて良かった……


 「わわわわわ…わ、私はそそそそそそその……ななな…No.005………………コココ、コロンと、いいます……」


 紫の髪の毛の、ちょっとだけ隠キャ臭がする眼鏡をかけた女。

 臆病なのか?

 それとも、ただ単にコミュニケーションが苦手なのか…


 「私の名前は…」

 「私の名前は…」

 

 「ハク」「コク」


 白髪の背の小さい女と、黒髪の白髪の女とほぼ背丈が同じ女。いや、髪の毛の色以外ほぼ、外見が同じであった。姉妹なのか?


 「No.006」「No.009」


 ハクが、No.006、コクがNo.009らしい。

 

 髪色以外では判別つかないな…

 

 「どうも〜キララって言うッス。よろしくでーす。No.は007ッス」

 

 オレンジ色の髪の毛、バイト先の後輩みたいな喋り方の女。

 髪色と同じぐらい明るい性格のようだ。


 「No.010。フカシギ博士とでも呼んでくれ」


 そう痛いセリフを平然と言ったのは、緑色の髪の女。

 白衣を纏っていた。いかにも科学者って感じだ。

 

 「No.011!お餅が大好きな、コメコといちゃね!よろ〜」

 

 お餅が好きだと言う茶髪の女。

 方言みたいな言葉を話すな…

 

 「No.012ヤマトと申す!よろしくお願いします。」

 

 いかにも、僕の母国…日本の歴史上に記されている武士と似ている姿をしていた、黒髪の女。

 腰には日本刀らしきものが見える。


 これで、僕の手下の全員の自己紹介が終わった。


 どいつも、こいつも、個性的なやつばっかだな。


 ん?まてよ、たしか13人いるはずじゃ…No.13は?いないのか?


 「あれ、No.13の人はいないの?」

 「実は……行方不明なのです」


 どうやらNo.13の手下は、行方不明で連絡が取れてないらしい。


 「えっ…探さなくていいの?」

 「まあ…彼女なら大丈夫だと思います…」


 ……本当に大丈夫なんだろうか?

 

 「デーモン様が、収集をかけるなんて珍しいな!」

 

 アルネネが、笑いながら言った。

 

 「いったい、私達は何のご用で呼ばれたのでしょうか……」


 エネメシアが、僕に尋ねた。


 「知っているか…これから大戦争が始まることを…」


 「大戦争ですか…」

 「そうだ、それに備えるために集めたのだ」






キャラクター紹介

アルネネ

魔王デーモンの部下でありNo.002。かなりがさつな性格。身体能力は部下の中でも1番。だが知能に関してはビリである。


 

 話終歌

俺は不器用だから。

愛を素直に伝えらない。

だから許してほしい。

愛を変換することを。

アルネネ

 








 

 

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