波乱の異世界で最強の魔王を目指します

あんホイップ

第1話 魔王に転生!

 「後悔」


 僕の人生に一言添えるとすると、その二文字で完結するだろう。


 「後悔」その言葉のとうり僕の人生は散々なことばかりだった。


 嫌なるよ全く。


 僕は死ぬまで後悔ばかりしてきた。


 もう、うんざりだ。


 死ぬほど後悔するのは。


 だからもう後悔はしたくない。


 後悔しないように生きたい。


 そう僕は心に誓うのだった。








 「起きてよ」

 

 「…………………」


 「ねえ、起きてってば」


 僕の頭の中で誰かが呟く。


 うるさい。

 多分、随分と前から言われていたんだろう。

 その声はまるで、朝にうるさく起こして来るお母さんのようだ。


 僕はゆっくりと目覚めた。


 僕は思考が停止する。


 どこだここは?


 そこは、辺り一面真っ白な空間だった。

 何もない。何もかもが白、純白で、できた空間。


 僕の知らない場所だった。

 この世ではないような空間。


 「なんだ?ここは?」


 僕は夢でもみているのか?


 それとも、寝ぼけているのか?


 とても現実とは思えない。


 「やっと起きたね」


 僕の頭の中にその声は響いたのだった。

 唐突に、突然に。


 「わっ!」


 僕は驚き、声をあげてしまった。


 「ハハ、ごめんよ驚かせてしまったね。まあ驚くのも無理はない」


 なんだこの声は?

 一体、誰が僕に話しかけている?


 声質は男性に思えた。

 若くは…ないな…かといって、年寄りでもない…


 僕は辺りを見渡してみる。声の主を探した。


 が…人の姿などあるはずがない。

 存在するのは白だ。真っ白。


 「探しても私の姿は見えないよ」


 またその声が僕の頭に響く。

 

 その声の主は僕の姿が見えているようだ。

 一体…どこから?


 「ここは、一体どこ?」


 僕は正体不明の何かにとりあえずこの場所のことを聞くことにした。

 

 まずは、状況確認。


 「ここかい?この場所か…例えて言うなら心と心を繋ぐ場所…とでも言っておくよ」


 心と心の場所?意味がわからない。

 僕の知ってる世界ではないというのか?


 「あなたは一体何者なんですか?」

 

 僕は見えざる声の主に問う。

 そもそも人なのか?

 それとも、人ではない何かなのかもしれない…。

 

 神?仏?お化け?未確認生物?…的なものか?


 「僕は君とは別の世界の者…言っちゃえば魔王と呼ばれている者だ」


 「はー?」


 なんだなんだ?別の世界?魔王?

 聞き慣れない言葉に僕は戸惑った。

 予想していた答えとは全く方向が異なる答えだった。


 ますます意味がわからない。

 魔王って…アニメとか,漫画に出てくるやつだろ?本当に何を言っているのかが理解できない。


 やはりこれは夢だ。

 おかしな夢を見ているだけだ。


 「夢なら覚めろ、夢なら覚めろ」


 僕は自分の頬をつねる。


 痛い。


 目は覚めることなく僕の頬が痛くなっただけだった。

 

 僕は、夢ではなくこれは現実ということを再確認できた。


 「夢なんかじゃないよ、紛れもない現実だ」


 マジか……夢ではなく現実なのか…


 つまり、今の状況を整理すると、僕がいる場所は心と心を繋ぐ場所?にいて、別の世界の魔王と話しているってことか…


 うん…なるほど…意味がわからない…


 「君は今から転生をするんだ」

 

 「えっ…?ええ!」


 ……転生?転生とは?

 他の生命に生まれ変わるということか?


 「転生って、生まれ変わるってこと?」

 「そう、君は魔王へと転生するんだ」

 

 ちょっと待て…僕が転生?しかも魔王に?

 

 頭が混乱する。

 理解が追いつかない…


 「な…なんで僕が転生するんですか!だって僕はまだ死んで…」


 「あっ」


 「そういえば…」


 僕は一つだけ、理解できた。

 いや、思い出した。


 「残念だけど君は死んでいるよ」


 最後の記憶…僕はトラック轢かれたんだった。


 アイツを…そういえば、大丈夫だったのだろうか…


 僕はトラックに轢かれて気づいたらここにいた。


 ってことは…僕、死んじゃったのか。

 そうか、そうなんだ…


 「僕はもう死んでしまったのか」


 案外あっさり受け入れた自分に驚いた。

 まだ、死んだという事実を受け入れてないのだろうか…


 「うん。残念だけどね…だけど、転生すればまた別の世界で生きることができる」

 「別の世界…」

 「そう、その世界は魔法やスキル、魔物や竜だって存在する。勇者だっている。君にとってファンタジーみたいな世界だ。どうだ?ワクワクしないか?」


 魔法?


 スキル?


 そんなゲームみたいな世界があるのか。


 「君は魔王として生まれ変わるんだ」

 「僕が魔王…大丈夫かな…」

 「大丈夫さ、君には優秀な部下もついているし」

 「優秀な部下か…」

 「覚悟は決まったかい?」


 もう、なんだか吹っ切れた。

 異世界でも他世界でもなんでもいい。


 その世界で生き抜いてやろうじゃないか。


 魔王に転生するんだったら、いっそ最強でも目指してやろうじゃないか。


 僕は2度目の人生を謳歌する。


 生前の僕は後悔ばかりしてきた。


 もう後悔するのは疲れた。


 だから後悔しないように生きたいと思う。


 「覚悟はできたよ」

 「うん、よろしい。今から、かつて私だった者へと転生させるよ」

 「ん?誰かわからないけど、今から僕はあなたの体へと転生するってこと?」

 「そう、私の体だ。私は訳あってもうあの体へは戻れない。だから君に託す…まあ、私の体は強いから心配はいらないよ…」

 

 僕の体は光へと包まれていく。


 「最後に1つ頼みたいことがある」

 「なんだよ?」

 「私の部下をよろしく頼む。皆んな強くて頼りなると思うが無茶ばかりするのでな。守ってやってくれ」

 「守る…まあ、できる限りのことは…尽くします…」


 「そして世界を救ってくれ」

 「世界を救う?」 

 「フッよろしく頼むよ。ではまた」


 僕はその言葉を最後に意識が無くなった。


 



 「おはようございます、あなた様」


 そう聞こえて僕は目を覚ます。

 

 僕の目に飛び込んできた光景は驚きだった。


 僕に対して複数の女性が跪いている。

 そして、僕はいかにも王様が座りそうな豪華な椅子に座っていた。


 「どうかなさいましたか?あなた様?」

 

 こうべを垂れている女性の1人が僕に言った…んだよな?まずい、状況がわからない。一旦落ち着こう、深呼吸を2回して考える。

 

 僕の名前は如月優永きさらぎゆうえい普通にどこにでもいる高校生だった。そう高校生……

 

 だけど、どうやら死んでしまったのだ。

最後の記憶は思い出したくもないけどトラックに轢かれたのは覚えてる。ただただ、痛かった記憶しかないが。


 だけど、あれで良かったと思う…

 アイツが助かったなら…

 

 そして謎の空間で謎の人物と会話をしんだった。


 そうだ。


 僕は異世界に転生したんだった。


 「あなた様って僕のこと?」

 

 とりあえず聞いてみる。今この状況を整理しなければならない。

 

 「ええもちろんでございますよ」

 

 僕にニッコリしながら初めて笑顔を見せて言ってくれた。

 

 マジかよ、めっちゃ可愛い…その女性はとても可愛かったいや、美しいと表現した方がいいかな?綺麗な金髪、整ってる顔つき、モデル並のスタイル。僕が見てきた女性の中でダントツの可愛さだった。いや見惚れる場合ではない、しっかりしろ僕、今は状況を確認しなければ……。しかし、なんて聞こうか……?


 あっ、いいアイデア思いついた!この作戦でいこう。


 「あの…実は僕記憶喪失みたいなんだ…だから僕が誰なのかと、ここは何処なのかを、教えてもらえない?」

 

 我ながらナイス作戦だ。ひとまず記憶が無くなったってことにしといて色々聞いだそう。

 

 「まあ、なんということでしょう…まさかあなた様が記憶喪失だなんて…わかりました。この私が全てご説明させもらいます」


 案外、素直に信じてくれたな…

 まあ、ひとまず良かった。


 「まず、私はデーモン様に仕える者、No.001ネインと申します」

 

 え?今仕える者って言った?僕に?

 

 「そしてあなた様…デーモン様は私達の魔王でごさいます」

 

 は?………魔王デーモン?魔王?魔王………


 思い出した。


 あの空間での声の主は僕が転生する前のこの体の人物だった。

 

 そういえば魔王って言ってたっけ。


 ガチだったんだ。

 

 「本当に魔王になったのか…」


 やはりこの状況にまだ理解が追いついていない。

 

 「はははー」

 

 どうやら本当に魔王に転生してしまったらしい。ここまでくると、笑けてしまうな。僕は普通の人間から転生していきなり魔王へとなったのだ。


 「私達はあなた様に仕える下部でございます」

 

 そう言ってネインと名乗る女性は僕に言った。


 そういえば優秀な部下がいるとか言ってたっけな。

 

 ああ、頭が混乱する。落ちつけ、ポジティブに考えろ、思えば死んでしまったのに転生しただけマシじゃないか。しかも魔王。ラッキーでしょ。うん、そう思おっと。そう思うしかないんだ。

 

 「この世界は魔法というものがあるんでしょ?」

 「はい。ございます」


 魔法…本当にあるんだ。


 「この世界は魔物とかもいるんでしょ?」

 「はい。魔物ももちろんいます」

 

 魔法、魔物…まるで、RPGの、世界に来たみたいだな。


 「そして、我々は魔人です」


 魔人……か。人間ではないとは思ったけどね。よく、アニメとかのフィクションに出てくる種族だな。

 

 いまさらだけど、僕って今、どんな姿をしているのだろう。体を見る限りもう人間の体じゃないな。なんていうんだろう、ムキムキでもないし、皮膚が硬いっていうか、なんか黒いし。

手なんてザ、魔王っていう手なんだよな〜。爪なんてナイフぐらいとんがってるよ。頭掻くときブッ刺ささらないように注意しなきゃ。

 

とりあえず自分の姿を確認しよう。

 

「鏡ある?」

「ええ今お持ちします。」


 と言ってネインと名乗る愛らしい女性はどこかに鏡を取りに行った。

 

 残っている女性。人数は2人。

 

 1人はピンクの髪の女性。

 感想は…いいバストをお持ちで…

 

 もう1人は銀の髪の女性。

 ……率直にチビだな…子供かな?

 

 そう思って2人の女性を眺めていると、ネインが大きな鏡を、持ってきた。

 

 「どうぞ、鏡をお持ちいたしました」

 「ごくろうさん、ありがとうね」


 

 そこに映っていたのは、人間の面影はあるが、人間とは異なる見た目だ。


 率直な感想は、カッコいい…

 

 「わお」

 「今日も相変わらずカッコいいですね…」

 「そうかなー?」

 

 まあいわれてみればそうかもしれない。お世辞でも素直に受け取っておこう。

 

 さて、次は他の下部のことを聞こう。



 作者からのお願い

もしこの作品が少しでも面いと思われたり、応援してやるぞと思ってくれたら★評価とフォローをお願いします。その応援が作者の励みとなります。ぜひよかったら感想なども頂けると嬉しいです。


 キャラクター紹介

 如月影斗

 どこにでもいそうな高校生。ある日トラックに跳ねられて死亡。そして異世界の魔王デーモンに転生。ある出来事をきっかけに人を救える人間になりたいと誓う。


 話終歌

 誰にでも突然訪れる終わり

 だが同時に始まりでもあり、奇妙な奇跡とも言える。

 如月影斗

















 なんだろう……


 何もわからない。


 何も覚えてない。



 でも、倒れちゃダメだ。




 ここで諦めたら死ぬほど後悔する。




 戦え。






 命ある限り。


 

 

 

 



 



 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る