第65話 田坂を調べる
田坂のことを調べることにした。
長野県警の松林に頼めば、簡単なことだろうが、
ちょっと頼みづらい気もして、自分で調べることにした。
俺が調べられることは、たかが知れている。
簡単な経歴くらい。
柚希の同級生なんだから、俺より1個上。
だけど、誕生日が2月だったから、4月生まれの俺と、2ヶ月しか違わないじゃんか。
現在、俺と一緒の38歳。
それでも、1個上かよ!って、イラっとした。
寺の息子、寺のあと取りって聞いてはいたけど調べてみたら、柚希の地元では有名な由緒ある大きな寺だった。
佐古高校を出たあと、愛知県の大学に進学している。
そこは仏教系の大学。
まぁ、あと取りってゆうんだから、それ前提の進学先だな。
その大学で剣道も続けていた。
田坂個人は、そこそこの戦績だったが、大学としては、あまり強豪校ではなく、地区予選で毎回敗退している。
俺は神奈川の大学だったから、関東ブロックだったし、大学時代に剣道を通して田坂と会うことはなかった。
大学を卒業したあとは、2年間の修行などしたり、他の寺で下積みみたいなことをして、8年前から自分の寺に戻ってきている。
今は、副住職という肩書きだ。
評判はすこぶる良い。
住職のお父さん、副住職の息子さん、お二人とも優しくて誠実な方と、みんな口を揃えて言う。
うちの親父がやっているような感じで、地域の子ども達を剣道クラブで指導もしている。
つまり、今も剣道を続けているってことか。
38歳の今まで結婚歴はなかった。
結婚するお相手の女性は、7歳年下の人で、上田のお寺の娘さんということだ。
2年前くらいに見合いをして知り合っている。
まぁ見合いだから、その流れで結婚ってことになったようだ。
柚希が言ったことで、結婚を決めることが出来たから、恩人ってなんだ?
柚希が見合いを勧めたとでも言うのか?
未婚だけど、この歳まで女がいなかったわけじゃないだろう。
だけど、さかのぼって それを調べるのは、俺には難しそうだ。
田坂に、聞きたいことはいっぱいある。
寺へ電話した。
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