第35話 長男 峻
体操を始めて3年くらい経つけど、体操は峻にあっているみたいだ。
身体が柔軟だ。
このくらいの子どもはみんなこんなもんかな?って思っていた。
けど、非番の日に体操教室へたまに行ってみると、他の子よりも優れていることがわかる。
へぇ~
なんか、他人事みたいな感じがした。
峻がこんなに上手にできるなんて!!
まずマット運動で、ブリッジをする。
あれっ?ブリッジって、こんなに簡単に出来るものなのか?
弧を描くその角度ってゆうか、お腹の位置が高い。
両手、両足でついている状態から、片手、片足を上にあげる。
次は、違う手足に変える。
その後は、両手をついた状態で、両足をぴょんぴょんとジャンプする。
そのジャンプが高く高くなって、一回転した。
これがバク転の基礎的な動きらしい。
すごっ!!
学校の体育でやるような運動のジャンルと、剣道しかやってこなかった俺には、この動きはなんだかすごい衝撃的だった。
20人くらい並んでやっていたけど、峻が1番
上手に見えた。
ブリッジのあとは、側転。
床の上に白いテープが20メートルくらい貼られていて、その白いテープを目安に側転をして進んで行く。
峻は、ピンとしている。
手も足も曲がっていない。
手をつく場所も、足がつく場所も、ほぼ白いテープの上。
他の子は、どんどん曲がって行って、隣りのレーンまで行ってしまいそうになったり、足が全然上がっていなかったり。
「あの子、上手ね~!!」
「あぁ、倉田くんね~!!ほんと、きれいな側転!!」
俺の隣りにいたママさん達が話している声が聞こえてきた。
‘’倉田くん‘’
って、なんか、自分のことを呼ばれたみたいでドキッとした。
あぁ、そういえば、峻も倉田くんか、なんて、当たり前のことを思って、笑っちゃった。
次に、平均台。
ってか、これ、平均台だよな?
すごく高い。
コーチの先生の背より高いから2メートルくらいの高さがあるのか?
落ちても大丈夫なようにフワフワっぽいマットが下に敷かれている。
だけど、あの高さを歩くのは、怖いんじゃないか?
俺は、結構高いところが苦手だ。
柚希は、平気だって言ってるな。
峻も平気な方かな?
平均台の上を、それぞれ普通に歩いたり、カニ歩きみたいに横向きで歩いたりしている。
峻の番がきて、コーチが峻に何か言い、峻はうなずいている。
で、平均台の上で側転した。
えーーーーっ!!!!
マジでびっくりして、椅子から転げ落ちそうになった。
何センチ?
10センチか15センチかのあの幅で?
あんな、2メートルくらいの高さのところで?
こんなん俺だったら、カイジのモブみたいに、真っ逆さまに落ちて即死だよ!!
すごっ!!
ってか、将来は体操選手になって、オリンピックとか出られんじゃね?
親バカかもしれないけど、マジでそう思った。
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