第53話 柚希の夢

 子どもは子ども部屋で寝て、俺は柚希と夫婦の寝室でダブルベッドで寝ている。

子どもが小さかった時は、柚希が子ども部屋で寝たり、寝かしつけてから、こっちへ来たりとかしていたけど、今は奏も峻と2人で寝られるようになった。


俺は仕事柄、夜勤でいないことも多かった。

だから、普通に日勤で帰ってきた日の夜は、夫婦の営みをしている。

って言っても、最近は回数も減っているか。


子どもは、もう1人欲しいと思っている。

できれば女の子が欲しい。

でも、完全な産み分けが出来るわけじゃないしな。


柚希は、結婚したばかりの頃は、女の子が欲しいと言っていた。

優花とか、花音とか、凜花とか、花がつく名前にしたいな~って言っていた。

花が、大好きな柚希らしいと思った。

一緒にお散歩して、これはタンポポ、これはシロツメクサ、これはオオイヌノフグリってゆうお花だよ。

かわいいね~、なんてね。

雑草とかでもかわいいお花いっぱいあるから、

そんな話しをしながら、お散歩するのが夢なんだ~。

と、言っていた。

だけど、生まれた子は、男の子、2人目も男の子。

子どもたちに、花の名前を教えているところは見たことがない。

子どもと花の話をするのが夢と言っていたのに、

そんな小さな夢を叶えさせてあげられなくて、

なんだか心苦しかった。

女の子じゃなくて、男の子だったのは、俺のせいじゃないし、柚希のせいでもない。

柚希は、男の子2人でイヤだとか、ガッカリなんて、まったく思っていないだろう。

峻と奏にあふれる愛情を与えて育ててくれている。


柚希は、女の子が欲しいとは言わなくなった。

ってゆうか、3人目をつくることには、消極的だ。

男の子2人を育てるのは、体力勝負だ、と。

男の子3人ってなったらだいぶキツい、と。

3人目も男の子って前提で話しているのか。

今度こそ、次こそは、女の子かもしれないのに。



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