長編が得意な作者さん。病気の影響でうまく書けなくなったそうですが、もともとの表現力が高いこともあって、限られた文字数の中でしっかり伝わるエッセイに仕上がっています。読みやすく、あっという間に読み終えました。今生で頑張ってる作者さんの次の作品にも期待したいです。
このエッセイの作者は髄膜種(脳腫瘍)。しかも悪性。何回も手術を繰り返し、その度に身体の機能は低下していく。それでも世の中を恨む言葉は使わない。来世に期待するとか異世界転生を望んだりしない。『転生なんてしない。今生で頑張りましたから!』(四話より)非常に惹きこまれるエッセイです。おすすめです。
脳腫瘍の治療に取り組んでいる高瀬さんの体験記です。高瀬さんはカクヨムで異世界ファンタジーや恋愛ジャンルの作品を公開されています。手術や放射線の治療をすれば、よくなる、というイメージがありますが、作者が経験したのは、治療のたびに身体の機能が失われていく、という現実。全4話を読んで、「人生にお任せはない」との言葉が一番印象的でした。人生を引き受けた時、そこに生まれるものがあります。それに気づかせてくれた、体験記でした。