001
マンションの一室。
カチャッと音を鳴らし玄関の扉が開く。
銀髪に黒い模様をあしらった白いコートの少年が出てきた。
「さて、今日はどこの未開拓の地を攻略するかな」
エレベーターで一階に降りるとエントランスホールを通り建物から出る。
少年は腕を突き出し左から右に振ると幾つかのウインドウが現れた。
少年は手慣れた手つきで画面を操作、終了させウインドウを閉じると何もなかった眼前に大型の
少年は
___
少年は目的の場所に着くと
少年が訪れた場所。
そこは〈ターミナル〉。
様々な場所に行く為の必要不可欠な場所である。
そこには少年とは別に様々な格好の男女がたくさん行き交っている。
その人達はカウンターに居る女性に話し掛け、幾つかのやり取りをした後、目の前で消えた。
それとは別に〈ターミナル〉の中央にある大きな水晶から出現する人々も居た。
少年はカウンターで受付を終え同じように消えた。
†
プログラムの指示通りに写真から自分の顔画像を取り込むと自動で分身とも言えるアバターが自動生成された。
続いて顔以外の髪型と色、身長、胸の大きさ、眼の色などを変更して制作完了をタップ、最後に名前を入力して下さいの画面が表示される。
「名前は…アステイル…」
名前の入力を終えると、『ログインします』と、機械音声が流れ一瞬にして視界が変わった。
「こ、これがVR。ここが〈インフィニット・ブレイド〉の世界っ」
長く黒髪を靡かせ少女=アステイルの青い瞳が真新しさに興奮し周囲を見渡す。
彼女が降り立った場所は人が消えたり現れたりする場所 〈ターミナル〉。
「由依、遅いなぁ」
アステイルは近くにあった椅子に腰を掛け待ち人を待っていた。
その時、ピローンとメール受信音が響く。
「メール?由依から!」
『ごめん、少し遅くなるから誰か適当に捕まえて遊んでて』
「って、いきなり放置プレイ?」
アステイルはため息をつき頭を抱えた。
「始めてやるのに、どうしたらいいのか解らないよっ」
友人からのメールに状況説明&ツッコミを入れた時、水晶から銀髪に白いコートの少年が転移。
「今日のラッキーカラーは白だよね。うん、よし!」
アステイルは眼の前を通り過ぎる少年に声を掛けた。
「あのっ、そこの白い人!」
アステイルは声をかけるが、少年は訊こえていないのか歩き去って行く。
アステイルはその後も何度も声をかけ続けるが、少年からの反応はない。
〈ターミナル〉を出たあたりでアステイルは痺れを切らし近くにあった植木鉢を持ち上げ少年に向かって投げつけた。
植木鉢は少年の後頭部にヒットしHPが少し減り、植木鉢はポリゴン片となり消失。
「イッテ〜、何しやがる!」
少年は条件反射で振り返った。
その時、〈インフィニット・ブレイド〉の〈インフォメーションセンター〉からメールが届いた。
『新しい都市 〈水の都ソルティル〉が解放されました』
とだけ書かれたメール。
周りのプレイヤーは騒ぎ出した。
「新都市、腕試しに行ってみるかな」
「挑むにはまだレベル足りないっ」
「早速行って新しい情報アップしなきゃな」
思い思いに騒いでいた。
「で、何?」
少年はアステイルに問う。
「え?あっ!あの、その前にいきなりすいませんでしたっ」
まず初めにアステイルは詫びを入れた。
「いや、オレは別に構わないけど、他の奴にしてたらPKされても文句は言えないぞ」
少年は怒った様子もなくアステイルを注意する。
「それで何?見るからに初めましてな風貌だけど?」
アステイルは戸惑いながら少年と話す。
「私、このゲーム始めてで、約束してた友達は遅くなるからって、だからやり方教えてくれませんか?」
少年は見るから経験がありそうなプレイヤー。
装備している服も見かけない物、白メインに黒のラインの入ったコート。
レアアイテムなのだろうか。
似た格好のプレイヤーをアステイルは見掛けていない。
「この後、用事はないから別にかまわないよ。取り敢えずフレンド登録からしてみようか?」
「そのフレンド登録ってどうやるんですか?」
アステイルは首を傾げた。
「もしかしてキミ、マニュアル読んでないのか?」
「えっと、はい、友達が教えてくれる予定でしたので…」
「って、事は〈メインメニュー〉の出し方も解らないって事だな?」
「すいません」
「じゃ、掌を突き出して左から右にスライドさせる。そしたら、〈メインメニュー〉が呼び出せる。こんなふうに」
少年は実際にやって見せ〈メニュー〉 ウインドウを呼び出した。
アステイルも同じ動作で〈メインメニュー〉を呼び出す。
「出ました!すごい」
「右の方に〈フレンドリスト〉て書かれてるアイコンを呼び出して、オレを登録してくれ」
少女は言われるままに操作を行う。
「あ、〈フレンドリスト〉に名前が現れました。…サ、ア、キ、ス?」
「オレのプレイヤーネームだ。キミの名前はアステイルか」
「はい。次は何をするんですか?」
「次は装備だろうな。キミはどんな武器がいい?始めたばかりなら初期装備だろうなぁ」
「何もしてないので、そのはずです」
「初期だと始めの所持金は五百エルだな」
サアキスは腕を組みしばらく考え、そして続けた。
「取りあえず行く場所がある。着いて来てくれ」
「はい。どこに行くんですか?」
「雑貨屋て言うか何でも屋だよ」
サアキスはそう告げた。
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