011
科学の進歩に寄って人々の生活は豊かになって行く。
そのひとつがコンピューター端末〈ウェアラブルデバイス〉
『コンピュータは次の世代へ!』 をコンセプトに〈アオザキ〉より開発販売された。
全く新しいコンピュータ端末 〈ネクスト・ジェネレーション・リーズ・デバイス〉
通称・ 〈ギア〉
生活空間では目の前にウインドウが可視化されたりとコンピュータ端末を操作するのではなく。
今までモニターやヘッドマウントディスプレイ上でマウスやキーボードで行っていた操作が自身の目の前で自身の手で行えてしまう端末である。
つまりデジタルに触れるといった感覚だ。
何故そう言った事が可能となったのか〈アオザキ〉は「特殊な電気信号がデバイスから出ているから」と、コメントを控えている。
また、一部の者は〈ギア〉を解体し探ろうと試みるも解読、解体不可能なブラックボックスばかりで断念したとの噂が絶たない。
それと同時に、
〈
〈
それらの技術の発展もめまぐるしい物となった。
そして 〈ギア〉の誕生でゲーム業界も激化。
視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚。
人間の五感を擬似的に仮想世界で体験できる〈VRMMORPG〉が数あるタイトルが販売していた。
†
生活の半分が仮想ネットワークで行われるも現実社会から逃れられない。
いつの時代もイジメや差別は存在する。
それが今の世界__
クラスメイトも関わりたくないといったように見て見ぬ振りだ。
___
赤羽の意識がゆっくりと覚醒して行く。
瞳を開くと視界に入ってきたのは白い天井と薬の匂い。
赤羽は上半身を起こすと部屋を見渡し置かれた現状を確認。
「ここ…は?保健室かっ」
腕や脚、身体には大げさに巻かれた包帯。
「空想の世界でなら強いんだな、僕は__」
赤羽は苦笑を浮かべる。
「…久遠、アステイル…所詮、妄想だ、夢だっ」
ベッドから出るとブレスレット型の〈ギア〉で時間を確認。
十七時を越えていた。
「放課後かっ。彼奴らももう帰っただろうし、帰ろう…」
____
校舎の屋上から保健室を見つめる一つの人影があった。
「ようやく覚醒の兆しを見せましたね」
フードコートを被った人影は風に靡かれるフードがはだけた。幼さの残る女性だった。
「それは君の想像でも、夢でもないわ」
女性は赤羽のいる保健室に向かって手を伸ばした。
「紛れもないあなた自身の記憶よ」
†
マンションの一室。
玄関を開け「ただいま」と、赤羽が帰宅。
リビングに入ると暗く誰もいない。
そして、テーブルの上にはいつものように「夕飯代」と殴り書きされた書き置きとお金があった。
赤羽はお金を乱暴に掴むと部屋に入室。
バックを机に投げ、制服を脱ぎ捨てると、ラフな格好に着替えた。
そして、赤羽はベッドに寝転び瞳を閉じる。
「コネクト!」
赤羽の声に反応し〈ギア〉は起動。
視界が一変する。
『ようこそ〈リインカーネイション〉の世界へ』
システム音声が響く。
『現存のデータを読み込みますか?』
赤羽はOKをタップ。
『データ 〈サアキス〉を読み込みます』
再びOKをタップ。
『〈リインカーネイション〉の世界をお楽しみください』
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