第3話 魔法使いの小娘

 「やい!デーモン!魔王座はこの私ナタネ様が頂くぞ!覚悟しろよ!」

 

 何だこのムカつく小娘は?見た目はザ、魔法使いって感じだけど、杖も持ってるし。変な帽子も被っている。


 あのムカつくチビ魔法使いはナタネという。

僕の魔王の座を奪いにチャレンジャーとして闘いに挑んできたのだ。


 この闘いに僕が負ければ魔王としての地位はナタネに奪われてしまう。


 「どうした?怖気付いたか?」

 

 そう言って胸を張り仁王立ちで僕に挑発してくるナタネ。てっきり魔法使いっていうから、もっと強そうだと思ったのに、まさか、チビな小娘がでてくるとはね。期待外れだ。

 

 「さあ?戦う気があるの?それともビビっちゃたの?デーモン?」

 

 いちいち癇に障る奴だな。よし、僕の力を試してみよう。

 

 「僕が相手だ」

 「そうこなくっちゃね。私は魔王になってお姉ちゃんに追いつくんだ!」


 「デーモン様お気をつけて下さい」

 

 ネイン達が心配そうに僕にいう。


 「心配ない安心して見ていろ」


 カッコつけて言ったが、1番心配しているのは僕だ。


 「ああ…デーモン様!!今日も、カッコいい!!!素敵です!」


 目を輝かしながらラヴァが僕に言った。


 「死なない程度に頑張ってね」

 

 レーンが頭の後ろに手を組みながら言った。


 やめろよそういうこと言うの!


 僕は心を沈める。

 

 「さあ、始めようか!」

 「いいでしょう。消し炭になっても知らないわよ」

 

 さて、どうしたものか。僕、死ぬ前の世界でも格闘技とか経験ないんだけど……。でも、バトル漫画とかは、好きだったから、結構知識はあると思うんだけど……と、思った次の瞬間のことだった。


 「詠唱、炎の燈よ力しめせ、火炎玉!」

 

 チビ魔法使いの持っていた杖から火の玉が僕に飛んできた。間一髪横に逃げたので当たりはしなかった。

 

 うわ、あぶね〜。当たっていたら、火傷とかしそうだな。

 

 「チッ、よくかわしたわね、でも安心するのは早いわよ!」 


 そう言うと、チビ魔法使いは炎の玉を僕に向かって連発してきた。

 

 「火炎玉!火炎玉!火炎玉!火炎玉!……」

 「うわっと」

 

 僕は、火炎玉が当たらないように横に走って逃げ続けた。さて、どうするか。まてよ、魔法が存在する世界なのは、わかった。じゃあ、僕も魔法みたいなものが打てるでしょ?

 

 「ちょ、ちょーしにのるなよ」

 

 僕は、手に力を込めた。大体こーゆー漫画って力めばなんかいい感じになるものだよな?


 「ハァーーーー!」

 

 すると、手に、紫色の玉みたいなものができた。何だこれ?何かができた。よしこれで、反撃だ!


 「さあ、どうしたの?一度も反撃していないけれど?降参するなら早いうちにしなさいよ!」

 

 あいからわらず、僕に向かって火炎玉を打ってくる。僕は走りながら、その、力んだら、できた紫色の玉を、チビ魔法使いに向かって投げた。

 

 「オッラァ!これでも、くらえ!」

 

 紫色の玉はチビ魔法使いを大きく通り越しまった。クッソ、そういえば球技(特に投げる系)苦手だった!

 

 「ふっ…どこに向かって投げてんのよ」

 「クッソ!ミスった」

 

 と、次の瞬間、その、大きく小娘を通り越した紫色の玉が、地面に着いた時。とてつもない爆発が起こった。

 

 「うわ!」

 「きゃっ!」

 

 爆風がとてつもない。目に砂が入ってしまった。痛てて…

 

 「なんて、魔力なの……し、信じられない」

 

 チビ魔法使いは、震えて僕の方を見ていた。

 

 「久々に見たけど、やっぱりすごい魔力だね」

 「当然でしょう、デーモン様は世界1のお力を持っているのよ?」

 

 ラヴァとレーンはそう話した。

 

 マジか。ちょっと力んで、できた玉が、こんなにも威力があるなんて。さすが魔王だね。


 「クッ、どうやら本気を出すしかないわね」

 

 そう言ってチビ魔法使いは、空に3メートルぐらい浮いた。そして杖を振る。


 「魔法詠唱!滅び、そして朽ちろ。永遠の無を、そこに示せ!」

 

 チビ魔法使いの上に円状に赤い光が見える。

 なんだか、やばそうだ。

 

 「これが、私の究極魔法よ!まさか、避けるなんてないわよね?魔王さん?」

 

 えっ?あ……ああ、避ける満々だったんだけど、そう言われたら避けられないでしょ。

だけど、耐えられるかな〜?なんか、明らかやばそうだけど……まあ、頑張ろっと。


 「いいだろう、来い。」

 「フッ終わりよ!ジ・アルドラ!」

 

 僕に赤いビームみたいなものが、飛んできた。耐えて見せよう!


 僕は小娘の魔法を受けた。とてつもなく爆発した。


 「ハァ、ハァ…さすがにやったわよね?」

 

 「あなた様!」

 

 ネインが、デーモンに向かって行こうとした。

 

 「やめなさい!ネイン!」

 「で、でも、デーモン様が!」

 「フフッ、で、でも、デーモン様ってダジャレみたいだね」

 

 ラヴァはネインに激怒し、レーンはクスッと笑った。

 

 「デーモン様はあの程度では、やられないわ、ほら、見てみなさい」

 

 煙の中から、無傷のデーモンの姿が、3人の目に映った。

 

 「う?あれ?何も痛くないぞ」

 「は?……う、嘘よね、最大火力の究極魔法を、直撃したのに……」


 ナタネが、目を見開いてデーモンを見る。

 

 「さ、さすがです。デーモン様!」


 ネインが、感激して手を合わせた。

 

 あー驚いたな。明らかにやばそうな魔法をくらったのに、無傷だなんて。すごいや僕の体。

 

 「嘘よ、嘘!かわしたわね!だって、直撃したなら無傷なはずはないわよ!」

 「嘘じゃあない。君の魔法を受けたよ。でもご覧の通り、僕は無傷だ。」

 「クッ……」


 チビ魔法使いは、ガッカリと肩を落としていた。ショックなんだろう。

 

 「で……?どうする?まだ、続ける?君がさっき言ってた言葉をそのまま使わせてもうらうよ。降参するなら、早いうちにね?」

 

 「クッ、う、ううう……わ、わかったわよ!

降参しますう」

 

 チビ魔法使いは、涙目を浮かべて、言った。何だか悪いことした気分だな……。だけど、ともあれ、初勝利だ。

 

 「あんた、なかなか強いわね。噂とは大違いよ」

 

 どんな噂なのかは、想像つくが、舐められたもんだな。


 「まあ、私の真の力を知らなかっただけだろう」

 「フ…せいぜいこの先の試練に抗えるといいわね」

 「この先の試練?」

 「……のちに知れるわよ…まあ、頑張りなさい…」


 そう言って、チビ魔法使い小娘は、箒に乗って飛んで行った。

 


 


キャラクター紹介

ネイン

魔王デーモンの部下でありNo.001。部下の中のリーダー的ポジション。影斗いわく、美しい美貌とナイスボディをしている。主に剣術が得意。

 


 話終歌

どこまでもついていきます。

例え身が滅んでも、魂になっても。

あなたが誰であれ、なにであれ。

命を差し出すことに喜び感じてしまいます。

こんな感情にさせられたあなたは罪深い。

ネイン

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

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