第2話 僕が変えてみせる
「私達はあなた様に仕える下部でございます」
そう言ってネインはまた、こうべを垂れた。その態勢きつくない?そう思うのは野暮かな。いつも同じ姿勢だから慣れているのかもしれない。
「なるほどね、あとの君達はなんていう名前なの?」
「じゃあ1人ずつあらためて、自己紹介をしましょう」
ネインがそう言って立ち上がった。
「先ほども言いましたが、私は
金髪で超絶美女でナイスボディ。見たところこの人が下部の中のリーダーなのかな?
「私はあなた様を1番に愛している、No.008、ラヴァでございます」
ピンク髪が目立つ見た目をしている。僕のことを愛しているらしい。生まれてから愛しているなんて言われたことなかったな。愛されているのも悪くはないだろう。
「僕は………レーン、No.は003」
銀髪の背の小さい小柄な女の子?一人称が僕だなんて、僕っ子なのかな?
「ちょっと待って3人しかいないの?少なくない?」
思わずつっこんでしまった。だってそうじゃないか、魔王手下っていったらもっといるはずじゃないか。
ほら、ズラーって下部が並んでさ…。
最初からなんか少ないなとは思っていたけど…。
「いえ、この場にいるのは3人だけですがあな様に仕える者達は計13人います」
なんだ、いるじゃないかホッとした。他の人達はどこにいるのかな?
「じゃあどこにいるの?」
「みんな、それぞれ任務をしています」
任務中か。
「とは言っても任務中ってカッコつけて言ってるけど皆んな遊んでるだけだけどね」
レーンがそう言った。
「はぁ?遊んでるだと?何故だ?」
「ここにいてもやることないから皆んなどっかに行ってんだと思うよ」
「何もするこがない?そんかはずないだろう?ほら、戦ったり、敵とか魔物とか防衛したり、いろいろあるだろ?」
「戦うも何も、デーモン様は極力戦わないでしょ」
「え?」
そ……、そうなのか。このデーモンとかいう魔王は。
「俺は戦いが好きじゃないとか、魔王になったからそれ以上は望まないとか、皆んなを守るだけだとか、変にカッコつけて一向に戦おうとしないだもん。だから、皆んな暇で、暇でしょうがなくなって、挙げ句の果てに遊びに行ってるってことだよ」
あ、そうか僕が転生する前の魔王は悪くいうと、ビビりなのか。カッコつけてそう言ってるだけの弱腰魔王じゃないかあの声の主。とんだ期待ハズレだ。
よし、わかった。僕が最強の魔王を目指そう。そうと決まったら、どっかに遊び歩いている下部どもを集めないとね。
「至急、手下どもを集めろ!特別集会を開く!」
僕は手を前に伸ばしてカッコ良く言う。
魔王っていったこんな感じかな?
僕は僕なりの魔王を、演じないとね。
とはいっても、本場の魔王なんて見たことも聞いたこともない。僕の想像と、小説の中のイメージの魔王しか知らないからなぁ。
「わ……、わかりました!」
ネインが慌ててどこかに走って行った。
「なにをするつもりなの?」
レーンが僕に言った。そして僕は笑いながら答える。
「皆んなが集まってからのお楽しみ」
「人って記憶がなくなると、こんなに性格が変わるものなんだね」
「ああ、今日もあな様は輝いています!かっこいい!」
ラヴァが、目を光らせて僕を見ている。どうやらラヴァは僕に惚れてるのかな?そう考えてるとネインが戻って来た。
「今、通知をそれぞれに送りました。早くても集まるのは明日以降です」
「ご苦労」
どうやって通知を送ったのか…?。うーん。
とりあえずこの世界のことをもっと教えてもらおう。
「この世界についてもっと教えてくれないか」
「はい。わかりました」
ネインがこの世界についていろいろ教えてくれた。
魔法や魔物…そして、人間と魔人の関係について。
簡単にいうと今、僕ら魔人と呼ばれる種族と、人間と呼ばれる種族が戦争をしているらしい。
やばいじゃないか。
人間と魔人が戦争をしている?
これからもっと戦争が激しくなるらしい。
冗談じゃない。
戦争なんて死んでもごめんだ。
だが今の僕は魔王だ。
魔王として戦わなければならないかもしれない。
世界を救ってくれ。
たしかそう言われたことを思い出した。
僕にそんな役割を与えてくるなんて。
アイツはただ逃げただけなのでは?
だとしたら、次会うとしたらぶん殴ってやろう。いや、殴って、蹴って、プロレス技でもかましてやろう。うん…それぐらいして当然だよね?
でも、こうやって転生しちゃったなら仕方ないか。
うだうだ、ぐちぐち言ってても始まらない。
僕がこの世界を変えてみせよう。
なぜなら僕は魔王だからだ。
できるだけ後悔のないように生き抜く。
僕はそう心に決めた。
ふふふ…なんだかワクワクが止まらないぜ!
「そういえば今日はチャレンジャーとの決戦日ですが…」
ネインが余韻に浸る僕に言った。
「はい?チャレンジャー?」
なんだチャレンジャーって?
「はい。魔王は時々チャレンジャーと呼ばれる魔王になりたい魔人に決闘を挑まれた場合戦いに応じなければなりません」
「は?そんなシステムがあるのか?」
「はい。そして今日がチャレンジャーとの決戦日でございます」
なんてことだ。
聞いてないぞ?
アイツ…先に言っとけよ。
いきなり魔人と戦うことになりそうだ。
え?僕、戦ったことなんてほぼ無いよ?
魔法なんて全く知らないし…。
いや、待てよ。
逆にこれはチャンスなんじゃないのか?
魔王の力を試す良い機会じゃないのか?
僕はやる気に満ちた。
やってやろうじゃないか。
「いいだろう。そのチャレンジャーとやつを葬ってやろう」
僕は低い声でいかにも魔王らしく言った。
「で?相手は誰なの?」
聞いてもわからないと思うが一応聞いてみる。
「チャレンジャーの名はナタネ、魔人の中でも魔法の上級者と、言われています。つまり魔女です」
キャラクター紹介
デーモン
魔人のエリアの魔王であるが、あまり闘いを好まないせいか、最弱の魔王だと思われている。事情があり、人間である如月影斗に身体を託した。デーモンの目的は一体…。
話終歌
私の判断は正しいのか?
本当に彼で良かったのか?
いや今は目の前の事に専念しなければ、
私はやらなければならない。
もし私が敗れれば、
あとは彼に任せよう。
デーモン
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