テイマー?? 違いますよ! もふもふ好きなケモナーです!! ~追放されたケモナーは自分だけの楽園を作ろうと思います~

やまのうち

え!? 追放? なんでよ!?




「悪いがナナセ、君はこのパーティーから抜けてもらう。」


「・・・・・・ん?」


「聞こえなかったのか? お前はこのパーティーにはもう不必要な存在だと言ったんだが?」


「はぁ・・・、冗談はそのくらいにしろよ? いきなり追放だのなんだの言われても、この後、俺はどうすればいいんだ?」


「勝手にしてくれ。パーティーから抜けた奴のことなんか、いちいち気にしてられないんでね。」



コイツ・・・・!!



「あのなぁ? 俺だって役に立っていただろ?何がそんなに気に食わないんだ?」


「何が気に食わない・・・・か。言い出したらキリがないね。こちらは不遇職を迎え入れている側なんだ、パーティーの戦闘力が大幅に下がっているに決まっているじゃないか。しかも君は小汚い狼を従えているだけの不遇職なんて役に立たないも同然じゃないか。

そんな君に今更、利用価値が見いだせなくなっただけさ。」


「俺のことだけならともかく、シュロのことまで馬鹿にするんじゃねぇ!!

たかがパーティーリーダーの分際で、調子に乗んなよ!!

クソガキが!!!」


「その容姿でその調は少しどうかと思うけど。」


「俺の容姿は今関係ねぇだろ!!」


「君がその容姿を気にするのは勝手だけどね。・・・そうだ、アドバイスをしてやろう。奴隷になればいいんじゃないか? 物好きな貴族様にはウケがいいと思うぞ?」


「余計なお世話だ!」


「まぁ、お前程度の力で役に立つとは思わないが。何の役に立たない奴隷など、いっそ死んでしまえばいいんじゃないか?

今思えばこれまでの冒険で役に立つどころか私達の大切な仲間を危険にさらして私達のことを殺そうとしていたんだろう?」


「はぁ!? そんなことするわけないだろ!?誰が自分の仲間を殺そうとしたりするんだよ!? そんなことをしたら捕まるぞ!?」


「そうだ。これは立派な犯罪だ。だからこちらも、それ相応の対応をさせてもらう。」



!?・・・、アイツら、まさか―――――



「それはそうとして、この前の救助要請を失敗したのは君がわざと私達を危険に陥れる行為をしたからだろう?」


「バカが!! 何言ってんだ、 深層だぞ!?

今までの階層とはモンスターの量も質も桁違いなんだ!! 分かって言っているんだろうな!?」


「そんなこと、知っているさ。だからこそ君が私達の邪魔をしたということを裏付ける証拠になっているんだよ!!」


「はぁ・・・・!?」


「深層程度、私達にかかれば楽勝で攻略できるというのに、君がいるせいでモンスターが討伐できなくなっているんだよ!! おおかた、魔物の死体の放置で魔素濃度が高くなったんだろう。モンスターにとっては魔素は生命力だからな。強くなるのも当然――――」


「ユリウス様。ご報告がございます。」


「――――聞こうか。」


「はい。単刀直入に言いますと、ナナセ殿の持っていたバックから魔物の死体が発見されました。その死体は討伐されてからまだ1時間も経っていないと思われます。」


「――――っ!?!?」


「これが覆ることの無い証拠というものだ。・・・君のそんな顔が見れたんだ。時間を稼いだ甲斐、十分にあったと言える。」



―――――クソッ、はめられた、、、



ふう、よし。切り替えろ。


衛兵を呼ばれるのも時間の問題だな、早くここから逃げないと―――


―――――シュロを呼ぶか。



『シュロ、聞こえ―― 』


『あるじ様! いま行きます!』



まだ何も言ってないんですけど!?

コレは・・・・あれか!


信頼できるパートナーとの絆――――



「あるじ様! シュロ、ただいま参上しました!!!」



来るの早くね?

・・・これも、あれか、信頼できるパートナーとの絆―――――


―――――あれ? 声、あれ??



「念話じゃない!?!?」



ということは・・・・・、つまり、なにを表すかっていうと――――



「――――シュロ、逃げるぞ!!!」


「駆け落ちですね! あるじ様!!」



「ッ!? 衛兵! あの者を捕らえろ!!」


「ハッ、誰が捕まるかよ、馬鹿が。」


「!?」


「シュロがいるんだ。舐めるのも大概にしろ。」


「あるじ様! 飛び降りますよ!!」


「おう!!」


――――――――――――――――――――



「あーーーー!! 風を感じるーーー!!!!」


「あるじ様、帰ったら撫でてくださいね?」


「それはそれとして、シュロ《お前》人前で人化するなって言ったよな?」


「うぇっ・・・・!? えー、えーとそれはその・・」


「はぁ・・・、まぁいいよ。シュロには助けられたし。」


「本当ですか!? あるじ様!」


「帰ったら撫でてやる。」


「あるじ様だいすき!!」



あー、これからどうしよ。

魔物の死体の放置による魔素濃度の増加って普通に国家転覆罪なんだよ。

魔物氾濫スタンピードの期間を早めることになるからって。


テイマー《不遇職》のためだけに魔素濃度の測定行くとは思えないし、そもそも深層だし安易に踏み入れられないし。

どちらかと言えば死ぬ可能性の方があるからなぁ。期待をするだけ無駄か。



「なぁ、シュロ、これからどうする? 俺、国から追放されたんだけど。」


「戦力を増強しましょう!」


「当てはあるの?」


「シュロの古き知人を紹介しますよ!!」



シュロはこう見えて結構考えることが的を得ていることが多いからなぁ。

まぁ、まず大丈夫だろう。

信頼してあげないと信頼してもらえないからね。



それが絆ってもんだよ。

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テイマー?? 違いますよ! もふもふ好きなケモナーです!! ~追放されたケモナーは自分だけの楽園を作ろうと思います~ やまのうち @SSSEH

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