第2話

「んっ、ん、…んん?ぴっ」

「ぴ?」

ぐいぐい推し進めると、彩葉から変な声が出た。

彩葉を見ると青ざめて固まっている。竹彪の手は彩葉の両手に止められた。

「い、いたい、い"ーっ!」

「え、抜く抜く、今ぬ」

「ゆっくり!ゆっくりぃい!」

騒ぐ彩葉をなだめて竹彪はゆっくり中指を抜いていった。余裕そうだから大丈夫かと思ったが駄目だった。

「処女だもんな。指でも駄目か」

「え、なに、処女ってこんな痛いの?もっと気持ちいいもんじゃないの?なんなんこの痛み」

「ケツだって慣らさないと無理だろ、一緒だよ。血も出てないから大丈夫だろ」

竹彪は出血していないか確認してもう一度指を添える。

「なにしてんだよ」

「もうちょいゆっくりやるわ」

「無理無理もういい、終わりだこんなもん」

「優しくするから」

「触ったら殺すぞ。痛ぇわ。メンタルにくるわぁ…」

彩葉に睨まれて竹彪は手を引っ込める。自分から誘っておいてひどい仕打ちだった。彩葉は布団を被って丸まってしまった。

竹彪は前かがみでトイレに行き、息子を慰めた。





「あっ、そこ、やば…いく、また、いっ、んぁ、あ、あっ、~~ーーーっ」

彩葉は最後、声も出せずに果てた。

女の子になってから数日。なんだかんだで挿入に成功してからというもの彩葉と竹彪は時間があれば抱き合っていた。

「男でも女でもイキやすいの変わんねぇな。足、こっち」

「うるせぇな…つか、もう、ええて。無理…」

竹彪は彩葉をひっくり返して体制を変える。

「ほんで体力ないのも変わんねぇなぁ。やめるか?」

「だから、うるせぇって…もっかいする」

小中高と柔道をやっていたという竹彪は、彩葉と比べたら体も大きくて体力もあった。その上あっちもとっても元気で持久力がある。そのせいでいつも彩葉は動けなくなるまでいいようにされていた。

(でもまたやっちゃうんだよなぁ…あー、やばい。やば)

彩葉はそのまま快楽に身を任せた。



彩葉は大学で竹彪と出会った。顔が良くて、背が高い。大学でも目立つ存在だった。竹彪といれば勝手に女の子が寄ってくる。女子に告白しては『男として見れない』だの『私より可愛い男はちょっと』だのと断られてきた。竹彪に振られた女子に優しくすれば念願の彼女ができるかもしれない。

授業で隣の席に座った竹彪に、これ幸いと近づいて仲良くなった。部屋に遊びに行ってみたら一人暮らしの部屋は広いし、彩葉の家と比べたら遥かに学校に近い。当初は友人達とのたまり場になっていたが、彩葉が居着いてからはほぼ二人暮らしになった。

そんな時に竹彪に言われたのが『やらせてほしい』だった。

彩葉は何を馬鹿なことを言い出したのかと引いた。しかし、『男同士はめちゃくちゃいいらしい』と言われて試さずにはいられなかった。好奇心に勝てず、色々調べてやってみたところ、これがめちゃくちゃ良かった。彩葉は女の子を知る前に男を知ってしまった。あの時、男の彩葉相手に立つのかと竹彪をからかったが、竹彪はバキバキに元気だった。これにはだいぶ引いたのを覚えている。彩葉は竹彪の尻では立たず、自然とお互いの役割が決まった。それからずぶずぶと行為を続けている。友達が、ただの友達ではなくなった。

まさか男友達とセフレになってしまうとは。

しかも彩葉は女の子とする前に、自分の女の子の初めてまでも竹彪に奪われてしまった。

(なんか、色々終わってる気がする)

彩葉は現状から目を背けるため、考えることをやめた。




「タケどこいったん?」

講義の前、彩葉は友人の木村松寿に声をかけられた。彼もまた大学に入ってからの友人だ。竹彪とは違ったタイプのイケメンだった。野性的な竹彪と王子様のような松寿。コイツはコイツでとにかくもてる。細身の長身で綺麗な顔の男だ。二人といると自然と女子と仲良くなれるので、大変ありがたい存在だった。

彩葉は席について竹彪の帰りを待っていた。松寿は彩葉の隣に腰かける。

「まるごとバナナ買いに行ってる。腹減ったから。俺が」

「ひどいね~パシらされてんの、アイツ」

「いんだよ。あいつには少し俺の言う事聞かせないと」

昨日もあと一回もう一回が続いたおかげで彩葉は腰もあそこもズタボロだった。今日も大学に来るのに苦労したくらいには体にダメージが残っている。このくらいしてもらってもいいはずだ。

視線を感じて松寿を見ると、彼はじっと彩葉を見つめていた。黙っていればイケメンだ。彩葉も松寿を見つめ返す。

「なんか黒木、雰囲気ちがくね?」

彩葉は目を輝かせた。女の子になって数日、そんなことを言ってきたのは松寿が初めてだ。女の子になったことは病院と竹彪以外誰も知らない。竹彪から他人に言うなと口止めされていた。こんな面白いことをなぜ言ってはいけないのか。竹彪に抗議したら面白がってオモチャにされる、そんなこともわからないのかと怒られてしまった。

「まじ?どこどこ、どんなとこがいつもと違う?」

「何日か前から思ってたけど、声が高いし、全体的に柔らかい感じなんだよな。なんかやった?」

彩葉は周りを伺う。松寿の綺麗な顔が彩葉を見ている。本当に、黙っていればイケメンだ。しかし、女好きが過ぎて女子からヤリチンの松とあだ名をつけられている。女の子に関しては中々のクソ男というマイナス面はあるが、とにかく顔は良かった。しかしこのクソ男、意外と信用のできる人間だと彩葉は知っている。面倒見が良くていいヤツなのだ。彩葉は我慢ができなくなった。そっと松寿にささやく。

「実は俺…女の子に、なっちゃって」

松寿はキョトンと彩葉を見返してくる。

「タケに女の子にされたって?今更?」

「違う違う、そうじゃなくて…ほら、おっぱいあるだろ?」

彩葉はシャツの首元を伸ばして松寿に見せる。

「乳首しかないけど。つーかやめろよ!タケいねぇよな?!」

松寿は慌てて周りを見回してる。竹彪はまだ帰ってきていなかった。ペチャパイで女子と気づいてもらえないのが鉄板になりつつある。

「股触ればわかるから、マジなんだって」

「いい、いい。死にたくねぇし、俺。仮にお前が女でも、やれない女に興味ねーわ」

松寿はケタケタ笑っていた。まったく信じてくれていない。しかし信じろという方が無理な話かと彩葉は思った。竹彪ですら、実際見て触って初めて信じてくれたぐらいだ。

(つまんねーの。でもありえないよな、突然女の子になるとか)

ホルモンなどで徐々に女の子にしていくことはあるかもしれないが、なんの前触れもなくいきなり女の子になるなんてことはありえないだろう。

「それより合コンしねぇ?黒木いないとタケ来ないし、タケが来ると女子のレベル上がるし」

「行く行く、いつやる?俺はいつで…」

彩葉はいつでもいいと言おうとして踏みとどまった。今体は女の子だ。たとえ合コンでいい感じになってホテルに行っても何もできない。今まで持ち帰れた経験はないが、今回こそワンチャンあるかもしれない。

(いやいや待て待て。そもそも男に戻れなかったら俺、一生童貞?…やばい。男に戻んなきゃ)

いなくなった息子が未使用で終わる。彩葉の全身から血の気が引いた。女の子に色々したりしてもらう喜びを知らないまま、息子は行方がわからなくなってしまった。これはいけない。あってはならない事態だ。

松寿に返事を保留してもらい、彩葉は男に戻れそうな方法を色々考えた。

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