第14話 カノジョ
高3の夏、俺は部活を引退した。
全国大会での戦績が評価されて、いくつかの大学から剣道の特待生での打診を受けていた。
俺は、中野先輩が応援に来てくれることだけを拠り所に頑張ってきた。
村木先輩、佐久間先輩、松井田先輩など何人もの先輩方が大会前に差し入れを持って、剣道場に来てくれた。
大会の会場は島根県だったから、遠くて無理だったかもしれない。
なら、他の先輩方みたいに、剣道場へ顔を出してくれればいいのに……
中野先輩が、顔を見せることはなかった。
なんてゆうのか……
中野先輩との繋がりは、もう何もないんだな……と、初めてやっと理解した。
繋がりなんてものは、先輩が卒業して何もなかったのに、俺は剣道で、先輩と繋がっているのだとずっと思っていたんだ。
だけど、そんな繋がりはとっくになかったのだと知り落胆した。
そもそも、ただ部活が一緒だっただけで、なんの繋がりもなかった……
剣道を続ける意味……
俺は大学へ行ってまで、剣道を続けてやる意味はあるだろうか。
剣道を続けていたって、先輩と会えるわけでもないのに……
そんなことを悶々と考えていた夏に、同級生の国元麻衣子に告白された。
1年生の時からずっと俺のことを好きだったと。
国元のことを気にしたことが全然なかったから、そんな風に思われていたなんて驚いた。
俺は、その告白をうけて国元とつきあうことにした。
本当に軽い気持ちだった。
俺を好きだというこの子とつきあえば、気が紛れるなと思っただけだった。
そんな交際は長くは続かず、4ヶ月で終わった。
国元いわく、つきあってみたら思ってた感じと全然違った、そうだ。
あぁ、そうですか、ってくらいにしか思わなかった。
俺の方だって、カノジョが出来れば、先輩のことを忘れられると思っていたのに、全然忘れられなかったし、オマエじゃダメじゃん!と思っていたのだから。
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